ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『怨霊女子学園』

2024-04-27 16:33:07 | TVドラマ全般

1981年に放映された東映&よみうりテレビ制作による単発2時間ドラマで、先日レビューした『夜の恐怖病棟』と同じ「木曜ゴールデンドラマ」の1本。この番組、基本はミステリーでも題材がバラエティー豊かで本当に素晴らしい!



「聖和女子学園」という女子高には2つの奇怪な噂が広まっており、まず1つは園長室に飾られた絵画=幼い双子の姉妹が夜な夜な絵から抜け出し、園内を遊歩するという『トイレの花子さん』的なお話。

そしてもう1つは、美しすぎる美術教師で生徒たちの憧れの的である水村涼子(真行寺君枝)が、実は2人いるんじゃないか?という「ドッペルゲンガー」系のお話。

そんなアホなと思ってたらある日、涼子先生に憧れてる生徒の1人である真弓(水島かおり)が、実際に2人の涼子を同時に見てしまう!



それと時を同じくして用務員の大沢(灰地 順)が変死体となって発見され、生徒の間で「双子のユーレイに殺されたのよ!」「いいえ、犯人はもう1人の涼子先生よ!」「そうよ、生霊よ!」なんて噂が飛び交うのでした。

死んだ大沢は数ヶ月前、美術室の掃除中にキャンバスを倒してしまい、涼子がせっかく描き上げたばかりの絵を台無しにするチョンボを犯していた。

画家志望の涼子にとって作品は我が子みたいなもの。つまり大沢を恨む気持ちがあったのは事実で、その念が生霊となって彼を……?

憧れの的だったはずの涼子が一転、好奇と疑惑の的となって孤立しちゃいます。



そんな涼子に寄り添い、「多感な年頃にありがちな冗談よ」と励ます英語教師の浅倉(五十嵐めぐみ)は、彼女の親友でもあります。



それとは対照的に、涼子の美しさと人気ぶりを以前から妬んでた音楽教師の飛鳥(永島暎子)は「あなたの生霊を見た生徒がいますのよ」と面白半分に彼女を追い詰め、いわゆる「死亡フラグ」を立てまくります。



案の定、飛鳥先生は数日後に学園の屋上から転落死。そればかりか、彼女が涼子らしき女に突き落とされる現場を、浅倉先生が目撃してしまう!



その直前、まったく別の場所にいる涼子と電話で会話したばかりの浅倉先生は、ショックのあまりブラジャーが透けちゃうのでした。

つまり、本当にもう1人の涼子が存在し、連続殺人を犯している!?



これは果たしてオカルトなのかミステリーなのか、よく判んなくなって来たところで登場し、ロス市警のコロンボ警部そっくりな声で辻褄を合わせ、無理やりミステリーに着地させようとするベテラン刑事=本城に、小池朝雄。



そして登場した瞬間から真犯人臭をプンプンさせてる園長の中川先生に、小山明子。



当時「ミステリアスな美女と言えばこの人!」って存在だった真行寺君枝さんをフィーチャーするために組まれたであろうストーリーを、味わい深い実力派キャストたちが支えており、ツッコミどころは満載ながら私はとても楽しめました。

ところが非常に残念なことに、おっぱいが出てきません。今回はおっぱいが出てこないんです。なぜおっぱいが出てこないんでしょうか?

絶対に欠かしちゃいけないシャワーシーンは一応あるけど、肝心のおっぱいが出てこない。おっぱいが出てこないんです。



けど、許します。変態も私ほどのベテランになると、ヌードは無くても女子高生の制服姿、ブルマー姿だけで充分報われる。



学生時代には日常風景だったものが、今となってはパラダイス。別にそれをどうこうしたいワケじゃなく、ただ眺めてるだけで満足。もちろんシャワールームがあるなら覗くに越したこと無いけど、おっぱいが見えないんじゃ仕方ありません。

そしてもう1つ、おっぱいは出なくても充分にエロかったのが、涼子先生を自宅に泊めた浅倉先生が夜這いをかける官能シーン。



というのはウソで、悪夢にうなされた涼子さんを浅倉さんが心配してるシーンだけど、この時に真行寺君枝さんが「あ〜っ、ん〜っ、やめてえ〜っ! いやあ〜っ!!」って悶える芝居がやたら長い。

これもまた、おっぱいの代替サービスとして活用すべく監督さんが「カット」をかけ忘れたフリをして、わざと真行寺さんの演技を止めなかった賜物でしょう。ご丁寧に別アングルから撮ったショットも後の回想シーンで使われてますから。(これもまたムダに長い)

そういう下世話な部分も含めて、昭和時代のテレビ番組はやっぱり面白い。クレームなんかどこ吹く風っていう心意気に溢れてる。創り手たちがすっかり萎縮しちゃった2020年代だからこそ余計に輝いて見える。当時はバカにしながら観てた筈なのに!



