ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『火定』

2018-03-26 21:45:30 | 
 関ジャニ∞のDVDを見たいのだが、DVDの再生機が故障したようで見ることができない。見ることはできるのだが、音声が出ないのだ。夫に電器屋さんに行こうというが忙しくて連れて行ってもらえない。自転車で持ち帰る元気はないし。困った、困った。すると、子供が「PCでみること、できるやん」 えっ!?ほんまや~。見られるわあ~。よかった~。明日こそはツアーDVDの感想を書きたい!

『火定』 澤田瞳子 PHP研究所
 時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。
ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神" 豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち。絶望的な状況で露わになる人間の「業」を描く。
 火定(かじょう)とは、修行僧が火中に身を投じ入定することらしい。パンデミックでの無惨な死は、無駄ではなく、次に生かして人の命を救う尊いものだと言いたくて、この題にしたのだろうか。
 圧倒的な筆力で、一気読み。じわじわと広がり、パニックに陥る様は圧巻。流行り病に乗じ、人々を煽る男には背筋が寒くなるし、多くの死は、ただただ辛い。はいずり回るようにして、病人の世話をすることで仕事から逃げ出そうとしていた名代の心境の変化。人生を半ば捨てていた諸男の人生のケリのつけ方。最後は、光が見えるようでよかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする