問題は、
誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ
先日ぽろっと思い出されてきた言葉は
スプートニク関係だった気がしていたので、探してみた。
周辺の文章はこうだった。
「人はその人生のうちで一度は荒野の中に入り、健康的で、幾分は
退屈でさえある孤絶を経験するべきだ。自分がまったくの己れ一
人の身に依存していることを発見し、しかるのちに自らの真実の
隠されていた力を知るのだ」
「そういうのってすてきだと思わない?」と彼女はぼくに言った。
「毎日山の頂上に立って、ぐるっと360度まわりを見まわして、
どこの山からも黒い煙が立っていないことを確かめる。一日の仕
事は、ただそれだけ。あとは好きなだけ本を読み、小説を書く。
夜になると大きな毛だらけの熊が小屋のまわりをうろうろと徘徊
する。それこそがまさにわたしの求めている人生なのよ。それに
比べたら大学の文芸家なんてキュウリのへたみたいなものよ」
「問題は、誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ」
とぼくは意見を述べた。
(『スプートニクの恋人』村上春樹著 講談社 太字:groovy)
いつかは人と関わっていかなきゃならないし、
いつかは頭の中から出てこなきゃいけない。
そういうことだ。
普段本を読んでいるとき
少しずつ頭にしまいこんだ文章が
こうして ときどき 落ちてくる。
誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ
先日ぽろっと思い出されてきた言葉は
スプートニク関係だった気がしていたので、探してみた。
周辺の文章はこうだった。
「人はその人生のうちで一度は荒野の中に入り、健康的で、幾分は
退屈でさえある孤絶を経験するべきだ。自分がまったくの己れ一
人の身に依存していることを発見し、しかるのちに自らの真実の
隠されていた力を知るのだ」
「そういうのってすてきだと思わない?」と彼女はぼくに言った。
「毎日山の頂上に立って、ぐるっと360度まわりを見まわして、
どこの山からも黒い煙が立っていないことを確かめる。一日の仕
事は、ただそれだけ。あとは好きなだけ本を読み、小説を書く。
夜になると大きな毛だらけの熊が小屋のまわりをうろうろと徘徊
する。それこそがまさにわたしの求めている人生なのよ。それに
比べたら大学の文芸家なんてキュウリのへたみたいなものよ」
「問題は、誰しもいつかは山から下りて来なくちゃならないことだ」
とぼくは意見を述べた。
(『スプートニクの恋人』村上春樹著 講談社 太字:groovy)
いつかは人と関わっていかなきゃならないし、
いつかは頭の中から出てこなきゃいけない。
そういうことだ。
普段本を読んでいるとき
少しずつ頭にしまいこんだ文章が
こうして ときどき 落ちてくる。