場末の雑文置き場

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コカ・コーラとコロンブスとイスラエル

2024年06月15日 | 政治・社会

Mrs. GREEN APPLEのコロンブス等を題材にしたMVが炎上した。消されてしまったようなので実際のものを確認はできないが、内容の要約を読むとかなり植民地主義的で上から目線な内容だったことが窺える。
こんなものが一時的にでも世に出てしまったのが残念だと思う一方、あれが即座に炎上する時代で良かったとも思う。私の子供の頃だったら問題視されずスルーされていただろうし。

昔はコロンブスって好意的に扱われて偉人みたいに言われてたよな。当時から疑問だったけど、アメリカ大陸「発見」とか言われて。ルネサンスの三大「発明」って言われてるものだって全部中国が発明したもので西洋人は改良しただけなのに変だな、ってずっと思っていた。あまりにもヨーロッパ目線で。それから少しずつ流れが変わってきたように思う。
近年、各地でコロンブスをはじめとする侵略者たちの銅像が倒されたりしているが、こうした動きのことは日本ではあまり知られていないのかもしれない。Mrs. GREEN APPLEの人たちは若そうだけどコロンブスが偉人扱いされていた頃の認識で止まっているのだろう。

Mrs. GREEN APPLEには差別の意図は無かったのに、って庇う人がチラホラいるが、差別に意図なんて全く関係ないから。むしろ意図なく差別してしまうほうが根深い問題をはらんでいる、とさえ言える。
ただこれはMrs. GREEN APPLEだけの責任では決してない。大勢の人間が関わっていたのにどうして止められなかったのか。問題点を指摘する人はいなかったのか。問題を感じていても権力が無いから言い出せなかったか、言っても無視されたのか。

そして一番罪が重いのはコカ・コーラだと思う。あのMVをすぐに引っ込めたことは良かった。それだけは。ただコメント、態度が大問題だった。
「今回の事態を遺憾に受け止めている」とか「MVの内容を事前に把握していなかった」とか「我々はいかなる差別も容認しない」とか。まるで巻き込まれた被害者みたいな言い草。知らなかったわけないだろ。こんなのトカゲの尻尾切りそのものだ。
こんなコメントを真に受けて「コカ・コーラは被害者だ」とか「コカ・コーラを批判しているのはMrs. GREEN APPLEのファンだけ」なんて言っている人間が少なからずいるのも頭が痛い。権力を持ってる側に甘いタイプだな。

大体、コカ・コーラってイスラエル支援企業で、パレスチナ人をおもいっきり差別してるじゃないか。どの口で「いかなる差別も容認しない」とか言ってるんだ。だから私は以前からコカ・コーラ社の製品は避けてるし、それはこれからも変わらない。
あのMVはコカ・コーラにはむしろふさわしい内容だと私は思った。植民地主義的なコカ・コーラの精神を見事に表していて。これをきっかけにコカ・コーラ社の悪質さが広まってほしい。
ちなみにペプシもイスラエル支援企業なので、コカ・コーラをボイコットする際の代替としてはおすすめできない。イスラエル支援企業以外のコーラだと、DyDoの復刻堂コーラなどがある。

ちなみに日本に比べて欧米が植民地主義主義を反省しているとか差別に関する認識がしっかりしているとは思わない。そういうことを言う人は多いけど、それは欧米を美化しすぎ。植民地主義に関する本質的な反省があったならイスラエルを支持なんてするわけがないし。ドルガバのアジア人差別丸出しの広告及びその後の無反省な態度だって記憶に新しい。だからって日本がこのままでいいことには勿論ならないが。
自称リベラルの人で欧米にしか目を向けない+やたらに欧米を美化する悪癖がある人が一定数いるけど、改めてほしい。第一、植民地主義に一番敏感なのは欧米じゃなくて植民地支配を受けた国々だから。当然のことだけど。

