ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『坂の途中の家』

2016-07-10 17:27:54 | 
『坂の途中の家』 角田光代 朝日新聞出版
 刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうちに、いつしか彼女の境遇に自分を重ねていくのだった。最愛の娘を殺した母親は、私かもしれないと。
 読んでいてしんどかった。自分が子育てをしていた時のことを思い出して。里沙子と我が子を殺めた母親とがだぶり、何が何だかわからなく感じ。そこに子育てをしていた頃の私がだぶり、すべてが混沌としてくる。
 余裕があれば駄々をこねる我が子に対し冷静に対応できるが、疲れている時には、イライラしてしまう。幼子に対して自分でも大人げないと思う行動に出てしまうことがある。嫌いではないのに、愛しているのに。反省しているのに、夫にとがめられると「あなたに何がわかるの?あなたは、いいとこどりじゃない。私はずっとがんばっているのに。いい母親でいようとしているのに。誰もわかってくれない」と思ったあのころ。
 苦しい、苦しい。自分の隠したい黒歴史を暴かれるようだ。最後に、夫や義母の後ろにある感情に気付いた時、そうだったのかと思うと同時に、ゾっとした。気持ちが落ちている時には決して読んではいけない本。
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