Feelin' Groovy 11

I have MY books.

ルースターとは。

2008-02-16 | 
(ルースターとは何ぞや)
と思いながら『午前三時のルースター』を読んでいたが、
それは最後の最後で登場した。

  
  午前三時。東の空にちりばめられた星々は未だ輝き、
  暗い森の向こうから夜鳥の囁く時間帯。
  その夜の世界に幕を引く、高らかな鳴き声をはっきりと聞いた。

  この街で、この国で、
  一番鶏(ルースター)の鳴き声を聞かなくなってから、久しい。
       (『午前三時のルースター』垣根涼介著 文藝春秋
        ()内はホントはルビ)


主人公がサイゴンでは聞けた一番鶏の鳴き声が
日本ではもう聞けなくなったという場面。

一番鶏の鳴き声は夜が明けることを意味する。

日本では夜のようにまだ見えていない部分は既になく、
おおよそ人生の先までが見えてしまっていて、
それをこなしていくだけ。
そんな「夜」の部分がなければ、
また「明ける」ことつまり可能性みたいなものもないということか。

だからみんな、ルースターの声を聞こうとしようじゃないか、
そうすればいつか聞くことができるんじゃないかってとこまで
込められてるのかな。
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