恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
お年寄りとの対話の続き
さきのおじいちゃんがこのようにおっしゃいました。
「私は今日までいろんな宗教を渡り歩いてきたが、納得がいかないから、
その都度疑問に思うことをいろいろ質問させてもらった。
ところがお前は生意気だから後ろに行けと言っていつも追い払われた」と。
あまりしつこく聞かれて説明ができなくなり、
ひどい所ではもう出て行けと言われたそうです。
ところが、こうして納得のいくまで教えてもらいましたと話されているうちに、
先ほどまで「あんたあんた」と呼んでいたのが、急に「先生」に変わりましたので、
先生なんて言わないで下さいと言ったのですが、「大体、先生は姿や形が
貧弱だからいかん、先生だったらもっと偉そうにしておれ」と言うのです。
そして終わりになりましたら頭を机にすりつけて、
「先生、わしはもう八十何歳になったが、こんなにありがたい先生にめぐり会わせてもらって、
あの世に帰る時のおみやげを頂いた。
年に一度か二度しか会えないけど、どうか私を導いて下さい」と言って、
ひれ伏して拝んでくれました。
それで、私が「寄せてもらっても、一切の求める気持ちはありません。
ただ縁のある方が幸せになってくれたらいい、不幸な方が救われてくれたらいい、
その思いだけで日本国中を回らせてもらっています」と言いますと、
「それでは何をして食うてるのや」と尋ねます。
「私は一生懸命働きます。自分の食べる分ぐらいは自分で稼ぎます。
そして余ったお金を旅費にして、会場を借りていただいた場合は、
私も負担して全国を回っています」と言うと、
「あんたよっぽどボロイ仕事をしてるのやなあ」(笑い)。
「いやいや、私は普通ですけど、神様が与えた下さったのです。
私はもう結構ですから、これ以上頂きませんようにと言いましても、
神様のほうがいやいやあなたにはもっとしてあげなくては気が済まないと言って下さいます」と言うと、
「あんた得な人やのう」(笑い)。
まず自分が出しますと、普通は損をすると思いますが、しかし出すと必ず入ってきます。
出させていただくと入る、出すと又入ってきます。
これが自然の法則ですね。
だから、常に出させていただくことを日々の生活にかくれて行っております。
これは、喋りますと損をします。
喋りますと、それはみな赤字になります。
しかし私は敢えて天の蔵から皆さんの為に放出して損をさせてもらいます。
今回から九十分のテープを区切りに話しさせてもらいます。
このあと九十分話しさせてもらいますが、
もし私のつたない話しを聞いて救われて下さる方があれば、
そのお役に立たせていただきたいと思いますので、
テープは原価でお頒けすることになりました。
この機械はAさんのお世話で、このように皆さんの為に、大変高価なものを
喜捨していただきました。
心からお礼申し上げます。
では九十分ですので、ここで休憩させていただき、
あとまた九十分のお付き合いをお願いします(拍手)。
――休憩――
~ 感謝・合掌 ~