場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

反日教育と呼ばれているもの

2024年09月22日 | 政治・社会
深圳で日本人学校に通う少年が殺された事件で、中国人ヘイトを煽る意見がネット上に吹き荒れている。中国の反日教育が悪い、とかこれが中国人の本性(by野口健)だとか。ウトロの放火事件みたいな日本人によるヘイトクライムや、アメリカ人が日本人に危害を加えたケースは無視するか擁護するくせにね。

そしてかれらが言う「反日教育」とやらについて。日本はアジアの多くの国を侵略したという歴史がある。被害に遭った国ではそのことについて学校で教えている。当然のことだ。ところが、それが「反日教育」であると言われ、まるで悪いことであるかのように非難されている。
また、「普通の日本人」は中国と韓国だけがそうした教育をしていると主張しているが、もちろんそんなことはない。

日本は周辺諸国に対して加害した側なのに、なぜか被害者意識の強い日本人が多い。それは多分、日本の教育で加害の歴史を無視し、日本人が戦争でいかに苦労したかしか教えてこなかったせいじゃないだろうか。
多くの日本人はせいぜい所謂従軍慰安婦や南京大虐殺程度は知っていても(それすら捏造だと主張したりもするが)、東南アジアの人々に対する加害のことは知らない。マレーシアで多くの華人が虐殺されたことや、シンガポールの血債の持つ意味を知らない。
本来なら日本こそ積極的に「反日教育」、つまり反日帝教育をすべきなのに、そこから逃げている。そして被害者の気持ちを踏みにじっている。

こうした状況に抗おうとする教育者はもちろんいる。教科書検定に阻まれたが、家永三郎や高嶋伸欣などは日本の加害の歴史をきちんと教える教科書を作ろうとした。私の中学校の頃の社会の先生も、わざわざプリントを自作して教科書に載っていない南京大虐殺や従軍「慰安婦」について教えてくれた。そういう教育者もいるが、それを潰そうとする勢力のほうが強い力を持っていて、テレビ番組にも教科書にも大きな影響力を及ぼしている。

反日教育けしからん、と言っている人たちにとっては、安重根を悼むのも、南京大虐殺の被害者を悼むのも、所謂「従軍慰安婦」に心を寄せるのも、自国が日本に植民地支配されていたという事実を認識することさえも「反日」で悪なのだ。
驚くべきことに、自称愛国者たちは日本がアジア諸国を植民地支配していた事実すら認めない。統治していたが植民地支配していたわけではないという認識らしく、「報道特集」など一部を除き日本の番組では日本がしていたことを「植民地支配」とは決して呼ばない。

過去のことは忘れて水に流そう、と被害国が言うのはいいが、加害国である日本が水に流すべき、と主張するのはあまりにも傲慢だ。水に流そうかな、と思っていた人がいたとしても「日本は植民地支配などしていない!」とか「日本の統治には良い影響しかなかった! むしろ感謝されるべき!」などと主張する日本の政治家を見てしまったら考えが変わるだろう。


パリオリンピック雑感ーどちらかと言えばオリンピック反対の立場から

2024年08月18日 | スポーツ

閉会式も終わってしばらく経って今更だけど、パリオリンピックについて色々と思ったことがあったので書いてみる。

まず、一番気になることはロシアとベラルーシの選手は出られないのにイスラエルの選手は普通に無条件で出られるというダブルスタンダード。ベラルーシですら出られないならアメリカだってイスラエルを思いっきり後押ししてるし……って考えると収拾つかなくなるからみんな出場させたらいいと思う。「平和の祭典」を名乗るなら。
ロシア・ベラルーシの選手も条件付きで個人としてなら出場できるみたいで、その代わり表彰式での国旗掲揚と国歌はなくなるらしい。ロシア・ベラルーシに限らず表彰式での国旗国家なんてみんななくせばいいのに。

イスラエルのことを抜きにしたとしても、オリンピックというイベント自体に色々と問題がある。国威発揚的な側面だとか国ごとの金メダル数カウントみたいなくだらないことやってるとか、商業主義だとか。私も若い頃はオリンピックが好きでそういう側面を無視して楽しんでいたが、それではいけないと今は思う。
オリンピックなんてなくても競技ごとの世界選手権だけでもいいんじゃないだろうか。4年ごとに特別な大会があって、そのときだけ活躍した選手が毎年コンスタントに結果を残し続けた選手よりも評価されるっていうのもモヤモヤするし。