ところで結末ですが、浅倉先生の献身と本城刑事の執念により明かされた、真犯人の正体は……(以下、ネタバレ)


もちろん涼子先生の生霊なんかではなく……


実は親友の浅倉先生だった!みたいなヒネリもなくて、


やっぱり園長先生なのでした。かつて学生時代に親友だった涼子の母親に好きな男を奪われた恨みと、その失恋を引きずるあまり結婚を諦め、人生の全てを注いできた聖和女子学園を、たまたま赴任してきた恋敵の娘が「画家になる為の足掛け」程度にしか考えてない(ように見える)のが許せず、殺しの罪を着せて破滅に追い込みたかったというムチャな動機。

つまり涼子の“生霊”の正体は園長先生のコスプレだった! 普通そこまでやるか?って思うけど、普通じゃないことをやるのが“狂人”なんだと納得出来なくもない。

毎回、涼子が着てきたのと同じ服をその日の内に調達するのも至難の技だろうに、園長先生にとってはその苦労こそが生き甲斐だったかも知れない。

私だって自分自身がイヤになるばかりの毎日だけど、こういうアホなレビュー記事を手間暇かけてアップする“普通じゃない”ことがメンタルケアになってる気がするし。

無難に無難に創られた昨今のドラマや映画を取り上げても、アホな記事には仕立てようがない。それ以前に観ても面白くない。

まあ、どんでん返しをしつこく繰り返す昨今のドラマに辟易してるからこそ、第一印象のまんま園長先生が犯人だったりする本作を面白く感じちゃう側面もあるんでしょう。



園長先生が警察に連行される姿を見届け、なんとも言えない虚しさを感じながら帰路につく涼子先生と浅倉先生を、校舎の窓から無表情で見下ろすもう1人の涼子さん!



……ってな締めくくりはサスペンス・ホラーのお約束で、あれはやっぱり涼子の生霊なのか、あるいは非業の死を遂げたらしい涼子の母の幽霊なのか?(“幼い双子姉妹”のユーレイはどこへ消えた?)


セクシーショットは真弓役の水島かおりさん、飛鳥先生役の永島暎子さん、浅倉先生役の五十嵐めぐみさん、そして涼子先生役の真行寺君枝さん。’81年当時のサスペンスドラマや学園ドラマの“顔”を勢揃いさせたようなキャスティングです。

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『夜の恐怖病棟』

2024-03-31 17:18:28 | TVドラマ全般

1982年に日本テレビ系列の2時間スペシャル「木曜ゴールデンドラマ」枠で放映された、オカルト仕立てのサスペンスドラマ。

テレ朝「土曜ワイド劇場」のヒットにより巻き起こった2時間サスペンスのブームを受け、日テレが「火曜サスペンス劇場」よりも1年先にスタートさせたのが、この「木曜ゴールデンドラマ」。

’91年まで続いた割に「土ワイ」や「火サス」と比べてマイナーな印象があるけど、水谷豊、松坂慶子、千葉真一、中村雅俊、丹波哲郎、三國連太郎、大原麗子etc…と錚々たる俳優たちが主演を務めており、少なくとも今回ご紹介する『夜の恐怖病棟』はフィルム作品だし、VTR制作の「火サス」より気合が入ってる感じがします。

『雪国』みたいな文芸作品や青春物、人情物、災害パニック物などジャンルも多岐にわたってるし、それより何より、おっぱいが当たり前のように出てくるのが素晴らし過ぎます。

いつぞや書いた「若き原田美枝子さんがテレビの2時間ドラマで普通におっぱいを見せてた」作品もたぶん、この枠で’82年に放映された『性的犯罪』じゃなかろうかと思います。

そして同じ’82年放映の『夜の恐怖病棟』でおっぱいを見せてくれるのは、’80年に『太陽にほえろ!』#415(ドック登場編)に日立絵里子名義でゲスト出演されてた、中村れい子さん。



そしてもう1人、ナース主任役の飛鳥裕子さんも豪快におっぱいを見せてくれます。



乳首が見えないのは(変態揃いのブログ事務局に)記事を消されないよう私が必死こいて隠してるからで、実際は丸出しです。

近年、テレビ番組でも多様性が認められるようになったのは素晴らしい事だけど、そのクセおっぱいやパンティーが封印されたのは地獄としか言いようありません。我々世代がみんな口癖みたいに「あの頃は良かった」とぼやく理由は、それに尽きます。

いやホント、たまたまテレビをつけたらおっぱいが出てきた!パンチラを目撃した!っていう成功体験は何にも代えがたい。あんな幸せを味わえない今の若い連中が気の毒でなりません。



ほか、松本留美、鈴鹿景子、藤山律子、榊ひろみ、大竹あかね、清嶋智子、斉藤浩子、榊原久美子、島村美妃、平川弘美etc…といった女優陣が脇を固めてます。刑事ドラマや特撮ドラマでお馴染みの方が多い!



