朝日新聞が9月12日から、損保ジャパンがビッグモーターの不正に巻き込まれていく10年間を追った『蜜月の代償』を全5回で特集している。
私は、損保ジャパンが、障害者の美術展、パラリンアートを協賛していたことを知っているので、悲しやら腹ただしいやら、やりきれない気持ちである。社会貢献をしていたからといって、社会不正が肯定されるはずはない。社会貢献活動が不正の隠れ蓑になったのではとの疑念すら出てくる。
保険業界や銀行業界など金融業は、米や野菜や肉や衣服や車や家など、目に見える具体的なものを何も生産しない。金融業が提供するのは、信用による安心感である。だから、どこに増しても厳しいコンプライアンスが企業に求められる。
コンプライアンスは日本では「法令順守」と訳されるが、企業の信用を守ることで、法律や省令を守ることに限定されない。
普通、保険業界が恐れているのは従業員が不正することである。たとえば、保険勧誘員が虚偽の保険契約をなし、報奨金を会社から受け取る。損害査定員が損害請求者とぐるになって、架空請求を行う。これらがないよう、会社は、重複する手順でチェックする業務フローと、不正をチェックする監査部門と監査専業の取締役を設ける。
ビッグモーターは事故車の修理だけでなく、損保ジャパンの自動車保険の代理店をしていた。損保ジャパンの取締役会は、ビッグモーターへの出向者の告発で、ビッグモーターの修理費用の不正請求を知っていた。しかし、取締役会は保険の売り上げを守るためにビッグモーターの不正請求を黙認した。
損保ジャパンのコンプライアンスが機能していなかった。監査取締役が用をなしていなかった。取締役会が用をなしていなかった。会社の信用が守られなかったのである。
国としてどのようにこれを罰するのか、私は見当もつかないが、会社は信用を失い、損害保険の顧客を大幅に失うだろう。もしかしたら、つぶれるかもしれない。つぶれないとしても、信用を取り戻すような改革がなしうるだろうか私は疑問である。今回の事態は、業務フローや組織形態が招いたのではない。売り上げを守るために、不正を黙認するとした経営陣の判断である。会社のビジネスモデル、企業文化に問題がある。社長ひとりが辞任しても、解決のめどがたたない。
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