市民会館で開催されていた茨城談書会展を見てきました。書家に酒の好きな人が多いからなのか、中国の詩に酒がよく出てくるからなのか、いくつもの書で酒に関する字が目につきました。
書は小林千早です。唐代の詩人・白楽天(はくらくてん)の詩だそうです。始めの7字は「甕頭竹葉経春熟」で、「甕(かめ)に入った酒(竹葉)は春になって熟し」、最後の7文字が「心期同醉卯時盃」で、「一緒に卯酒(ぼうしゅ 午前6時頃(朝)に飲む酒)を飲んで酔いたいものだ」といった意味のようです。朝の花を見に来ませんかとうたった詩のようです。
書は境田桂風です。唐代の詩人で酒仙といわれた、李白(りはく)の「将進酒」(酒をささげ進むる歌)という詩だそうです。中央あたりに「会須一飲三百杯」とありますが、「すべからく一気に三百杯飲むべきだ」ということだそうです。いかにも誇張した昔の中国風の言い方ですね。この詩などは、文章の至る所酒だらけといった感じのようです。
書は水上煌雲です。唐代の詩人・王翰(おうかん)という人の「涼州詞」という有名な詩だそうです。始めの部分は「葡萄美酒 夜光杯 欲飲琵琶 馬上催」で、「ブドウの美酒を夜に光る杯に注いで飲もうとすると馬上で弾く琵琶が酒を勧めているようだ」といった意味のようです。西域へ戦に向かう戦士をうたったものだそうです。
書は池田芳翠です。「酒力醒茶烟歇」と書いてあるそうで、宋代の詩人・王元之(おうげんし)の「黄州竹楼記」の一節だそうです。「酒の酔いが醒めるのを待って茶を点てて飲む」という意味だそうです。隠者の雑念のない世界をいっているのでしょうか。
書は石河茜舟です。「竹葉觴」と書かれているそうですが、竹葉は酒のこと、觴はさかずきのことだそうです。全体で、さかずきを意味したり、酒の入ったさかずきのことをいうそうです。竹葉は、笹の葉の露が集って酒になったなどという故事によって、酒のことをいうようになったという説もあるそうです。この竹葉から、日本では「ささ(笹→酒)」という女房詞(にょうぼうことば)もできたそうです。
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