徳川斉昭がつくった偕楽園では、現在梅が開きだしているようです。斉昭は梅が好きだったのでしょうか、梅を詠んだ和歌がたくさんあるようで、そのいくつかをご紹介します。為政者の歌ですから、どちらかというと理屈で読んでいるものが多いようですが、子供の頃から和歌の教育を受けているのでしょうから、技術は高いのでしょう。解釈はまったくいいかげんです。写真は17日に撮った、徳川ミュージアムにある斉昭お手植えの梅です。
残雪
春かけて 残る木陰の しら雪を さ(咲)かて(で)散(ちり)つ(積)む 花かとそ(ぞ)思ふ
梅が咲いてから雪が降り、積もった雪は、咲かないで散った花のように見えるといった意味なのでしょう。
梅
花はよ(世)に たくひ(類)もあれと さ(咲)く梅の かはかり(「香ばかり」と「これほど」との掛詞でしょう)深き 物ハなからむ
梅に似た花は世にあるけれど、咲いた梅の香りほど深いものはないだろう
若木梅
万代(よろずよ)の 春までにほへ(匂え) 今年より みそむる(見初むる)園の 梅の初花
今年から咲き出した梅の初花よ、これからも永遠に春ごとに咲き匂いなさい
夜梅
夢ならハ(ば) 花のすかた(姿)も 見ゆへ(べ)きを 闇はあやなし よハ(夜半)の梅か(が)ゝ(香)
うつつの闇では梅の姿は見えないが、香りは夜も漂っている、夢なら梅の姿も見えるのだろうが
月前梅
さ(咲)く梅の 花はそれとも 見えわ(分)かて おほろ(朧)に霞む 春のよ(夜)の月
春の夜の月の光を受けて、咲いた梅の花がおぼろに霞んで見える
行路梅
主もなき 道の行手の 梅かゝハ いくその人の 袖にしむらん
道の先の方で咲いている持ち主もない梅の香りは、どれほど多くの人の袖にしみ込んだことだろうか
人々梅の木にたにさくを付るをミ(見)て
ふミ(文)好む 木とハしるくも 見えにけり 人の詞(ことば)の 花も匂ひて
梅に下げられた言葉の花(和歌や漢詩の書かれた短冊?)もよい香りがして、梅の木が好文木ということを実感した
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