Mrs. GREEN APPLEにはこれからいろいろ勉強してほしい、認識を改めていってほしいと思う。そしてこれからはイスラエル支援企業に関わらないでほしい。
イスラエルを支援しているマクドナルドやコカ・コーラのCMにホイホイ出るタレントが多すぎて、残念だなと常々思っている。そりゃCMは稼げるだろうけど、なんだかな。
中でも、ずっとソーダストリーム(イスラエル企業)のCMに出続けている上戸彩は特に罪が思い。ソーダストリームのCMに関しては、批判的な意見を寄せる人もそれなりにいただろうし、最初はソーダストリームがどんな会社か知らなかったとしても今は知っているだろう。それでも無視し続けているんだろうな。

自分の推しがこれからイスラエル支援企業のCMに出演したりしたら、ショックだろうな。だから推しなんて作らないに限る。あるいは普段の言動を見て慎重に選ぶか。
まあそんな仕事をさせる事務所のほうが問題なのかもしれないけど。タレントにどこまで拒否権があるのかも知らないし。でもやっぱり嫌だし確実に私の中で印象は悪くなる。イスラエル支援企業の広告に出したほうがイメージダウンに繋がる、だから避けられるって時代が来てほしい。そしてなによりもイスラエルによる植民地支配が終わってほしい。


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日本でも蔓延するイスラモフォビア

2024年06月09日 | 政治・社会

少し前にエドワード・サイードの「イスラム報道」を読んだ。メディアがイスラムについての偏見を助長するような報道を繰り返していること、メディアの姿勢がそうなので報道すればするほどイスラムについての誤解が広まっていくことなどが語られていた。他の宗教と異なり、イスラム教についてはろくな知識もない人間がもっともらしく記事を書いたり語ったりすることが許されていることなども。

サイードが書いているのは主にアメリカ(+ヨーロッパ)の事例だろうが、日本もそう変わらないな、と思った。多分アメリカの影響を強く受けているからだろう。イスラム教に限らず、例えば中国などに対しても反中感情を煽るような報道ばかりが見られる。

日本の報道に関して言えば、中国に関しては昔と比べてひどくなる一方のように感じるが、イスラムについては昔に比べれば多少は落ち着いてきたかな、とは思う。今がマシというよりは昔が本当にひどかっただけだが。
20年くらい前だったかな、なにかのニュース番組でコメンテーターがイスラム教徒全体をテロリスト予備軍扱いするような発言をしていて、それに誰も異論を唱えなかったのを見た。かなり前だけどそのときのことは酷すぎて忘れられない、そいつの名前を覚えておけばよかった。
さすがに今だったらあれは炎上すると思う。そうであってほしい。

最近はイスラム教徒=テロリストみたいな物言いは流石に差別だと認識する人が大半になったとは思うし、報道によってイスラム嫌悪が煽られる頻度も減ってはいる。でも依然としてイスラム教徒に対する強い偏見は存在している。
イスラム教徒は保守的で後進的で女性差別的で性的少数者を迫害する、というイメージを多くの人が共有しているようだ。そしてキリスト教徒はそうではないらしい。キリスト教徒の宗教右派なんてひどいもんなのに、イスラム教徒ばかり保守的な面が強調される。リベラル風の人でさえその種の偏見を躊躇なく披露する。
フェミニスト風の人も、女性差別のひどいところの代表として「イスラム国家」をすぐに持ち出してくる。具体的にどこの国かも曖昧なまま、雑に出してくる。治部れんげなんかはまさしくそういうタイプのフェミニストだ。あの人の実写版「アラジン」評を見てしまったことがあるが本当にキツかった。

イスラエルがどれだけ滅茶苦茶なことをやっても味方する人間が決して少なくない数でいるのは、こうしたイスラム教徒に対する強い偏見のせいも大いにあるだろう。そしてかれらはパレスチナ側の発表は疑う一方イスラエルの公式発表だけは鵜呑みにするということをなんの疑問もなく無意識にやっている。
まあパレスチナ人=イスラム教徒という見方も正しくないが。確かに割合としてはイスラム教徒が多いが、キリスト教徒もいて共存しているし。かつてはユダヤ教徒とも平和に共存していたのに、イスラエルのせいでそれがぶち壊されてしまった。