それに加えて、ガザが大変なことになっているのにこんなことで浮かれていていいのか、などと思いつつも、体操だけはしっかり見てしまった。体操ファンなので。オリンピックでもそうでなくても目の前に体操の試合があったら見ずにはいられない性分なので。

体操と言えば宮田のタバコ問題。SNSを見ると、20歳未満は酒タバコ禁止というのは若い人を罰するためではなく守るためにある法律である、という立法趣旨が全くわかっていないまま議論している人が多いような印象を受けた。罰則の対象は本当は本人ではなく周りの大人だし、法律違反だけど犯罪ではない。それなのに、宮田のことを犯罪者呼ばわりして、万引き犯、下手したら性犯罪者と同列みたいに語られるのを見てしまって悲しくなった。
私は宮田の今回の処分は行為に比して重いと思う。宮田が自分で辞退したということにはなっているが、周囲の圧力はあっただろう。
ちなみに、私は今の日本の女子体操選手の中で宮田が断トツで好きだ。しっかりした体格と力強い演技が魅力的な選手だと思う。宮田がこれで潰されてしまったら悲しい。今まで宮田のことを全く知らなかった、演技を見たこともない人たちが好き勝手に叩いているのを見てとても腹立たしく思っている。

競技のことについて。
男子団体決勝の終盤での蘇煒徳(スー・ウェイデ)の大きなミスと種目別鉄棒決勝での落下・着地失敗祭りは胸が痛かった。正直、優勝者おめでとうというよりもそちらの気持ちのほうが勝ってしまった。特に男子団体。
蘇偉徳は粛清されそうとか帰国したら命が危ないとか言ってた人、結構いたけど中国に対する偏見が強すぎるな。そんなことで粛清されたら誰もアスリートになんかならないわ。今回も中国チームのコーチとして来ていた滕海浜(テン・ハイビン)だってアテネオリンピックの団体でミスしまくってチームの足を引っ張って叩かれたけど、その何年か後も代表に選ばれてたし、今は立派にコーチを務めているし。多分蘇煒の気持ちが一番わかるのは滕海浜コーチだろう。
ちなみに日本だったらこういうときに選手を叩かない、って言ってる人もいるけどこれも大嘘。GG佐藤の件とか、同じようなことがあったときに日本人がどれだけ選手をバッシングするかも私は見てきた。そういうのを都合良く忘れる人が多いんだな。
蘇煒徳が今後どうなるかは周囲のサポートと本人のメンタル次第。今回のことで潰れないで今後も活躍してほしい。宮田も。

体操の大会がテレビ放映されると、つい他の視聴者の反応も検索などで毎回見てしまうのだが、それに関して今回驚いたことが一つあった。オリンピックの体操競技に関する日本の視聴者の反応はヘイト(主に中国選手に対する)とか採点に関するイチャモンが常々あるのに、今回は(上に書いたような中国社会に対する偏見は見られたものの選手に対しては)そんなこともあまりなく穏やかに見られた。むしろ中国選手、特にエースの張博恒(ヂァン・ボーホン)にかなり好意的な反応が多くてとても嬉しかった。男子団体と個人総合で日本選手が金メダルをとれたことで視聴者に気持ちの余裕ができたせいもありそうだけど、少しだけ希望の持てる出来事ではあった。
ちなみに中国に礼儀正しくてスポーツマンシップのある選手が多いのは、私が体操を見始めた15年以上前からずっとそう。あと平均的に日本選手に比べて愛想が良くてカメラパフォーマンスなども積極的にやってくれる。それなのに中国選手のことを変な色眼鏡で見ていてそのことに気付かない人が今までは多かったが、今回変わって良かった。

