~ 恩師の「講演集」より ~
講演集、 一
自然界さえ証明してくれる――例Ⅱ
去年、奈良県の当麻という所にお話しに参りますと、
会場の机の上にそこの奥さんがバラを
一輪ざしに生けて下さっていました。
私は気が付かなかったのですが、坐らせてもらって暫くすると、
そのバラがパーッと開いたのです。
そんなに固い蕾が急に開いて、その葉のグリーンといい、
花の色といい、水の中に漬けたのを今取り出し、
水がしたたり落ちるような瑞々しさになったのです。
夕方五時に話を終わらせてもらって、
近所のお宅のお仏壇に参って欲しいと言われ、
暫く皆様に待っていただくことにして、私が会場を出ますと、
そのバラが元に戻って蕾になってしまったそうです。
あの満開に咲いたバラが萎むなんて
何と不思議なことがあるものだなあと話し合われたそうです。
そこへ用事が済んで私が会場に戻って席につきますと、
またパッと花が開いたものですから、皆さんはもう呆れてしまわれて、
それを見られた方はひどく感激すやら、呆れるやら、
えらいことが起こるものですねえとびっくりされました。