こうした反イスラムの観点からイスラエルを強力に擁護する代表格は、日本だと飯山陽になるのだろうか。イスラエルが大好きで、いつでも全面的にイスラエルの味方になっていて、「日本の報道はパレスチナ寄りすぎる」などと言っているらしい。こういうのがエドワード・サイードの言うところのオリエンタリストなのかもしれない。それにしたってレベルが低いが。
飯山はイスラム学者を自称しているが学会からは認められておらず、アラビア語の翻訳も間違いだらけで度々指摘を受けている。それでも日本人はイスラムについての知識も薄くアラビア語も全くわからない人が多いから(私もそうだが)、こんな輩に簡単に騙されてしまう。
決してネット右翼などではない、自民党に批判的な立場の人が「イスラム圏の女性差別はこんなにひどい」という内容の飯山のツイートをRTしているのを見てしまってがっかりさせられたは何度かある。流石に今はネット右翼以外には飯山の酷さが知れ渡って、そんな人はほぼいなくなったと信じているが。


「舟を編む」ドラマ版が最高だった話

2024年05月22日 | 映画・ドラマ

「舟を編む」のドラマを見終わった。原作が好きなので、馬締さんじゃなくて途中加入の岸辺さんが主人公になっていることに最初は抵抗があったけど、見てみたらとても面白かった。アニメも映画も見たし、どっちも良かったけど、今までの「舟を編む」の映像化でこのドラマ版が一番好きかもしれない。

原作に無いシーンてんこ盛りだけど大事な部分は変えていなくて、ちゃんと原作を尊重しているのが伝わるから違和感なく見られる。コロナや電子化など最近の事情も入れつつ、本筋は崩さず。辞書オタクの描写、みんなの言葉に対する愛の描写もいいし。「ヌメらない未来」って台詞、ドラマオリジナルだけど馬締さん言いそうだし。
原作そのまま映像化しても面白くないから、ドラマならではのアレンジはやっぱり必要なんだとわかった。そのままなら原作を読めばいいだけなので、わざわざ新しいものを作る必要はない。かと言って原作の大事な部分を変えてしまったら駄目で、その塩梅が難しいんだけど。問われるのは原作に対する愛情とアレンジのセンスだろうな。

オリジナルキャラで岸辺さんの彼氏が出てくるけど、原作でも「私は彼氏に振られたばかりなのに」って言ってるから、そこを膨らませたんだろうなと伝わる。天童くんもオリジナルキャラだけど、学生アルバイトは原作にもたくさんいて、その名前や個性は全く描かれなかったけどこんな子もいたかもね、と思えるし。ただ、ずっと編集部に入り浸ってていつ大学行ってるんだとは思った。

原作キャラクターについても文句なし。
馬締さんはとても合っていた。映画もいいけどドラマの馬締さんもいい。香具矢さんは映画よりずっとずっといい。映画版の宮崎あおいは綺麗系と言うより可愛い系なので香具矢さんとしては違和感があったけど、今回は綺麗系の人でドンピシャ。岸辺さんは元読モになっていたりと多少設定を変えてあるけどこれはこれでアリ。

宮本さんは、原作ではもっとイケメン風(あくまで風)の人だったのかなとは思うけど、矢本悠馬で良かった。メールの文面で思い悩むシーンが印象的だった。誠実さが溢れていて、岸辺さんが好きになるのも説得力がある。岸辺さんのほうが背が高いところが個人的には萌えポイント。最初の長身イケメンの彼氏とは対照的で、これは岸辺さんが変わったということも表しているのかも。

西岡さんのチャラさもしっかり再現されていた。原作の西岡さんはもっと三枚目だった気はするが、これはこれで。
私は原作の馬締さんと西岡さんの関係が好きだ。対象的な二人が、最初はギクシャクしているけどだんだん絆を深めて互いを認め合うようになる感じがツボで。だから西岡さんがどちらかと言うと脇に回っている今回の話は、初めての映像化だったら受け入れがたかったかも。西岡さんの出番がしっかりあったアニメ版を経ていたのが良かったのかもしれない。ただドラマ版では、わかりやすく西岡さんのことが大好きな馬締さんの姿が見られるので、そこはとても良い。