体操競技は基本的には個人戦かつ相手を打ち負かす競技ではないので、国は関係ない、というスタンスで見やすいのがいいところだと思う。自国選手に限らず好きな選手を応援している、というファンが対戦型競技に比べれば多い。私もいつもそんな感じで体操を見ていて、日本の金メダル数にはあまり興味がない。なるべく多くの選手が失敗せずに良い演技をみせてくれるのが一番いい。  
誰が金メダルで嬉しかったとかどの演技が素晴らしかったとか、思ったことはいろいろあるけど浮かれている場合でもないと思うので、パリオリンピックの体操に関する話はこのくらいにしておく。

次に柔道の話。
柔道はニュースでのダイジェスト程度しか見ていないんだけど、外国選手が勝つと「あれは柔道じゃなくてJUDOだ」とか審判がどうのとか言ってる日本人が散見されて、大変みっともないと思った。そんなのただの負け惜しみでしかない。昔のルールのままだったら競技人口の多い世界的な競技になんかなっていないだろうが、それでいいんだろうか。鎖国でもしたいのか。
「誤審」と騒がれているものも、本当に誤審なのだろうか? 基本的にテレビの解説者は日本選手寄りの解説をするし、視聴者も日本選手贔屓のフィルターがかかった目で試合を見ているだろう。その結果、日本寄りでない公平な判定がおかしなもののように見えてしまっているだけ、という可能性もあるのでは? 私は体操で「日本選手の点数だけ不当に低くされている」あるいは「中国選手の点が不当に高くされている」と思い込む人が毎回現れるのをずっと見てきたので、柔道でも似たような現象が起こっているのではないかという気がしている。

また、柔道には私が悪い意味で注目していたイスラエル代表のピーター・パルチックも参戦していた。新宿のパレスチナ連帯デモを妨害してきたクソ野郎だ。私もそのデモに参加していて、この人がわざわざ柔道着に着替えて威嚇してくるところを目の前でしっかり見ていた。しかもそれだけじゃなく、パレスチナに打ち込む爆弾にサインして、それを嬉々として自分のSNSに載せたりもしていたらしい。
その選手が柔道で銅メダルをとり、「大切なのは平和」などとほざいたとか。大変胸糞悪い。どの口が言ってんだと思う。そしてそれを美談みたいに取り上げる朝日新聞も最低。

最後にボクシングの話。オリンピック関連だと、SNS上ではこの話題が一番盛り上がっていたのではないだろうか。女子競技に出場した選手の中にトランスジェンダーがいるとのデマが拡散されたが、その選手たちはトランスジェンダーではなくDSDだったことがわかった。だがデマを撒いた人らは全く反省していないようだ。(トランスジェンダーが女子競技に参加することが悪いとも私は思わないが、今回とは関係ない問題なので深く立ち入らないことにする。)
成長した後になってからテストステロン値だの染色体だのを審査して、場合によってはその人を女性の枠から外す、みたいなやり方はど真ん中の女性差別ではないか、というのは前から言われてきたことだ。テストステロン値が高ければ高いほど有利なら男性だって同じはずなのに、男子選手は通常の男性よりはるかにテストステロン値が高くても全く問題にされることはない。しかも性別が疑われるのはほとんどの場合非白人の選手だ。
性別は実は厳密に2つに分けられるものではないらしいし、こういうのは女性を弱くあらねばならないとして決められた枠に押し込むような行為に思えてしまう。

悪名高きJ.K.ローリング(ハリポタ作者でトランスヘイター)もこのデマを拡散していたとか。被害者のImane KHELIF選手はローリングとイーロン・マスクらに法的措置をとるらしい。
ローリングは本当にそろそろなんらかの制裁を受けてほしい。ハリー・ポッターを持ち上げるのももうやめよう。舞台ももう上演しなくていいし、テーマパークもやめたほうがいい。さすがにここまで来ると、作者と作品は別だという言い分ももう苦しくなるのでは。


コカ・コーラとコロンブスとイスラエル

2024年06月15日 | 政治・社会

Mrs. GREEN APPLEのコロンブス等を題材にしたMVが炎上した。消されてしまったようなので実際のものを確認はできないが、内容の要約を読むとかなり植民地主義的で上から目線な内容だったことが窺える。
こんなものが一時的にでも世に出てしまったのが残念だと思う一方、あれが即座に炎上する時代で良かったとも思う。私の子供の頃だったら問題視されずスルーされていただろうし。