内容は、総合病院「菊見坂病院」で新任ナースの水谷陽子(中村れい子)が幽霊などの不気味な幻覚に悩まされるっていう、前述の通りオカルト仕立てなんだけど……



実は失踪した陽子の姉=悦子もこの病院のナースで、院長と愛人関係にあった。前・副院長も悦子と同時に失踪しており、二人は院長に背いて駆け落ちしたんだろうって結論にされたけど、本当にそうなのか? 姉がそんなことする筈がないと信じる陽子は、真相を調べるために此処のナースになったのでした。

陽子が見た幻覚は幽霊というより、恐らく次期院長の座を狙う跡目争いに巻き込まれ、前副院長と共に殺されたであろう姉からのメッセージ。だけどそんな話が信じてもらえる筈もなく、彼女はガイキチ扱いされたりしちゃう。



そんな四面楚歌な状況の中でただひとり味方になってくれるのが、直属の上司にあたるイケメン外科医=近藤正臣さん。



引退が迫る院長役には、梅野泰靖さん。



そして次期院長の座を狙ってますと顔に書いてある内科医に、そんな役を演じる為にだけこの世に生まれた石橋蓮司さん。



もちろん真犯人の正体はセオリー通り。どんなに鈍い視聴者でも中盤には見当がつくだろうに、ヒロインだけが気づかず罠にはまっていく。

それがスリラーってもんでしょうけど、ちょっと彼女がアホすぎて肩入れしづらいし、ご都合主義な展開が目立つ脚本もハイクオリティーとは言い難い。

けど、いいんです。おっぱいさえ見せてくれれば! 我々が見たいのは、おっぱいなんです!



いや、もう少しお尻もちゃんと見せてくれたらパーフェクトだけど、親の目を盗みつつテレビにかじりついてた我々(昭和少年)には充分すぎるほど至福のひととき。



そしてクライマックス、正臣が正体を表してヒロイン絶体絶命!って場面でも、忘れずにおっぱいを見せてくれる中村れい子さんが本当に素晴らしい!



変態事務局に忖度して“見えない瞬間だけ”しかお見せ出来ないのがつくづく無念ですが、昭和世代の口癖がなぜ「あの頃は良かった」なのか、これで“Z世代”とやらにもよく解って頂けたかと思います。

Blu-rayとかネット配信じゃ意味がない。ようやく家庭用ビデオデッキが普及し始めようとしてたあの頃、つまりテレビがまだ「そのとき限りしか観られない」メディアだったからこそ価値がある!

ましてや2時間ドラマなんて当時は再放送の見込みすら無かったですから。それを40年以上も経った今レビューする事になるとは、長生きはしてみるもんですホントに。




そんなワケでセクシーショットは飛鳥裕子さんと中村れい子さん。お二人とも脱ぎっぷりが良すぎて隠すのに苦労しました。


 

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『セクシー田中さん』最終回

2023-12-25 21:21:05 | TVドラマ全般

前回(#01~#03)のレビューでは『これは経費で落ちません!』や『Shall we ダンス?』との共通点を挙げつらったけど、『セクシー田中さん』はそれよりも『いちばんすきな花』にとてもよく似たドラマというか、同じメッセージを我々に伝えるべく創られた作品であることが、市毛良枝さん扮する笙野(田中さんに憧れる無神経男)のママが登場したあたりから明確になりました。

『いちばんすきな花』の美鳥さん(田中麗奈)が『セクシー田中さん』の田中さん(木南晴夏)であり、美鳥さんにとっての“あの家”が田中さんにとってのベリーダンス。目標とか夢とかっていう大袈裟なもんじゃなく、要するに自分を取り戻すための“居場所”ですよね。

一番大事なのは「自分がどうしたいか」であり、美鳥さんや田中さんが輝いて見えるのは、それを無意識に実践してる人だから。で、関わった人たちも影響を受けて少しずつ変わっていく。

別に何かを成し遂げたワケじゃなく、だけどみんなが以前より活き活きとして見えるラストシーンもまた似てました。



そうして別作品どうしを関連づけて語りたがるのは「私の悪癖かも」って前に書きましたが、別にパクリだとかネタ被りだとか言いたいワケじゃなく、似た作品が生まれることにはきっと何らかの意味があると思うからで、そういうのを分析するのがただ楽しいだけ。私の趣味なんです。

その“何らかの意味”っていうのがたぶん「時代(生き方)の変化」とか「多くの人たちが無意識に求めてるもの」とか、そういったもの。作品を通して「現在の人たち」がよく見える。それと比べることで自分自身の現在も見えてくるのがまた面白い。



近年の“癒し系”ドラマの顕著な特長として挙げられるのが、主人公を苦しめる敵が世間の「同調圧力」であること。黒木華さんの『凪のお暇』あたりからでしょうか。たぶん欧米人には全く理解できない心情ですよねw

ジャパンならではの同調圧力(みんなと同じでなきゃいけないっていう刷り込み)には私ら世代も苦しんだけど、今どきの子供社会はもっと過酷になってるようで、それが映画やドラマの倍速視聴(みんなと話を合わせるために粗筋だけ確認する作業)なんていうバカげた文化まで生んじゃった。

昭和ドラマじゃ「お前も殻を破って飛び込んで来いよ!」っていう、いかにも軍隊的なお説教が幅を利かせてたけど、時代(生き方)はここまで変わりました。



テーマは同じでも『セクシー田中さん』が視聴者“満足度ランキング”の上位に食い込み、『いちばんすきな花』がイマイチ支持されなかったのは、単に前者が“エンタメ寄り”で後者が“アート寄り”だったからだと私は思います。クオリティーはどっちも高かった。

で、私は明確にエンタメ寄りの人間だから『いちばんすきな花』より『セクシー田中さん』の方が楽しめました。田中さんの不器用さや笙野の無神経さ、つまりダメさ加減には自己投影しやすかったし。