原作と一番違うのは岸辺さんが馬締さんと同居しているところかな。確かに岸辺さんを主人公にしつつ本来の主人公である馬締さんの出番を増やすには合理的ではある。引っ越しの理由は若干腑に落ちないが。振られた彼氏と一緒に住んでいた家にずっといるのも辛いかもしれないが、会社の上司と一緒に住むのもそれはそれでもっと辛くないか?
あとは松本先生の生存エンド。ここは大胆アレンジでびっくりした。でも全然嫌な感じはしない。むしろ嬉しい。原作の切ない結末も良かったけど。


イスラエルを止めるためのオンライン署名

2024年03月31日 | 政治・社会

イスラエルによるパレスチナ人虐殺がエスカレートしている。これに対して自分は何もできないと思ってしまいがちだが、日本にいながらでも抗議する方法はいくらでもある。SNSやブログで情報を発信する、デモに参加する、イスラエル企業やイスラエル支援企業の商品を買わない、逆にパレスチナ系の商品を積極的に買う、寄付をする、署名をする、など。

このうちの「署名」について。特にオンラインでの署名はデモよりも手軽で、時間が無い人でも出来る。特にChange.orgは一度名前とメールアドレスを登録すれば後はワンクリックで署名できるので手軽だと思う。そこで、パレスチナ関連+αの署名で私が趣旨に賛同できると思ったものをいくつか挙げてみる。


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「ちはやふる」最終巻感想

2024年03月24日 | 漫画・アニメ

「ちはやふる」最終巻をようやく読んだが、どうも釈然としない何かを感じてしまった。千早と太一がくっついたのが意外、というか唐突に思えてしまったので。差別描写などを含まない限りどんな結末にするのも作者の勝手ではあるけど、私は好みではないなと。

新と太一には大体同時期くらいに告白されていたと思うけど、千早の反応が大分違っていて、これは千早は新のほうが恋愛的に好きなんだろうな、としか受け取れなかった。太一のことは即振ったのに対して、新に告白されたときはもっと嬉しそうだったような。「私は一生かるたが好きで、新が好き」ってモノローグもあったよな。あれはなんだったのか。心変わりするまでの千早の心の動きの描写も無かったし。

太一エンドにモヤッとしてしまったのは、正直に書くと私が太一のことをあまり好きじゃないのもある。私は「ちはやふる」を熱血かるた漫画として読んでいて、恋愛要素はむしろノイズだと思っていた。だからみんながかるたのことに邁進している中、恋愛のことでウジウジする太一が正直鬱陶しかった。このウジウジ描写にかなりの尺が割かれていたので余計に。

同意を得ないキスをしたのも私の中での太一の好感度を大いに下げた。これは立派な加害行為であって許されないので。そのこともあって太一エンドの芽は完全になくなったんだろうなと思っていたんだが。
それに小学生時代の最初の方は新のことを思いっきりいじめてたよな。それも自分が中心になって。それも最低だ。新が許しても私は忘れないからな。そんなクソガキが成長していい奴になった、っていうのは確かに悪くないけど、結局千早に加害したりしていたので回復しかけていた信頼が地に落ちた。

家は金持ちで誰もが認めるイケメンで成績も学校で一番で運動神経も良くて女子からも男子からも好かれる人気者、って設定も嫌味に感じてしまってそこも駄目だった。かるたでは新や千早に勝てなくて、好きな子には振り向いてもらえない、ってそこまで不憫かな? 他の恵まれすぎてる要素を打ち消すほどの不憫さとは到底思えないんだけど。
それと、太一は恋愛>>>>>>友情みたいな感じで、そういうところも少し嫌だった。私は恋愛より友情を大事にする人のほうが好きなので。新のほうがちゃんと太一を友達として認識していたような。いじめられてたのに。

かと言って私は別に新推しとか新とくっついてほしかったというわけでも特にない。恋愛漫画じゃなくてかるた漫画として見ていたので、誰ともくっつかない爽やかなエンドでも良かった。どちらかとくっつくなら、新。そのほうが唐突感なく綺麗に終われたと思う。

太一の好感度が(私の中で)低いので太一と新の二人だったら断然新だけど、一番好きなキャラは机くんかな。この漫画の恋愛要素は基本的に邪魔だと思ってるけど、かなちゃんと机くんとの話は微笑ましく見られた。あと、一番感動したのはヒョロくん活躍回だったり。この漫画では脇キャラがいい味を出していて、それで最後まで読めたのかもしれない。