昔はコロンブスって好意的に扱われて偉人みたいに言われてたよな。当時から疑問だったけど、アメリカ大陸「発見」とか言われて。ルネサンスの三大「発明」って言われてるものだって全部中国が発明したもので西洋人は改良しただけなのに変だな、ってずっと思っていた。あまりにもヨーロッパ目線で。それから少しずつ流れが変わってきたように思う。
近年、各地でコロンブスをはじめとする侵略者たちの銅像が倒されたりしているが、こうした動きのことは日本ではあまり知られていないのかもしれない。Mrs. GREEN APPLEの人たちは若そうだけどコロンブスが偉人扱いされていた頃の認識で止まっているのだろう。

Mrs. GREEN APPLEには差別の意図は無かったのに、って庇う人がチラホラいるが、差別に意図なんて全く関係ないから。むしろ意図なく差別してしまうほうが根深い問題をはらんでいる、とさえ言える。
ただこれはMrs. GREEN APPLEだけの責任では決してない。大勢の人間が関わっていたのにどうして止められなかったのか。問題点を指摘する人はいなかったのか。問題を感じていても権力が無いから言い出せなかったか、言っても無視されたのか。

そして一番罪が重いのはコカ・コーラだと思う。あのMVをすぐに引っ込めたことは良かった。それだけは。ただコメント、態度が大問題だった。
「今回の事態を遺憾に受け止めている」とか「MVの内容を事前に把握していなかった」とか「我々はいかなる差別も容認しない」とか。まるで巻き込まれた被害者みたいな言い草。知らなかったわけないだろ。こんなのトカゲの尻尾切りそのものだ。
こんなコメントを真に受けて「コカ・コーラは被害者だ」とか「コカ・コーラを批判しているのはMrs. GREEN APPLEのファンだけ」なんて言っている人間が少なからずいるのも頭が痛い。権力を持ってる側に甘いタイプだな。

大体、コカ・コーラってイスラエル支援企業で、パレスチナ人をおもいっきり差別してるじゃないか。どの口で「いかなる差別も容認しない」とか言ってるんだ。だから私は以前からコカ・コーラ社の製品は避けてるし、それはこれからも変わらない。
あのMVはコカ・コーラにはむしろふさわしい内容だと私は思った。植民地主義的なコカ・コーラの精神を見事に表していて。これをきっかけにコカ・コーラ社の悪質さが広まってほしい。
ちなみにペプシもイスラエル支援企業なので、コカ・コーラをボイコットする際の代替としてはおすすめできない。イスラエル支援企業以外のコーラだと、DyDoの復刻堂コーラなどがある。

ちなみに日本に比べて欧米が植民地主義主義を反省しているとか差別に関する認識がしっかりしているとは思わない。そういうことを言う人は多いけど、それは欧米を美化しすぎ。植民地主義に関する本質的な反省があったならイスラエルを支持なんてするわけがないし。ドルガバのアジア人差別丸出しの広告及びその後の無反省な態度だって記憶に新しい。だからって日本がこのままでいいことには勿論ならないが。
自称リベラルの人で欧米にしか目を向けない+やたらに欧米を美化する悪癖がある人が一定数いるけど、改めてほしい。第一、植民地主義に一番敏感なのは欧米じゃなくて植民地支配を受けた国々だから。当然のことだけど。

Mrs. GREEN APPLEにはこれからいろいろ勉強してほしい、認識を改めていってほしいと思う。そしてこれからはイスラエル支援企業に関わらないでほしい。
イスラエルを支援しているマクドナルドやコカ・コーラのCMにホイホイ出るタレントが多すぎて、残念だなと常々思っている。そりゃCMは稼げるだろうけど、なんだかな。
中でも、ずっとソーダストリーム(イスラエル企業)のCMに出続けている上戸彩は特に罪が思い。ソーダストリームのCMに関しては、批判的な意見を寄せる人もそれなりにいただろうし、最初はソーダストリームがどんな会社か知らなかったとしても今は知っているだろう。それでも無視し続けているんだろうな。

