菅義偉は怖い人である。
菅政権の支持率低下を受けて12月28日から1月11日までGoToトラベルを「全国一斉」に一時停止すると発表した。政府の分科会は、新型コロナ感染蔓延(ステージ3)の地域から他の地域に人がウイルスを運ぶこと(GoToトラベル)をすぐに停止するよう菅に要求したのに、「全国一斉」に問題をすり替えて、GoToトラベルを2週間延長してしまった。
首都圏の人がGoToトラベルを利用して地方に移動することのほうが、その逆より、観光業への経済効果が大きい。「全国一斉」を持ち出すことで、首都圏からのGoToトラベルを2週間延長したのである。政権の支持率低下を止めるためにごまかしをしただけなのに、テレビは英断と称賛している。
まさに、世論操作にたけた、怖い人である。
怖いのはそれだけでない。政治が自由経済に横やりをいれることができるという考えを菅義偉がもっていることである。これを「統制経済」という。
安倍晋三にもその気があった。授業員の賃上げを企業に要請した。しかし、それが実現したのは大企業の正社員だけである。全体では、給料があがらない。格差が広がっただけである。
菅義偉はGoToキャンペーンを自分の政権の目玉政策として推進してきた。そのことの反省がまったくない。
GoToキャンペーンは新型コロナ感染を全国に広げるだけでなく、国の借金によって、人為的に観光や飲食の需要を一時的に高めることである。持続可能なことではない。経済にとって大事なのは一時的需要の高まりではなく、持続的な需要である。持続的でなければ、設備投資も授業員の増員もできない。
菅義偉はまたデジタル通信業者にデジタル通信の形態の料金を下げるように要請している。政治が企業に、直接、ものやサービスの値段を下げることを要請して良いのだろうか。
伊藤隆の『大政翼賛会への道』(講談社学術文庫)を読むと、戦前に革新右翼がいて、「統制経済」を主張していたという。菅義偉は、政治が経済を統制できると考えている。菅義偉は「革新右翼」の生き残りではないか、という思いが、私の頭にめぐっている。
菅義偉は怖い人だ。
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