『おいしいごはんが食べられますように』 高瀬隼子 (文藝春秋2022年9月号より)
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を、食べものを通して描く。
芥川賞受賞作。
読みやすかった。身近な話題というか、こういう人いるよねと共感できる。
おいしいごはんを作る芦川を疎ましく思いながら、付き合う二谷。お前が一番悪いと私は思う。
私は、きっと押尾だな。仕事ができるかどうかは別にして。
『石を黙らせて』 李龍徳 講談社
名も知らない女性の人生を、尊厳を傷つけた。過去の強姦を告白し、婚約者と家族から断絶された男は、謝罪のために事件を公表し、被害者探しを思い立つ。
ラストは拍子抜け。
反省するのはよいが、被害者の気持ちが置き去りにされている感じがした。「あらかじめ許されることを期待してする謝罪になんの意味があるのでしょうか?」という言葉が私の胸に刺さったが、主人公にはどれだけ響いているのだろうか。
ただ、タイトルのエピソードはよかった。新約聖書のエルサレムの石。キリストが「この者たちが黙ったところで、石が叫び出すだろう」と。信者を宗教弾圧でおさえこんでも、エルサレムの石は彼らの声を覚えている。そして、やがて叫び出すと。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を、食べものを通して描く。
芥川賞受賞作。
読みやすかった。身近な話題というか、こういう人いるよねと共感できる。
おいしいごはんを作る芦川を疎ましく思いながら、付き合う二谷。お前が一番悪いと私は思う。
私は、きっと押尾だな。仕事ができるかどうかは別にして。
『石を黙らせて』 李龍徳 講談社
名も知らない女性の人生を、尊厳を傷つけた。過去の強姦を告白し、婚約者と家族から断絶された男は、謝罪のために事件を公表し、被害者探しを思い立つ。
ラストは拍子抜け。
反省するのはよいが、被害者の気持ちが置き去りにされている感じがした。「あらかじめ許されることを期待してする謝罪になんの意味があるのでしょうか?」という言葉が私の胸に刺さったが、主人公にはどれだけ響いているのだろうか。
ただ、タイトルのエピソードはよかった。新約聖書のエルサレムの石。キリストが「この者たちが黙ったところで、石が叫び出すだろう」と。信者を宗教弾圧でおさえこんでも、エルサレムの石は彼らの声を覚えている。そして、やがて叫び出すと。