過去にあった2時間ドラマ(もしくは連続ドラマ)であり、もう新シリーズが出てくることはありません。
いろんな「家政婦は…」といタイトルのドラマがのちにできましたね。
他の家政婦ものを見たことはありませんが、全て家政婦が一般家庭に派遣され、そこでの家政婦の目線を通した家庭の出来事を描く…という内容だと思っています。
その原点はこれです。
何回見ても飽きない。
主演の市原悦子さんの演技が素晴らしいのと、設定が秀一だったのでしょう。
最初は、土曜ワイド劇場で1回のみということで1983年に『松本清張の熱い空気 家政婦は見た!夫婦の秘密「焦げた」』として登場しました。
それが好評だったようで、シリーズ化が始まります。
けれど原作である松本清張さんの許可が下りなかったため、オリジナルということで、設定が微妙に変わっています。それ以降、松本清張さんの名前は原案という形で残りました。
最初の設定が変わったけど、何が変わっているのかというくらい変化はありません。
ヒロインの名前は違うみたいですね。
主役の秋子が、家政婦として好奇心を持ってそれぞれの家庭に家政婦として派遣される。そして家の中で起きていることを彼女の視線と好奇心越しに描かれる。
秋子は、ときに家政婦としての特権で美味しいお昼をいただいてみたり、ときには相手にこき使われて、翻弄される秋子の姿もコミカルに描かれる。
最後にしっぺ返しのように、その家で得た情報から何かをすると痛い目にあう。余計な首を突っ込んだからだと思うが、でも止められない。
ドラマは、秋子が部屋の窓辺で飼い猫のはるみちゃんを相手に洗濯物を取り込みながら歌っているシーンから始まる。
まさに秋子のミニ劇場で、演じる市原悦子さんの芸の深さが垣間見れるミニコーナーになっています。
冒頭と最後は必ず同じオチで揃えられています。
秋子は、大沢家政婦紹介所の会長さんの家に住み込みをしていて、そこからいろんな家庭に家政婦として派遣されていく。家族はいない。かつて子どもがいたようだが亡くなった(生きているというストーリーもあり)天涯孤独の身の上だ。
大沢家政婦紹介所には、同じように事情がある他の家政婦たちも住み込んでいて、1つの家族のようになっている。しかし住居費用も、出される食事もマッサージも別料金で会長に払っているシビアな関係だ。
ちゃぶ台を囲んで大勢で食事をしながら、今通っている家庭についての情報が語られる。
秋子が選ぶ家庭は、どれも一癖も二癖もありそうな上流階級の家庭ばかりだ。普通なら避けたいが、秋子はいろんなことが知りたいと問題がある家庭を好んでいる。
覗き見趣味は止められないが、家政婦としてはピカイチの存在でもある。
このドラマが現役で人気を誇っていた頃の大半の時代は、世間にはまだ派遣制度というものがなく、どこかで働くということは、就職する、アルバイト、パートで働くという形式が多かったと思う。
この後、派遣社員制度ができ、期間を決めて企業に入るそれまでとは違う働き方ができてきた。
そういう意味では家政婦は、昔から存在する派遣業務ということですね。それも個人のお宅に入るということでは実に濃密な人間関係が起こる。
下世話だけど、何が正しくて何が間違っているか、秋子は自分の目でそれを確かめたいと思う。
当時女性にできる仕事内容はまだ限られていて、まさに家事労働は女性のする仕事としての比重が大きかった。それを武器にして、これと言って特技のなさそうな、地味な一般女性の秋子はどこへ行っても難なく溶け込んでしまう。それを武器に影のように部屋の外から家族の行動を秋子は覗き見る。
いろんな業界の世界を垣間見みながら働く秋子は、時代を垣間見ることにかけては大いなる好奇心の持ち主なのだ。
秋子の好奇心は、多くのテレビの向こうにいるお茶の間の視聴者の好奇心も満足させるに十分だった。
人は誰でも他人のことが気になる。できるなら覗き見たい。その気持ちを上手くドラマとして成立させたのが、最大の魅力だった。
今でもCSなどで思い出したように放送がされています。それだけ魅力のある息の長い作品です。
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