私だけじゃなく、多くの人が「ダメなのはキミだけじゃないんだよ」って、誰かに言って欲しいんですよね。それが数字に反映されたんだろうと思います。



『いちばんすきな花』は深くて鋭いセリフの宝庫だったけど、『セクシー田中さん』のセリフはもうちょいライトで、いろんな意味で優しいと私は感じました。

前者はあまり触れて欲しくない部分まで突いて来たけど、後者はみんなが誰かに言われたい言葉をそのまま言ってくれた。要するに辛口と甘口の違い。

たとえば、無難な人生を歩みたい自分は(自由人の)田中さんには(恋愛対象として)向いてないって言う笙野に、ダラブッカ奏者でプレイボーイの三好(安田 顕)が言ったセリフ。

「みんな、案外自分の気持ちなんか分からないんだよ。コントロールできない。気持ちも、感情も。今日嫌いだった人を、明日大好きになるかも知れないし。みんな毎日変わってく。明日何が起こるかなんて分からない。ワクワクしない? 無難な人生なんて、僕は存在しないと思うけど」



たとえば、癌と闘うことになった笙野ママが、見舞いにきた息子に言ったセリフ。

「行きたい場所に来れた。初めての国の文化に触れた。好きな色のスカーフを買えた。1つ1つは些細でも、たくさん集めれば生きる理由になるよって、京子さん(田中さん)がね、そう教えてくれたのよ。あれから毎日、生きる理由を集めてる」

昭和気質の夫に縛られ続けてきた笙野ママもまた、田中さんの影響で自我に目覚め、ついさっき離婚届を叩きつけたばかり。

「大好きな一人息子が会いに来てくれた。手術が無事に終わった。お父さんと喧嘩ができた。ね、ワクワクするでしょ?」



そして、色々あって挫けそうになってる田中さんに、一番のファンである朱里(生見愛瑠)が言ったセリフ。

「前に笙野が言ってましたよ。伸びやかで、自由で大胆で、この人には敵わない。不器用だし、他人よりは時間がかかるかも知れないけど、彼女なら自分で解決できるって。笙野のくせに生意気ですよね」

そう言う朱里こそが『いちばんすきな花』の主役4人と同じように、ムリして世間(の同調圧力)に合わせる日々に疲れ果てた、実質の主人公。

「ずっと、自信がなかった。まっすぐ自分を見るのがイヤだった。ちっぽけで、何もできない自分を自覚するのがイヤだった。なんでみんな、自分には大した価値がないって、すぐに思っちゃうんだろう? 誰に吹き込まれたんだろう? 思い当たることがあり過ぎて、もう、どうでもいい」



「田中さん。私、もっともっともっと、もっと知りたいです。いろんなこと。自分のことも、正しく」

「私も。もっともっと学びたいです。目線を上げたら、いつも新しい世界が広がってますね!」

主人公たちがそれぞれ自立していくエンディングもまた『いちばんすきな花』と同じ。まあ、ドラマとはそういうもんだけどw

そうは言っても前述のとおり、主人公たちの日常はさして変わらない。ただ、表情が前より少し明るくなっただけ。

新しい職場で「やって行けそう」って確信しつつある今の私もたぶん、ちょっと前より明るい顔になってると思います。人生、これの繰り返しですよね。


 

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『男たちの旅路』2ー#01

2023-12-09 16:48:58 | TVドラマ全般

脚本家の山田太一さんが他界されました。『岸辺のアルバム』と『ふぞろいの林檎たち』が代表作として挙げられがちだけど、私は断然『男たちの旅路』が好き。

1エピソードが70分以上あって各シリーズが3話ぐらいで区切られる、当時としては画期的な構成だったNHK「土曜ドラマ」の第3弾で、正式タイトルは『山田太一シリーズ 男たちの旅路』。

その第1部が1976年2月〜3月、第2部が’77年2月、第3部が’77年11月〜12月、第4部が’79年11月、そしてファイナルとなる単発スペシャルが’82年2月に放映されました。

大好きだけど、レビューするには敷居が高すぎるというか、かなりのエネルギーを費やすのが分かってるから今まで躊躇してました。

決して内容が小難しいワケじゃなく、ちゃんとお茶の間向けエンターテインメントに仕上げてくれてるんだけど(だからこそ大好き)、とにかくグッとくる台詞、ガツンとくる台詞が満載すぎて、それを全部ピックアップするかと思うと気が遠くなっちゃうワケです。

けど、いよいよその時が来ました。山田太一さんに捧げます、なんておこがましいことは言えないけど、この記事をもって追悼したいと思います。

世間では特に第3部の『シルバー・シート』や第4部の『車輪の一步』あたりが高い評価を受けてるけど、ここでは1977年2月5日に放映された第2部のファーストエピソード『廃車置場』をチョイスします。

理由はその回が収録されたDVDをたまたま持ってるからだけどw、刑事物に近い要素があったりするし、“働くこと”に関する葛藤がテーマなもんで、今の私自身にリンクする部分が多々あるんですよね。



冒頭シーンは国立競技場における体操国際大会の模様で、当時15歳だった“白い妖精”ことナディア・コマネチさんのお姿も!



