Feelin' Groovy 11

I have MY books.

流星ワゴン

2006-02-05 | 
hr+さんが読んだ『流星ワゴン』を読んでみた。
『トワイライト』よりか数段良いね。

父と息子の物語ってことだけれど
もうちょっと大きく見ると結局
『果てしない物語』や『海辺のカフカ』と同じ構成
どこか別の場所へ行き何かを体験する。
その後現実へ戻る。
現実へ戻っても周囲の状況は変わっていないが、
自分の意識が変化している。
って話です。

始めは「死んじゃってもいいかなあ、もう」と考えていた主人公が
厳しい現実は変わらなくともそれを受け容れ、
先に進もうとしてるのだから。

文中で橋本さんがこう言ってます。

  「分かれ道は、たくさんあるんです。
   でも、そのときにはなにも気づかない。
   みんな、そうですよね。
   気づかないまま、結果だけが、
   不意に目の前に突きつけられるんです」
   (『流星ワゴン』重松清 講談社文庫)

急に現れたように思われた厳しい現実は
実は自分の人生で自分の判断で選び取ってきた結果なんだと
いうことですね。
結果だけ見て
「家に帰るのも、明日になるのも嫌だぁ」って
言われても自分が選んできたんだから。
逆にこれからも自分の選択次第でどうにでも結果を
変えていけるってこと。


  「私ね、ときどきここに来て、夜空を見上げて、思うんですよ。
   同じ星空でも、星座を知ってるひとと知らないひととでは、
   ぜんぜん見え方が違うんだろうなあ、って。
   ふつうに眺めてるときには、ただばらばらに散らばってるだけの
   星だったのに、つなげ方を知ると、確かにこの星とあの星が
   つながって、こんな形になってるんだとわかるんですよ。
   星座を知らないとぜったいにつながりっこない、遠く離れた二つの
   星だって、いったん知ってしまうと、他につなげようがない気が
   しちゃうんですよね。私ね、死んだから言うわけじゃないですけど、
   ひとの人生も同じだと思うんですよ」
               (『流星ワゴン』重松清 講談社文庫)
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