Feelin' Groovy 11

I have MY books.

パラレル、じゃない。

2008-11-24 | 
長嶋有さんの本を立て続けに読んでます。

今回は『パラレル』。

前奥とかパラするとかの言葉遣いが面白かったり、
「なべてこの世はラブとジョブ」なんて七五調で言われたりすると
なんだか名言のような気がしてしまうセリフが出てきたり、
はたまたテトリスの面白さを私なりに真剣に考えてしまった本でした。

そこここにハマる場面があるのですが、
紹介は1つだけにしておきましょう。。
きっと他の方がとりあげてくれるだろう名場面は除いてw

結婚式で教会にて新郎新婦が退場する場面。。。


   痩せた女が電子オルガンをひき、二人が退場する。
  オルガンの音色は隈なく響いた。よくみると両側の壁に
  ボーズのスピーカーが設置されている。
   再び立ち上がり拍手をつづけながら見送ると、出口の扉の上に
  大きく「非常口」の表示。拍手しながら、皆一瞬そこをみたと思う。
  僕の目は釘付けだった。これはなにかのメタファーなのか。
  汝と汝はどこへ脱出しようというのだ。
                (『パラレル』長嶋有著 文藝春秋)


こういう日常的な観察眼、私は好きですねぇ。。。

そうそう
この本『パラレル』ってタイトルなのに
表紙の装丁の4本の線が最終的に交わっちゃったりしているのも
意味深でいいですねぇ。。


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さらに・・・

2008-11-17 | その他
旅行の3日目は(えへへ、まだ続いていたのだw
新穂高ロープウェイに乗って上まで行って来ました。


                           【2008.10.20】
前に来たのは忘れもしませんが、
bearfieldさんと西穂高に登る目的で上がったとき。
(でも天候不良で途中で断念しましたが)

うーむ。
そうするととっても覚えやすくて
ちょうど20歳のときだわ。

観光客に混じってロープウェイに乗ると
明らかに邪魔なザックを持っている自分たちは
窮屈な思いをしたこととか、
西穂山荘から「さぁ行くかっ」と思った場面とか
登り始めてしばらくしたときの
ガスって視界が悪くなったときの不安な気持ちとか。。。

いつも忘れていることがリアルに思い出されてきて
今の観光客然として同じ位置に立っていることの方が
不思議でした。

思い出って場所につくんですね。

そんな年寄り気分で上がった山頂駅の視界は360度。

北アルプス全開といった景色ですが
見ただけでは槍ヶ岳しか分からない私でした。。。
あとはキレットがなんとなくぅ?

眺めがとてもいいのに、
山が遠すぎて寂しい気がしてきました。
展望台の地面がコンクリートなのが興ざめなのかな。

紅葉が見頃だったので
むしろ降りた道端なぞがとても魅力的な3日目。


                       【鍋平高原駅辺りで】
この様々な色と奥行きがお気に入りな1枚
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沈む太陽の色

2008-11-14 | その他
太陽に呼ばれた。
顔をあげると、壁がオレンジ。



夕日が窓を突き抜け、
私の目の前の白い壁に映っているのだが、
なんだか濃すぎないか?

しばらく見とれていたけれど、
ハっとしてすぐに立ち上がり、
ベランダへ出て空を見た。

急がないと
日なんてすぐに落ちちゃうのだ。

折角だから生で見なきゃね。


                           【2008.11.13】

学生時代、山で見た朝日や夕日はえらく綺麗だと思った。
特別だとも思っていた。
でも今日この自分の家から見られる夕焼けは、
そのときと全く同じ光景ではないか。

山ではそれが一大イベントと言わんばかりに注目するけれど、
日常生活では意識して日の入りをみることがない。

久しぶりにその数分を大事に空を見続けた。
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そろそろなんじゃないか

2008-11-11 | 
芥川賞をとった『猛スピードで母は』を読もうとしたら
一緒に「サイドカーに犬」が収められていた。

昨年だったか映画化されていたので
タイトルだけは知っていたけれど
観ていないし、それが長嶋有の原作だったなんて知らなかった。

本文で目に見えるような印象的な場面があるので
そういうところは映画でよく表現されているんだろうな、
と想像する。

私の気に入ったのは終盤。

   「薫もそろそろなんじゃないの?」と弟はいった。
   私はうろたえた。「そろそろ」というのが結婚を
   意味すると気付くのに少し時間がかかった。
   結婚のことだと気付くと、むしろ私は安心した。
   それよりもっと別のなにかが「そろそろなんじゃないか」という気がする。
   (『猛スピードで母は』より「サイドカーに犬」長嶋有著 文藝春秋)


なにがそろそろなのか。

いろいろ考えたあげく、
主人公の薫が洋子さんに最後に会ったときにもらった、
RCサクセションのテープを聴けるのが、
そろそろだってことに、私の中では落ち着いた。

当時は小4。
たぶん薫は歌を理解できなかっただろう。
でも今の薫なら彼の歌が身にしみるはずだ。
作中登場する「いい事ばかりはありゃしない」の歌詞を借りるならば
そろそろ「何も変わっちゃいない事に気がついて、
坂の途中で立ち止まる」時期だということ。

映画でココはどう表されていたのかな。
省略されてたりしてね。

「いい事ばかりはありゃしない」→歌詞


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LIFE IS NOT FAIR

2008-11-11 | 
主人公が近所の小学生の運動会のかけっこを見て、思う場面。

   スタートラインが横一線ということだって、
  ほんとうはめったにないんだ、と菜穂は思う。
  最初から差がついたまま走りださなければならないことは、
  世の中にたくさんある。
  でも、その代わりゴールだって同じじゃないから、
  1人ずつ違うんだから---------それを信じているから、
  おあいこなんだよ、と笑ってうなずく。
        (『少しだけ欠けた月』季節風 秋より
           「よーい、どん!」重松清著 文藝春秋)




この本は秋の12編が収められていて
どれもこれも普通の日常にありそうな話なのに
どれもこれも泣けてしまう。

あまりにも、うま過ぎて
すっきりし過ぎていて
なんだか物足りなかった。

国語の教科書に載ってるような話ばかり。。

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