たった一人の弟が51歳で亡くなって1ヶ月が過ぎた。
森田の感情の法則には、「感情はこれを自然に放任すれば消失する」とある。
悲しい気持ち、寂しい気持ちを無理になくしたり、意志の力で忘れようとすると辛い。
ただ、ただ、放任していると仕事や家事に集中しているときがある。
そしてまたふとした瞬間に弟のことが思い出され、寂しい気持ちになる。
その繰り返しである。
私が心からリスペクトしている、アニメ作家やなせたかし先生。
ご存知の通りアンパンマンの生みの親である。
東日本大震災の時にラジオからながれる、アンパンマンマーチが、余震でおびえる子供たちの心に元気を与えたと報じられている。
やなせたかし先生も、戦争で弟さんを亡くされている。しかも20代の前半である。
弟さんのことは、先生の心の中に常にあり、アンパンマンというキャラクターに結晶した。
アンパンマンは特異なキャラクターである。
自分の顔を、おなかのすいて泣いている子供たちに分け与えるのである。
以下やなせ先生の言葉より
「おなかがすいた人にパンを、自分が食べたいけどそれをあげる。これはだれにでもできることだけど、自分が、おなかがすいて死にそうなときに、果たしてそれができるか?自分が傷つくことなくして人を助けることはできない。」
戦争という極限状態で愛や正義を貫くことの厳しさを、やなせ先生は、本当にご存じだったのではないか。
時代は違うけれど、単身赴任の地で仕事のプレッシャーと戦いながら最後まで、家族や部下を守って逝った弟は、私の心の中の永遠のヒーローである。
私には弟がアンパンマンであったと思われてならない。