で、主人公はその会場を警備するガードマンたち。



もちろん、折り目正しいスーツ姿で颯爽とピストルをぶっ放す、宇津井健さんみたいなスーパー警備員は存在しません。

現実のガードマンがどれほど地味なお仕事か、このドラマで初めて知った視聴者も多かったんじゃないでしょうか。当時まだ小学生だった私がまさにそう。



それはともかく、駐車場の誘導係を担当した杉本(水谷 豊)の指示を無視し、自由に車を停めてひんしゅくを買ったアラサー男=鮫島(柴 俊夫)が後日、新人ガードマンの研修生として再び杉本の前に現れたから驚いた!

国立競技場で出逢ったときの彼は求職中で、元気に動き回る杉本の姿が「楽しそうに見えたから」求人に応募したと言う。

「冗談じゃないよ、楽しいワケないだろうよ、警備の仕事をナメるんじゃないよ」



とにかくヤンチャでお喋りな杉本のキャラクターは、当時『傷だらけの天使』と『熱中時代』の中間点にいた水谷豊さんそのまんまな感じ。

一方の鮫島は対照的に大人のムード。演じる柴俊夫さんは同時期に『太陽にほえろ!』で長さん(下川辰平)の娘婿をとても穏やかに演じておられ、スコッチ刑事(沖 雅也)を彷彿させる「一匹狼」キャラの鮫島に私は戸惑った記憶があります。

何しろ彼は、いくら歳下とはいえ会社では先輩にあたる杉本にタメ口で接し、しかもまだ研修中のクセに“就職にあたっての条件”を自ら提示してくる!

「仕事を選びたいんだ。出来るなら納得のいく場所を警備したい。命令だから何でも守るなんて仕事はしたくないんだよ」

「なに言ってるの、そんな勝手なことさせるワケないじゃないの」

そう、常識で考えればそんなワガママは通らない。けど鮫島は、通らなければ他所を当たるからとにかく責任者と交渉させてくれ、と主張して一歩も引かない。

体格が良くて腕っぷしも強く、自信があるから言えるにしてもムチャな要求です。

が、押しに押されて仕方なく、杉本は直属の上司=吉岡司令補(鶴田浩二)への仲介役を引き受けるのでした。



それは元軍人(特攻隊の生き残り)で威厳の塊みたいな司令補が、身の程知らずな研修生にガツン!とかましてくれるのを期待したからだけど……



「理由を聞こう」

なんと、吉岡司令補は口うるさい杉本を部屋から追い出し、鮫島の話をじっくり聞いた上で、奇想天外とも言える彼の「条件」を聞き入れてしまう!

当然ながら、大沢司令補(橋爪 功)をはじめとする社の幹部たちは「そんなことを認めたら規律が保てなくなる!」と猛反対。



「命令を黙って聞けないなら採用しなければいいじゃないですか」



「命令を黙って聞く人間しか雇わんというのは、情けなくはないかな?」

「我が社は警備会社でしょ? 命令に逆らう人間を雇って成り立ちますか?」

「無論、命令を黙って聞くという原則は必要だ。しかし、守らん人間は全部切り捨てろというのでは、規則にがんじがらめじゃないかね?」

「いや、規則っていうのはそういうもんでしょ?」

「私はそうは思わない。規則は時に応じて破るもんだと思っている」

「それで統率が執れますか?」

若き橋爪さんがおっしゃる事はまさに正論で、もし私も幹部という立場なら同じように反対すると思います。

ところが、ダンディズムの塊みたいな社長の小田(池部 良)が、極めてダンディーな決断を下します。



「いいでしょう、1つのケースだ。やってみようじゃないですか」

これは凄い! 普通ならあり得ないけど、100%あり得ないとも言いきれない。本当に面白いドラマは絶妙にその辺りを突いてくる。さあ、果たしてどうなるか?

晴れて入社が決まり、さっそく競輪場の警備を断った鮫島は、大手製薬会社の工場をガードすることになるんだけど、大雨の日、ひたすら表で突っ立ってるだけの警備を「意味がない!」と途中で放棄しちゃう。

確かに、わざわざ表に出て雨に打たれなくても軒下でじゅうぶん警備はできる。けれど雇い主がそういうやり方を要求し、下請けである我々が承諾した以上は無意味でもやらなきゃ仕方がないと、主任の田中(金井 大)は言う。

それでも意志を曲げず、鮫島はサッサと帰宅してしまう。

凄い! 私も無意味な業務や理不尽な命令には耐えられない性格だけど、選択肢は「我慢する」か「辞める」かの2つだけで、とても鮫島のマネは出来ません。

いや、そりゃ誰だって鮫島みたいにしたいけど、自分だけそんな贔屓を受けたら同僚たちにどんな眼で見られるか、それが気になるから選択肢にはまず入れない。それが日本人ってもんでしょう。

