『ゲド戦記』は評判が悪いようですね。
ストーリーの展開がスムーズではなく、
私も正直いまいちでしたが、
敢えて良かった点を書きたいと思います。
腕が切り落とされる場面などジブリ作品なのに
子供用ではないと批判している方がみえます。
それは観る側の勝手なジブリ作品への期待ですよね。
私は文末引用箇所を思い出し、
そこは恐ろしくても、
しっかり観ておくべき場面であると思いました。
それを行ったらどういう結果になるのか、
想像力がない人が増えているといわれるなか、
むしろ大事なシーンであったと思います。
また、クモのグロテスクな描写も
人間の欲望に取り憑かれた結果であれば
あのような気持ちの悪い姿になって
しまうのではないでしょうか?と
私は想像力の中で理解できるのですが…
自分がもし子供でこの映画を観たとしても、
「あのような姿にはなりたくない。
永遠の命なんて要らないから
今ある、限りある命を大切にして
生きよう」
なんて思っただろうね。
これ、そのままこの映画のテーマでなかった?
映画を観ている間は
(大事なトコ、会話で説明しちゃってぇ~)と思っていたけれど、
映像から感じ取ることができる部分もあったのではないかと。
昔、サム・ペキンパーの監督した『ワイルド・バンチ』が
公開されたときに、一人の女性ジャーナリストが記者会見の席で
手を挙げて質問した。「いったいどのような理由で、
あれほどの大量の流血の描写が必要なのですか?」
彼女は厳しい声でそう尋ねた。出演俳優の一人である
アーネスト・ボーグナインが困惑した顔でそれに答えた。
「いいですか、レディー、人が撃たれたら血は流れるものなんです。」
(『スプートニクの恋人』村上春樹著 講談社)