現代日本語「誤」百科 861 採用後になって差別する を、例題にしている。~になって の表現を議論する。そして、採用後 というのを取り上げる。まず、~になって について、ある事柄と別の事柄が相容れない状態だとする。事態の推移をとらえた表現だと解釈している。もともとは変化を表す語法である。また、採用後 は継続状態があって、採用後になって というのは、継続であるから、時点を表す表現とは相いれないとするが、なんだかややこしくてわからない。ここは時間の継続だけが意味されているのではないので、 採用が決まったあとにということであるから、~になる というのを決定と見ればよい。 . . . 本文を読む
標識を英語に変えると言う。交差点や道案内で漢字の下にローマ字表記があったのを、英文にするというわけだ。読めないからだと言う。読むために付けてあった、読み仮名のローマ字書きだ。これは意味のある事であった。どういう意味か。読み仮名があれば、それで日本語表記の問題が解決する。日本人向けにも駅名などの平仮名があるではないか。それは漢字を読めないと言う、ニュースによれば外国人からの苦情だと言うけれど、だからそれにローマ字がついていたはずだ。それを読むことができて、その意味を分かって、もちろん辞書がいるだろうけれど、それで日本語表記に慣れようというのだけれど、英文にすることで、辞書を引く手間がなくなったわけだ。固有名が多い地名にはそうもいかないところ、首都の観光のためにするとして、これは日本語表記の持つ困難さを解決したつもりだろうが、どうだろう。 . . . 本文を読む
けが、怪我と宛てる。けが は、負傷の意味で用いる。もともとは、あやまってからだに傷を負うことと、説明されるように、過ち の意味がある。汚れる、穢れるという意味の、けがる を語源とするという。用例は中世以後か。日本国語大辞典によると、あやまちをしでかすこと。そそうをすること、また、その事柄、あやまち、過失、として、御伽草子・酒呑童子、室町末、心ゆるしてけがするな、を挙げる。また、思いがけず傷つくこと、過失によって負傷すること、また、その負傷、きず、として、虎明本狂言、痩松、室町末~近世初、やれおのれははしたなひ女じゃ、おこせひならはやらふ、けがをするな、を挙げる。さらに、次の語義説明がある。 >江戸時代の法律用語。広義と狭義の二種があり、前期には無意犯全部、すなわち過失犯と偶然の出来事の両者を含む広義に用いられたが、後期には過失犯だけをさす狭義に用いられた。なお、過失犯には、不念で犯した重過失と、ふと犯した軽過失などが含まれた。 . . . 本文を読む
生きていくには欲がいると気づいた。手術を受けて回復を図るときの思いだ。これは人生で2度目だから、よくよく救われない、いや二度も生き返った思いか。18のときと47年を経てのいま、いずれも、15から50年を数えることになる。体を慣らしてふと、気づくのである。欲という字義は、字通によれば、声符は谷、よう、谷に容よう、浴よく、裕ゆう の声があり、容は神容、浴・欲はその神容に接する法をいう、と解説し、これまで知っていた、谷を空虚、欠けん は口を開いて欲する意であるとするが、そのような造字の法はない、と説明している。明解だ。彷彿として神容のあらわれる意、その神容を拝するを願うを欲、その神容に接するを裕という、と解説する。この字義を知って、またそうであったかと思うことしきりだ。なんとなれば、白川静漢字学で、欲は、神につかえる態度をいう語である、人の欲望には慾という、とあるからである。 . . . 本文を読む
音声の記述について国際音声記号を用いる。The International Phnetic Alphabetである。略してIPAという。音声について、国際音声字母とも言う。国際音声学会 the International Phonetic Associatio こちらもIPAと略称される、が、国際音声記号と呼ばれる発音記号の開発と制定をおこなった。1999年に、ケンブリッジ大学出版局より国際音声記号のハンドブック Handbook of the International Phonetic Association を発行し、音声記号の最新の版は2005年に改訂されたものである、2011年現在、と言う。日本語発音の一覧は、日本語東京方言による標準語の発音表記について、音声学会1993年改訂版によるものが、大辞林に示される。発音記号で[ ]でくくって表す。日本語の音韻論は、プラハ学派とブルームフィールド学派の音韻論の影響を受け、代表的な学者として、有坂秀世や服部四郎がいる。音声学と音韻論の分離に貢献したのが、プラハ学派またプラーグ学派である。この学派は、ソシュールのラングとパロールの区別に影響を受け、音声におけるラングの研究として、音韻論の確立に努めた。つまり、音声におけるパロールを研究するのが音声学であり、ラングを研究するのが音韻論ということである。音韻は単音につき、音素を/ /でくくって示す。 . . . 本文を読む
続日本紀しょくにほんぎ 天平9年末の記事に、 >この年の春、瘡のできる疫病が大流行した。はじめ九州で広がり、夏から秋にいたるまで。公卿をはじめとして天下の人民が相ついで亡くなり、その数は数えることができないほどであった。これは最近までなかったことである と記している。天平時代に来日した鑑真は医薬に詳しかった。書物に、鑑真秘法 として残されている。鑑真は医薬を持ってきた。正倉院薬物の目録に載る、阿伽陀薬はインド産で、この書に処方がある。鑑真は名医でもあった。医薬によって治療した。僧は医学知識に通じ医薬をあつかった。良弁、慈訓、安寛は僧医であるし、多くの看病僧がいたのである . . . 本文を読む