案の定、他の警備員たちが徒党を組んで抗議して来るんだけど、吉岡司令補は逆に問います。仕事を選びたいなら、なぜ最初にそう言わなかったんだ?と。

「それは……そんな条件を出したら入社できないと思ったんです」

「彼もそう思った。しかし出した。彼だけが特別扱いされても仕方がないだろう?」

「だったら、あらためて私たちも要求します!」

「自分で悩んで条件を突きつけて来た人間と、人が成功したのを見て尻馬に乗って来たキミたちとは、本質的に違うんだ!」

確かにその通り。平等な扱いを求める同僚たちの気持ちも解るけど、最初に勇気を振り絞った人間とそうでない人間が同じように扱われたら、それこそ不平等ってもんです。

けど、人間は……ことに徒党を組みたがる若い男どもってのは愚かなもんです。



退勤後の駐車場で鮫島が集団リンチに遭うというトラブルが発生し、社内は「それ見たことか」って空気になっちゃう。

社の屋上で、小田社長が吉岡司令補とダンディーに語らいます。



「やっぱり、マズかったな。会社もある程度、柔軟性を持つべきだと思ったが、人間関係が悪くなるのは良くないやな」

この池部良&鶴田浩二の組み合わせって、翌年からフジテレビでスタートする刑事ドラマ『大空港』の沢井空港長&加賀チーフの関係そのままですよね。あっちは軍隊時代の戦友って設定だからお互いタメ口で「貴様」呼ばわりだけど。



「彼に辞めてもらおうと思ったが、キミが特別に入れ込む理由があるのなら、聞いてからにしようと思ってね」

「…………」



仕方なく司令補は、自分の胸にしまっておくつもりだった、鮫島の“条件”に秘められた真意を小田社長に明かします。

以前、そこそこ大きな企業で課長代行にまで出世した鮫島は、ある下請け会社の倒産を仕組むミッションを上役から命じられた。断ればせっかく努力して積み上げたキャリアを失うことになりかねず、鮫島は実行せざるを得なかった。

結果、上役の目論見どおりに下請け会社は倒産し、何人もの社員たちが路頭に迷い、あやうく一家心中しかける人までいたという。

やりたくないミッションを上役の命令だからと引き受けてしまい、それを激しく後悔した鮫島は、悩んだ末にその会社を辞めてしまった。



「新しい職場では、出来るだけ仕事を選んでみようと思いました。それが罪滅ぼしになるとは思いませんけど、命令ならどんな仕事でもする、そういう働き方は二度としたくないと思いました」

そんな鮫島の強い意志が、吉岡司令補の心を揺さぶったワケです。命令には絶対服従の軍隊で、しかも特攻隊の一員として戦った司令補にとって、戦後はもはや“余生”みたいなものだった。

「社長の前ですが、仕事を生活の手段以上のものとは考えていなかった。正直なところ、彼には驚いているんです」

「…………」

「仕事を選んで、なるべく意味のある所で働きたいと、正面から条件を出してきた人間に、年甲斐もなく驚いたんですねえ」



「あの男は現在を生きてる。私は過去を捨てきれず生きてる。現在を生きてれば、仕事を選びたいと思うのは当然。その当然なことを、私は長い間考えなかった。出来るだけ、選ばせてやりたいと思ったんです」

「……そうか」

このレビューを書いてる私自身、プロの映像作家になるという夢を一応は叶え、それを支援してくれた両親を最期まで支えるというミッションを半分は果たして、もはや今後は余生みたいなもんだと2023年上半期は思ってました。

だからほとんど躊躇せずに前職を辞めたし、次は最低限の収入でいいから「とにかくストレスが少ない」仕事を選ぶつもりだったのに、何の因果か前職よりもずっとストレスフルな職業に就いちゃった。

こんな(本作における吉岡司令補より上の)年齢になってからの求職だから(選べる身分じゃない)って側面もあろうけど、なんだか「余生に入るには修行がまったく足りてない」と天から言われた感じがしてます。

余生っていうワードに反応して要らんことを書きましたが、こうして視聴者が自身の境遇や生き様に思いを馳せずにいられない、それが「名作」と呼ばれるドラマなんだと私は思います。泣けるかどうかなんて全く関係ない。



閑話休題。小田社長のダンディーな計らいによりクビを免れた鮫島は、杉本とコンビで工場の夜警に就くことになります。

他の同僚たちが誰も鮫島と組みたがらない中、杉本だけが“相棒”を買って出たのは、威厳の塊みたいな吉岡司令補にもまったく臆さず媚びない鮫島に、キャラは真逆なれどシンパシーを感じたからかも知れません。



で、そこで事件が起きちゃう。ある夜、巡回中に女性の悲鳴らしき声が聞こえたんだけど、それが工場の敷地外だったもんで持ち場を離れるワケにいかず、まあ「気のせいだろう」と見過ごしたら翌日、工場近くで強姦事件が起きていたことが判明。

警備範囲の外で起きたことゆえ、杉本と鮫島に責任を問う者はいません。ただ一人、吉岡司令補を除けば。



二人を河原に連れ出した司令補は、今回の事件についてどう思ってるかを鮫島に問います。

「それは……我々の警備範囲外のことですから、やむを得なかったと思うしかないでしょう」

「馬鹿者っ!!」

軍隊で鍛えられた司令補の突撃ビンタにより、大男の鮫島が太平洋まで吹っ飛びます。

「それが仕事を選んだ人間の言い草か! なぜ金網の外へ出なかった? なぜ声を聞いたら道へ出て、その声を突き止めなかった? まともな人間ってのはそういうもんだ。悲鳴を聞いたら、どこで聞こえようとそこへ走るのが人間ってもんだ。仕事の範囲でなきゃ出て行かないのか? 貴様も、そんな馬鹿野郎だったのか!?」



