『ケーキの切れない非行少年たち』 宮口幸治 新潮新書
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
「ケーキが切れない」というのは、どういうことか?題名にひかれたが、内容は非行少年には認知能力が低い子がいるという話。見る力や聞く力が弱いために人の話が理解できなかったり、人の表情が読めない→対人関係で失敗したり、いじめを受ける→非行に走る。そして、彼らは支援を受けずに、間違った更生を受けていると。
エピソードや例が具体的で、なるほどと よくわかった。又、認知機能向上のため、具体的に実践的な方法を教えてくれるのはありがたい。この方法で、なんとかならないかなと思ってしまう。
褒める教育が根本的に解決策にならず、問題を先送りしているのではないかという問題提議は、納得。
いじめなどのストレスを発散するために幼女へのわいせつ事件をおこすというのは分かるし、この本は被害者よりも加害者側に視点をおいて話をしているのは分かる。でも、ストレス発散で被害にあった女の子はたまらないんだけど。まあ、それを防ぐための話をしているんだけどね。
『大雪物語』 藤田宜永 講談社
ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など。
吉川英治文学賞受賞作。
短篇がどこかでつながるのかと思いきや、それぞれが完全独立の話だった。優しい物語で、人の影の部分も描いて味わいもあるのだが、やや物足りなさを感じた。「墓掘り」「雪の華」が好き。
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
「ケーキが切れない」というのは、どういうことか?題名にひかれたが、内容は非行少年には認知能力が低い子がいるという話。見る力や聞く力が弱いために人の話が理解できなかったり、人の表情が読めない→対人関係で失敗したり、いじめを受ける→非行に走る。そして、彼らは支援を受けずに、間違った更生を受けていると。
エピソードや例が具体的で、なるほどと よくわかった。又、認知機能向上のため、具体的に実践的な方法を教えてくれるのはありがたい。この方法で、なんとかならないかなと思ってしまう。
褒める教育が根本的に解決策にならず、問題を先送りしているのではないかという問題提議は、納得。
いじめなどのストレスを発散するために幼女へのわいせつ事件をおこすというのは分かるし、この本は被害者よりも加害者側に視点をおいて話をしているのは分かる。でも、ストレス発散で被害にあった女の子はたまらないんだけど。まあ、それを防ぐための話をしているんだけどね。
『大雪物語』 藤田宜永 講談社
ある冬、N県K町が観測史上初の99センチという豪雪に見舞われる。町民をはじめ観光客、仕事のため車でK町に訪れた人々は、駅や車中など長時間足止めを余儀なくされた。町、県、国レベルの除雪作業も追いつかず、町の深刻な状況から災害救助法が適用され、自衛隊の派遣も要請される。そんな非日常のさなか、紡がれる6つのストーリー。避難所を設ける花屋、車に閉じ込められた人たちの救済支援にあたる自衛隊員、独居老人を救った青年の過去など。
吉川英治文学賞受賞作。
短篇がどこかでつながるのかと思いきや、それぞれが完全独立の話だった。優しい物語で、人の影の部分も描いて味わいもあるのだが、やや物足りなさを感じた。「墓掘り」「雪の華」が好き。