自分の推しがこれからイスラエル支援企業のCMに出演したりしたら、ショックだろうな。だから推しなんて作らないに限る。あるいは普段の言動を見て慎重に選ぶか。
まあそんな仕事をさせる事務所のほうが問題なのかもしれないけど。タレントにどこまで拒否権があるのかも知らないし。でもやっぱり嫌だし確実に私の中で印象は悪くなる。イスラエル支援企業の広告に出したほうがイメージダウンに繋がる、だから避けられるって時代が来てほしい。そしてなによりもイスラエルによる植民地支配が終わってほしい。


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日本でも蔓延するイスラモフォビア

2024年06月09日 | 政治・社会

少し前にエドワード・サイードの「イスラム報道」を読んだ。メディアがイスラムについての偏見を助長するような報道を繰り返していること、メディアの姿勢がそうなので報道すればするほどイスラムについての誤解が広まっていくことなどが語られていた。他の宗教と異なり、イスラム教についてはろくな知識もない人間がもっともらしく記事を書いたり語ったりすることが許されていることなども。

サイードが書いているのは主にアメリカ(+ヨーロッパ)の事例だろうが、日本もそう変わらないな、と思った。多分アメリカの影響を強く受けているからだろう。イスラム教に限らず、例えば中国などに対しても反中感情を煽るような報道ばかりが見られる。

日本の報道に関して言えば、中国に関しては昔と比べてひどくなる一方のように感じるが、イスラムについては昔に比べれば多少は落ち着いてきたかな、とは思う。今がマシというよりは昔が本当にひどかっただけだが。
20年くらい前だったかな、なにかのニュース番組でコメンテーターがイスラム教徒全体をテロリスト予備軍扱いするような発言をしていて、それに誰も異論を唱えなかったのを見た。かなり前だけどそのときのことは酷すぎて忘れられない、そいつの名前を覚えておけばよかった。
さすがに今だったらあれは炎上すると思う。そうであってほしい。

最近はイスラム教徒=テロリストみたいな物言いは流石に差別だと認識する人が大半になったとは思うし、報道によってイスラム嫌悪が煽られる頻度も減ってはいる。でも依然としてイスラム教徒に対する強い偏見は存在している。
イスラム教徒は保守的で後進的で女性差別的で性的少数者を迫害する、というイメージを多くの人が共有しているようだ。そしてキリスト教徒はそうではないらしい。キリスト教徒の宗教右派なんてひどいもんなのに、イスラム教徒ばかり保守的な面が強調される。リベラル風の人でさえその種の偏見を躊躇なく披露する。
フェミニスト風の人も、女性差別のひどいところの代表として「イスラム国家」をすぐに持ち出してくる。具体的にどこの国かも曖昧なまま、雑に出してくる。治部れんげなんかはまさしくそういうタイプのフェミニストだ。あの人の実写版「アラジン」評を見てしまったことがあるが本当にキツかった。

イスラエルがどれだけ滅茶苦茶なことをやっても味方する人間が決して少なくない数でいるのは、こうしたイスラム教徒に対する強い偏見のせいも大いにあるだろう。そしてかれらはパレスチナ側の発表は疑う一方イスラエルの公式発表だけは鵜呑みにするということをなんの疑問もなく無意識にやっている。
まあパレスチナ人=イスラム教徒という見方も正しくないが。確かに割合としてはイスラム教徒が多いが、キリスト教徒もいて共存しているし。かつてはユダヤ教徒とも平和に共存していたのに、イスラエルのせいでそれがぶち壊されてしまった。

こうした反イスラムの観点からイスラエルを強力に擁護する代表格は、日本だと飯山陽になるのだろうか。イスラエルが大好きで、いつでも全面的にイスラエルの味方になっていて、「日本の報道はパレスチナ寄りすぎる」などと言っているらしい。こういうのがエドワード・サイードの言うところのオリエンタリストなのかもしれない。それにしたってレベルが低いが。
飯山はイスラム学者を自称しているが学会からは認められておらず、アラビア語の翻訳も間違いだらけで度々指摘を受けている。それでも日本人はイスラムについての知識も薄くアラビア語も全くわからない人が多いから(私もそうだが)、こんな輩に簡単に騙されてしまう。
決してネット右翼などではない、自民党に批判的な立場の人が「イスラム圏の女性差別はこんなにひどい」という内容の飯山のツイートをRTしているのを見てしまってがっかりさせられたは何度かある。流石に今はネット右翼以外には飯山の酷さが知れ渡って、そんな人はほぼいなくなったと信じているが。