「待ってよ、ちょっと! 声を聞いてどこにでも行ってたら仕事はどうなんのよ!?」

「声を聞いたら外へ出て、突き止めるのが人間ってもんだ。仕事の範囲から一步も出ないなんてもんは人間じゃない!」

「だけどねえ!」

「お前も殴られたいか!?」

「殴られたくないです!」



「仕事を選んで、活き活き仕事をしたいというのがお前の希望じゃなかったのか? そんなことで、仕事が活き活き出来てたまるか! 仕事をはみ出さない人間はオレは嫌いだ!」



「おい、杉本! 靴屋へ鞄を直してくれと頼みに来たら、お前なら断るか?」

「鞄屋へ行けって言います」

「鞄屋がそばに無いから来たんだっ!!」

「そんな怒ったって……」

「直してやるのが人間ってもんだ。困ってる人間を眼の前にして、オレは靴屋だから鞄は直さんと言ってるのが貴様たちだ!」

「…………」

「なぜ警備の範囲なんてことを考えた? なぜ飛び出して行かなかった? 仕事からはみ出せない人間に、活き活きとした仕事なんて出来ん! はみ出さんヤツが、オレは大嫌いだ!」

これもまた考えさせられます。自分ならどうするか? 起きてるかどうか判らない事件のために持ち場を離れて、そのスキに持ち場で何かあったらどうしよう? それでクビになったらどうしよう?って、ブレーキをかけるのが果たして間違いなのか?

司令補が言うことは正論かも知れないけど、正しいことばかりじゃ渡って行けないのが世の中ってもんじゃないのか?

案の定、同じ犯人による強姦未遂事件が、今度は工場の敷地内で起きちゃいます。皮肉なことに、杉本がルールを破って敷地外を巡回してるスキに……

今回は詰所にいた鮫島が悲鳴に気づき、すぐに駆けつけたから未遂で済んだものの、犯人は逃走。お陰で2人は契約を切られ、減給と10日間の休職処分を受ける羽目になり、杉本が吉岡司令補に噛みつきます。



「あんたは一銭も引かれないでのうのうとしてんのかよ? そんなバカな話があるかよ!」

「鮫島くんはどうだ? 私に責任があると思うか?」

「……責任はともかく、仕事の外にはみ出すってことが、本当にいいことかどうか分からなくなりました」

「いいことに決まっている! 私は、私の言ったことが間違ってるとは思わない」



事件当夜、敷地内をちゃんと警備した上で外を周ったなら、いずれにせよ事件は起きていたと司令補は言います。確かに、広い敷地内の全てを常時監視するのは(現在ほど防犯カメラが行き届かない当時じゃ)不可能なこと。

「パトロールの方法を反省すべきだとは思うが、仕事をはみ出したことが悪いとは思わない。こんなことで仕事に閉じ籠もってはいかん。仕事の外で何が起ころうと知らん、という態度に戻ってはいかん。せっかくキミたちは、仕事の範囲を越えようとした。もっとはみ出したって構わん」

「気軽に言ってもらいたくないね」

「犯人の顔を見たのはキミたちだけだろう? 10日間の休職中に犯人を探してみろ」

「人相から何から警察に言ってありますよ」

「だから警察に任せて知らん顔か? なるほど、ガードマンの仕事には逮捕権がない。だがキミたちは顔を見てるんだ。キミたち2人で、仕事をはみ出して探してみたっていいじゃないか」



確かに、司令補を恨むだけで10日間も費やすのは勿体無いってことで、二人は一念発起。犯人は工場周辺に住んでいるとヤマを張り、まさに警備員の職務を超えた聞き込みや張り込みを毎日、根気強く続けるのでした。



で、激励に駆けつけた吉岡司令補と、今回は出番が少ない同僚の悦子(桃井かおり)も加えた4人で入った食堂に、見覚えのある男が入ってくる。



警察に通報するより先に犯人が気づいて逃走! やむなくガードマン4人がビール代を踏み倒し、脳内で「ジーパン刑事のテーマ」を口ずさみながら大追跡!



最後はやっぱり吉岡司令補が軍隊仕込みの背負い投げで一本!



捕まった犯人による号泣も含め、『男たちの旅路』でこれほど『太陽にほえろ!』的な描写が観られるのは今回のみだったと思います。第2部の1発目ってことでエンターテインメント(悪く言えば視聴率狙い)に徹したのかも知れません。

ただし、ラストシーンは事件解決を祝してカンパイ!とはならず、何とも説明しがたい後味の悪さで気分が沈む中、ひとり杉本だけがカラ元気を撒き散らし、またもや司令補に叱られます。



「いい加減にしろ! オレはこんな時にはしゃぎ回るヤツが嫌いだ!」

「へっ、よくまぁ好きだとか嫌いだとか言う人だね」

そう、吉岡司令補はスーパーマンでもなけりゃ人格者でもない、戦中派にありがちな偏屈者の頑固者。

よくよく聞いてると彼の判断基準は正しいか間違ってるかじゃなく、ほとんど「好きか嫌いか」なんですよね。シリーズを通して最も有名で、最も共感できる司令補のセリフが「オレは若いヤツが嫌いだ」ですから。

「靴屋が鞄を直したワケですよね、司令補」

杉本が言った皮肉にも、司令補はただ苦笑するだけ。無責任ですw

連続強姦魔を捕まえたのは正しいことに決まってるけど、1人の気弱そうな青年を刑務所へ送り込み、その人生を大きく左右させる権利が、勤務時間外の警備員たちに果たしてあったのか? 4人の感じた後味の悪さはそこにあるんだろうと私は解釈しました。

一方、YouTuberを自称するただの無職者が刑事の真似事をして、デジタルタトゥーや冤罪まで生みながら小銭を稼いでる2020年代のネット社会。彼らは少しでも後味の悪さを感じてるのか?



