Feelin' Groovy 11

I have MY books.

問題は・・

2008-09-21 | 村上春樹
    問題は、
    誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ
             

先日ぽろっと思い出されてきた言葉は
スプートニク関係だった気がしていたので、探してみた。

周辺の文章はこうだった。

  「人はその人生のうちで一度は荒野の中に入り、健康的で、幾分は
   退屈でさえある孤絶を経験するべきだ。自分がまったくの己れ一
   人の身に依存していることを発見し、しかるのちに自らの真実の
   隠されていた力を知るのだ」

  「そういうのってすてきだと思わない?」と彼女はぼくに言った。
  「毎日山の頂上に立って、ぐるっと360度まわりを見まわして、
   どこの山からも黒い煙が立っていないことを確かめる。一日の仕
   事は、ただそれだけ。あとは好きなだけ本を読み、小説を書く。
   夜になると大きな毛だらけの熊が小屋のまわりをうろうろと徘徊
   する。それこそがまさにわたしの求めている人生なのよ。それに
   比べたら大学の文芸家なんてキュウリのへたみたいなものよ」
  「問題は、誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ」
   とぼくは意見を述べた。
       (『スプートニクの恋人』村上春樹著 講談社 太字:groovy)
        

いつかは人と関わっていかなきゃならないし、
いつかは頭の中から出てこなきゃいけない。

そういうことだ。

普段本を読んでいるとき
少しずつ頭にしまいこんだ文章が
こうして ときどき 落ちてくる。
Comments (6)