ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『Ibasyo』『ヌヌ 完璧なベビーシッター』

2018-08-06 23:09:09 | 
 図らずも自分の居場所を探す本を読むことになる。

『自傷する少女たち“存在の照明” Ibasyo』 岡原功祐 工作舎
 「居場所」を求めながら、自らを傷つけずにはいられなかった彼女たちの細やかな心性に、光をあてる。さまざまな経験を背負ってきた5人の女性たちの自傷行為をめぐるフォト・ドキュメンタリー。
 自傷する彼女たちに寄り添い、真夜中でも呼ばれれば駆け付ける作者に驚く。ここまでできないと思う。できたから、この本が成り立ったのだが。そして、すさまじい彼女たちの体験に驚く。どうして、彼女たちがここまで追い込まれなくてはいけないのか。追い込んだ奴らに怒りを感じる。
 追記で彼女たちが少しずつ前に歩き出せるようになっているのが救い。「あなたは大切な存在ですよ」というメッセージがいろんなところに届きますように。

『ヌヌ 完璧なベビーシッター』 レイラ・スリマニ 松本百合子訳 集英社文庫
 パリ十区のこぢんまりしたアパルトマンで悲劇が起きた。子守りと家事を任された“ヌヌ”(ベビーシッター)であるルイーズが、若き夫婦、ミリアムとポールの幼い長女と長男を殺したのだ。そしてルイーズも後を追うように自殺を図り―。子どもたちになつかれ、料理も掃除も手を抜かない完璧なヌヌに見えたルイーズがなぜ?
 ルイーズの動機がはっきり示されるわけではない。淡々とした文章からほのかに浮かんでくるのは、孤独や閉塞感。どうして、こんなことになってしまったのか。やりきれない。
コメント
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