思った通り長いレビューになりました。これで『男たちの旅路』を観たことない読者さんに、その素晴らしさが少しでも伝わってくれたら嬉しいです。

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『セクシー田中さん』#01~#03

2023-11-10 22:35:42 | TVドラマ全般

やあ、日本のみんな。平凡な日々を満喫しているかい?

私も相変わらず、撮影日以外はワイオミングにある自宅の敷地内で乗馬を楽しんだり、暇つぶしに自家用セスナを飛ばして人命救助したりと、平凡な日々を過ごしているよ。

いや、正確には平凡な日々に“戻った”と言うべきかも知れないね。なにしろ昨年は、キミたちの国でベリーダンサーをやってる愛しのケイティと、何度となく熱い夜を過ごしたんだから。

もっとも、私とケイティは実際に身体を合わせたワケじゃない。彼女にはリスペクトに値するハズバンドがいるし、私には“世界で最も成功したムービースター”という立場があるからね。

とはいえ、ケイティとは実際に身体を合わせるよりもずっと濃密な夜を過ごせたと私は思っているし、彼女もそうだったと信じたい。

ハズバンドにだけはどうしても勝てないが、ナオキ・スギウラには負けた気がしない。私はヤツほど露骨にがっつかないし、ラブシーンもヤツより多くこなしているからね。



ところで本題だが、なんと、キミたちの国でケイティの私生活がドラマ化され、日本テレビ系列・毎週日曜夜10時半から「日曜ドラマ」枠で絶賛放映中だと言うじゃないか!

『運命のダイヤル』というサブタイトルがついた私の伝記映画公開と同じ年に、ケイティをモデルにしたドラマが創られるとはまさにディスティニーと言うほかない。

主演は……つまりケイティをモデルにした“田中さん”を演じているのは、私がこれまで高く評価してきたアクトレスの1人である、木南晴夏。



昼間は経理部の地味なワーキングウーマン、夜はレストランでベリーダンスを踊る超セクシーなベリーダンサーという、極端に違った2つの顔を晴夏はみごとに融合させ、元は芦原妃名子という漫画家によるコミックキャラだった“田中さん”に実在感を与えている。

そして、そんな“田中さん”に惹かれて自らもベリーダンスにハマっていく同僚女子の朱里(あかり)を、ファッションモデル出身の「めるる」こと生見愛瑠が演じている。



過去の作品と関連づけて語りたがるのは私の悪癖かも知れないが、橋本環奈の刑事物『トクメイ!』と同じように本作にも、多部未華子が主演した『これは経費で落ちません!』との共通点が多く見られる。

経理部で変人扱いされようが我が道をいくヒロインのキャラクターもそうだし、そんな彼女の魅力を周囲の人らが見出し、開花させていくストーリーもよく似ている。

それともう1本、ハリウッドでもリメイクされた周防正行監督の傑作映画『Shall we ダンス?』の影響も少なからず受けていると私は見た。

“田中さん”が会社で無意識に直角カーブを切ってしまう場面がその代表的な例。“めるる”が役所広司で、愛しのケイティが竹中直人というワケさ(笑)。



ちなみに私は『Shall we ダンス?』を日本映画の生涯ベスト10に入れるほど高く評価しているが、この『セクシー田中さん』も決して引けを取らないほど気に入っている。日本のスラングで言えば「ハマってる」というヤツだ。

もちろん、個人的に愛してしまったケイティがモデルなんだから気に入るに決まってるワケだが、それを抜きにしても“田中さん”というキャラクターは魅力に溢れている。

繰り返しになるが木南晴夏の演技も素晴らしいし、安田顕、毎熊克哉、川村壱馬といった男性アクターたちも実に良い味を出している。キャラクターがみんな活き活きしているドラマに「ハズレ」は無い。

ベリーダンスや打楽器のダラブッカといった、ケイティのブログ上でしか触れて来なかった文化をより深く知られるのも刺激的だ。

当然ながら、ケイティが踊る姿を直に見たいと思わずにいられない。そのときはケイティ、泊まってけよ。



……って、冗談めかして書いてるけど、私がこのドラマにハマってるのは事実だし、ご自身がブログで公表されてるから書いちゃうけど、同じgooブログ仲間で昼は事務員、夜はベリーダンサーと2つの顔をお持ちのKT-Jacksonさんは、実際に本名が“田中さん”なのです!

しかも、スマホの小さな画面で見る限りだけど、ホントにルックスが木南晴夏さんと似ておられる! 私とハリソン・フォード氏ほど瓜二つではないにせよ!

ちなみにドラマの“田中さん”のファーストネームは京子、つまりイニシャルまでKTさんと同じ!(原作者の芦原さんはマジでKTさんのショーを観てマンガの着想を得られたのかも?)

こんな数奇なことが起きるから人生ってヤツは面白い。KTさんと知り合えて本当に良かったです。ありがとう!


 

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