青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-62

2021-04-03 13:00:00 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Lomatogonium gamosepalum 合萼肋柱花 (雲南省香格里拉)



雲南省迪庆藏族自治州香格里拉近郊。標高3300m付近。2013.10.2 [Monica Lee撮影]
 
合萼肋柱花Lomatogonium gamosepalum は、他のヒメセンブリ属各種とは、萼筒が裂片の中程までが合着すること、花冠の“喉”の部分が丸く白色で覆われ、そこに(裂片ごとに)明瞭な2個の蜜腺溝を有することなど、大分印象が異なる。「中国植物志」によると、分布域は「チベット東北部、四川省、青海省、甘粛省西南部、およびネパール」で、雲南省は含まれていない(ただし「中国植物図像庫」には香格里拉産が掲載されている)が、写真の個体は、ほぼ間違いなくこれに相当するようである。
 


雲南省迪庆藏族自治州香格里拉近郊。標高3300m付近。2013.10.2 [Monica Lee撮影]
 
 
Lomatogonium sp. 肋柱花属の一種 (雲南省白馬雪山)



雲南省迪庆藏族自治州白馬雪山。標高4200m付近。2005.9.29 
 
Lomatogoniumヒメセンブリ属は、子房に花柱を欠き、柱頭が子房に沿って垂下する、という特有の構造を持つ。また、花被裂片が右巻きに重なりあい、その裂片の裏面は、片側半分(重なられた側)が表面と同じ明色、もう半分(重なる側)が顕著に暗色を帯びるという特徴も有している(そのことは蕾の様子でも判る)。
 
ヒメセンブリLomatogonium carinthiacum は、日本では南アルプス(主に北岳周辺)と八ヶ岳のみに分布する絶滅危惧種だが、世界的に見れば、ユーラシア大陸(ヨーロッパ~中国大陸)と北米大陸の亜寒帯域に広域分布している。
 
Lomatogonium属は世界に24種、うち20種が中国大陸に分布。しかし、次に紹介した顕著な特徴を持つLomatogonium gamosepalum以外の種は、僕には区別がつかない。そのため、ここでは種ごとではなく地域ごとに紹介していく。四姑娘山に於いては、少なくとも4種以上に分けられるようである。
 
この写真(3枚)の個体は、花冠が平開しない。この後紹介する、四川省雪宝頂の個体、および四姑娘山の最初の個体と共通する。
 




雲南省迪庆藏族自治州白馬雪山。標高4200m付近。2005.9.29 
 
 
Lomatogonium sp. 肋柱花属の一種 (四川省雪宝頂)



四川省阿坝藏族羌族自治州雪宝頂(松潘~黄龍間の峠)。標高4200m付近。2005.9.25
 
前掲の雲南省白馬雪山の個体、および次掲する四姑娘山の最初の個体と共通する
 (プライベート・ネーム「ツボバナヒメセンブリ」)。
 
Lomatogonium spp. 肋柱花属の複数種 (四川省四姑娘山➀)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3600m付近。2006.9.18
 
上掲2地域個体群と同一分類群に含まれると思われる。
 


四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3400m付近。2006.9.18
 
一見、蕾のようにも見えるが、そうではないと思う。異常個体の可能性も含め、特定不可。どちらかと言えば、最初に紹介したLomatogonium gamosepalum合萼肋柱花との関連性が考えられる。
 






四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘長坪溝。標高3600m付近。2006.9.18
 
花は平開し、大型(花冠径2㎝余)、後述する高山帯(巴朗山)の集団の一つに似るが、茎高が高く分枝して花を着ける。
 
 
Lomatogonium spp. 肋柱花属の複数種 (四川省四姑娘山②)



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘巴朗山。標高4700m付近。2006.9.19 (以下18枚同一日同一地点)
 
リンドウ属ヤクシマリンドウ組の場合もそうだったように、四姑娘山に見られるヒメセンブリの一群は、おそらく同一グループの別分類群(別種)に所属すると思われる複数の個体群から形成されている。
 
それぞれが、どの種に当て嵌まるのかについては、僕の能力では特定出来ないでいる。少なくても、著しく大きさの異なる個体は、別々の分類群に属するのであろう。
 


花の大きさが著しく異なる。
 




画面上での花の大きさを統一して示した。
 


大きい方の個体を、小さい方の個体と同倍率(やや低め)で示す。
 


小さい方の個体(上の大きい個体の数倍の倍率)。
 




小さい方は、ヤクシマリンドウ組の種と比べても、これだけの差がある。
 






小さい方に属すると思われるが、前出の個体よりは、やや大きめ。
 




これは、長坪溝の茎高の高い個体と同一分類群なのではないだろうか?
 




ユキノシタ科ユキノシタ属の一種と。
 




大きな小さな方と違って、ヤクシマリンドウ組の種の花冠径を上まわる大きさ。
*下写真。この地域特有の岩石に注目。
 


右後方は、四姑娘山主峰6250m。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


黄緑:白馬雪山/空色:香格里拉/ピンク:四姑娘山/赤:雪宝頂/【参考】黒:南アルプス
 
 
 
 
 
 






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