「舟を編む」ドラマ版が最高だった話

2024年05月22日 | 映画・ドラマ

「舟を編む」のドラマを見終わった。原作が好きなので、馬締さんじゃなくて途中加入の岸辺さんが主人公になっていることに最初は抵抗があったけど、見てみたらとても面白かった。アニメも映画も見たし、どっちも良かったけど、今までの「舟を編む」の映像化でこのドラマ版が一番好きかもしれない。

原作に無いシーンてんこ盛りだけど大事な部分は変えていなくて、ちゃんと原作を尊重しているのが伝わるから違和感なく見られる。コロナや電子化など最近の事情も入れつつ、本筋は崩さず。辞書オタクの描写、みんなの言葉に対する愛の描写もいいし。「ヌメらない未来」って台詞、ドラマオリジナルだけど馬締さん言いそうだし。
原作そのまま映像化しても面白くないから、ドラマならではのアレンジはやっぱり必要なんだとわかった。そのままなら原作を読めばいいだけなので、わざわざ新しいものを作る必要はない。かと言って原作の大事な部分を変えてしまったら駄目で、その塩梅が難しいんだけど。問われるのは原作に対する愛情とアレンジのセンスだろうな。

オリジナルキャラで岸辺さんの彼氏が出てくるけど、原作でも「私は彼氏に振られたばかりなのに」って言ってるから、そこを膨らませたんだろうなと伝わる。天童くんもオリジナルキャラだけど、学生アルバイトは原作にもたくさんいて、その名前や個性は全く描かれなかったけどこんな子もいたかもね、と思えるし。ただ、ずっと編集部に入り浸ってていつ大学行ってるんだとは思った。

原作キャラクターについても文句なし。
馬締さんはとても合っていた。映画もいいけどドラマの馬締さんもいい。香具矢さんは映画よりずっとずっといい。映画版の宮崎あおいは綺麗系と言うより可愛い系なので香具矢さんとしては違和感があったけど、今回は綺麗系の人でドンピシャ。岸辺さんは元読モになっていたりと多少設定を変えてあるけどこれはこれでアリ。

宮本さんは、原作ではもっとイケメン風(あくまで風)の人だったのかなとは思うけど、矢本悠馬で良かった。メールの文面で思い悩むシーンが印象的だった。誠実さが溢れていて、岸辺さんが好きになるのも説得力がある。岸辺さんのほうが背が高いところが個人的には萌えポイント。最初の長身イケメンの彼氏とは対照的で、これは岸辺さんが変わったということも表しているのかも。

西岡さんのチャラさもしっかり再現されていた。原作の西岡さんはもっと三枚目だった気はするが、これはこれで。
私は原作の馬締さんと西岡さんの関係が好きだ。対象的な二人が、最初はギクシャクしているけどだんだん絆を深めて互いを認め合うようになる感じがツボで。だから西岡さんがどちらかと言うと脇に回っている今回の話は、初めての映像化だったら受け入れがたかったかも。西岡さんの出番がしっかりあったアニメ版を経ていたのが良かったのかもしれない。ただドラマ版では、わかりやすく西岡さんのことが大好きな馬締さんの姿が見られるので、そこはとても良い。

原作と一番違うのは岸辺さんが馬締さんと同居しているところかな。確かに岸辺さんを主人公にしつつ本来の主人公である馬締さんの出番を増やすには合理的ではある。引っ越しの理由は若干腑に落ちないが。振られた彼氏と一緒に住んでいた家にずっといるのも辛いかもしれないが、会社の上司と一緒に住むのもそれはそれでもっと辛くないか?
あとは松本先生の生存エンド。ここは大胆アレンジでびっくりした。でも全然嫌な感じはしない。むしろ嬉しい。原作の切ない結末も良かったけど。