『底惚れ』 青山文平 徳間書店
一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。しかし、意に反して男は一命をとりとめた。人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探すが……。
始めは、ちょっと読みにくかったが、中盤から一気に読んだ。独りよがりのやさぐれた男が芳を探すうちに、どんどんいい男になっていく。芳がやってくるように遊女にとっていい店を目指す、自分が嫌だったことを店のシステムに入れないとか、商売の腕もなかなか。
銀次の過去があったから、今の粋で人情のある銀次が出来上がったんだけど。銀次の最後は悲しかったが、銀次が主人公にサジェスチョンを与えてよかった。
最後は、ほっこり。「みんな、幸せになってね、とくに信」と思う。人の気持ちって、わからないものだなあ。
『名探偵のいけにえ ー人民教会殺人事件ー』 白井智之 新潮社
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。
いやあ、二重にも三重にも謎解きがあり、驚いた。これを多重推理というのも この本を読んで知った。ただ、複雑で過ぎて頭がこんがらがる。きっと、物事には、裏表など当事者によっていろいろな面があるのだと改めて思う。
それにしても、簡単に人が死に過ぎるのがちょっと・・・。
一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。しかし、意に反して男は一命をとりとめた。人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探すが……。
始めは、ちょっと読みにくかったが、中盤から一気に読んだ。独りよがりのやさぐれた男が芳を探すうちに、どんどんいい男になっていく。芳がやってくるように遊女にとっていい店を目指す、自分が嫌だったことを店のシステムに入れないとか、商売の腕もなかなか。
銀次の過去があったから、今の粋で人情のある銀次が出来上がったんだけど。銀次の最後は悲しかったが、銀次が主人公にサジェスチョンを与えてよかった。
最後は、ほっこり。「みんな、幸せになってね、とくに信」と思う。人の気持ちって、わからないものだなあ。
『名探偵のいけにえ ー人民教会殺人事件ー』 白井智之 新潮社
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。
いやあ、二重にも三重にも謎解きがあり、驚いた。これを多重推理というのも この本を読んで知った。ただ、複雑で過ぎて頭がこんがらがる。きっと、物事には、裏表など当事者によっていろいろな面があるのだと改めて思う。
それにしても、簡単に人が死に過ぎるのがちょっと・・・。
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