非常に渋い刑事ドラマとして'80年1月にスタートした『大捜査線』も、時代の空気を反映してかトーンが明るくなって来ました。
視聴率の伸び悩みを受けたテコ入れの意味もあるんでしょう、第12話から青木義朗さんが中林刑事として加納班に加入、この第13話からは垂水悟郎さんが下条班の主任として登場し、加納班と張り合うことに。さらに翌週の第14話からオープニングタイトルがポップな曲と映像に一新され(相変わらず杉サマしか出てこないけどw)、第16話からは赤塚真人さんもレギュラー入りします。
加納主任(杉 良太郎)は所々でジョークを飛ばすようになり、従順だった沢木刑事(神田正輝)もズバズバ物申すようになって大滝隊長(山内 明)から「誰かさんに似てきたな」と言われるし、都築刑事(本阿弥周子)も髪をアップしてキャリアウーマン風にイメージチェンジ。まだ加納主任をお慕い申し上げてる設定は残ってるけど、それもやがてフェードアウトしていきますw
☆第13話『標的という名の女』
(1980.4.3.OA/脚本=山野四郎/監督=高橋繁男)
「四機捜」こと第四機動捜査隊の加納主任と沢木刑事は、パトロール中に飛び降り自殺の現場に遭遇(ってシチュエーションが刑事ドラマにはホント多いw)、ビルから身投げした女は幸い日除けパラソルでバウンドした上、噴水池に落ちたもんで軽傷で済みました。
持ち物から女の身元は北海道から上京して来た牧野秋代(根岸季衣)だとすぐに判明しますが、自殺の動機は黙して語らず。それどころか病院を脱走してまたビルから飛び降りようとし、すんでのところで警備員に止められます。何故そうまでして死にたがるのか?
場所は違えど彼女が2回とも「港川不動産」の所有するビルで死のうとしたことに事件の臭いを嗅ぎ取った加納主任は、輸入業者を装って港川社長(岡田英次)に接近し、その愛人でナイトクラブのママを務める沙織(ホーン・ユキ)と仲良くなって、チョメチョメします。
しかしそれは港川から仕掛けた罠でもあり、正体がバレた加納は暗殺されそうになるも、鋭く察知して危機を回避。この辺りの駆け引きはまるでスパイ映画の様相で、初期の時代劇ムードを払拭したい創り手の意図も感じ取れます。
で、再び病院を脱走した秋代が港川社長の邸宅に忍び込み、コレクションの猟銃を奪って乱射します。
北海道へ飛んだ都築刑事の捜査により、秋代の両親が首吊り自殺で亡くなってること、その原因が港川不動産の悪徳商法に利用され村人たちを大損させたことにある事実が判明。秋代の目的は港川への復讐なのでした。
上層部の指令により狙撃隊が射殺準備を進める中、加納主任が必死に彼女を説得します。
「秋代さん、まだ間に合う。キミは誰ひとり傷つけてない!」
「私、覚悟しました。人を殺すのは怖かったけど……やっぱりやります! 私も死にます!」
「秋代さん、なぜお父さんやお母さんがキミを道連れにしなかったか分かるか? そのキミが人を殺し、自分まで死んで喜ぶとでも思ってるのか?」
秋代は動揺しながらも、やはり港川を殺そうとして加納と揉み合いになります。そのスキに港川が猟銃を手に取った!
番組初期のハード&ダークな作風なら、ここで秋代が殺されて加納主任の怒りが爆発し、港川を執拗にフルボッコする展開が予想され、私は観ててハラハラしました。
だけどすぐさま加納が愛銃COLTパイソンで港川の利き腕を撃ち抜き、秋代は死なずに済みました。よかった!
ところがどっこい、加納の怒りは収まらず。結局やっぱり、港川の悪事に荷担して来た秘書(川辺久造)を執拗にフルボッコしちゃうのでしたw 番組初期なら、傷を負ってようがお構いなしに港川をしつこくボッコしたはずで、これでも幾分ソフトになってるんですw
ラストシーン、加納主任にお姫様だっこされた秋代は、うっとりしながら彼に笑顔を見せます。やはり徹頭徹尾、杉サマのワンマンショー。その点だけは時代の空気に左右されず、一切ブレませんw それでこそ杉サマ、それでこそ『大捜査線』です!
セクシーショットは沙織役のホーン・ユキさん。根岸季衣さんもそうだけど、この時期あらゆる刑事物や探偵物にひっぱりだこで、本ブログにも幾度となく登場されてます。
今回は磨りガラス越しのシャワーシーンで、我々の身体の一部をHOT! HOT!!にしてくれました。(吹き替えかも知れないけど)