ご近所から、またそら豆をたくさんいただいて、皮むきに追われる一日でした。
映画「戦場のメリークリスマス」の感想が途中だったので、その続きを。
演技に関しては、まったく素人の坂本龍一さんが、ヨノイ大尉を演じていますが、武骨な軍人ははまり役です。
決して上手とは言えませんが、役に絶妙にマッチしています。
ヨノイ大尉になりきっています。
ヨノイ大尉は、秩序、規律の中で生きていますが、
外見も美しく、内面も魅力あふれる捕らわれの身になったイギリス将校セリアズ少佐に、裁判の場で心を奪われます。
ひと目ぼれなのですが、ヨノイ自身はそのことに気づきません。
そして、自身が所長である俘虜収容所に、俘虜として連れて行くのですが、
手厚く介護して、セリアズが反抗して独房に入れても、絨毯を差し入れるなど、特別扱いするなど、好意を見せるのです。
さらにセリアズが脱走しようとして、鉢合わせになり、短剣と、刀でやりあう場面も、
セリアズが短剣を地面に刺して、戦意なしの意思表示を見せると、
「なぜ、かかってこない。私を殺せば自由になれるのに。」
と、まるで、(あなたに殺されてもいい。)みたいに、相手に告白しています。
後ろから、部下のハラ軍曹が追って来て、セリアズを銃で殺そうとすると、身を持って
かばいます。
そのどの行為も、ヨノイはセリアズに対して特別な感情を持っていると、
ハラも兵士たちも、ロレンスも当のセリアズも、わりと早い段階で見抜いているのに、
ヨノイ自身は、自分の気持ちに気づいていません。
秩序と規律の中で生きているので、自覚がないのですね。
自分に従わない俘虜長ヒックスリーの態度に業を煮やしたヨノイは、
俘虜全員を集めて、その前で自身の刀を抜いて、ヒックスリーを処刑しようとします。
その場をおさめようと、セリアズは死を覚悟で、命がけで、ヨノイの前に立ちはだかり、
ヨノイを抱き寄せ、両ほほにキスします。
その時、初めて自分の気持ちに気づいたヨノイは、どうすることもできなくなり、壊れてしまうのです。
ヨノイは更迭され、新しい所長によってセリアズは処刑されますが、
意識をなくしていくセリアズの頭髪を少し切って、丁寧に紙に包み、懐にしまうヨノイは、その時は、まだ自分の気持ちを律しているので、
セリアズへの思いがなんであるか、まだ自覚がありません。
最後の場面で、ハラとロレンスが語り合う場面で、
ハラが「ヨノイ大尉は戦後すぐに処刑されました。」と。
ロレンスが「ヨノイからセリアズの髪の毛をヨノイの故郷の神社に奉納してくれるように頼まれた。」
とあるので、
死の間際まで、肌身離さず、セリアズの髪の毛を持っていたことから、
だんだんと、自分の気持ちが確認できていたのでしょう。
(原作のヨノイのモデルとなった軍人は、処刑されずに自身で奉納している)
原作者である、(映画ではロレンス)サー・ローレンス・ヴァン・デル・ポストは、
映画公開当時、
「映画のヨノイとなった(わたしの小説の中のモデルの)軍人は、まさしく坂本龍一さん(演じる)にそっくりすぎるほどそっくりなので、実は私も驚いている。」
と語っています。
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