ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『誇りの報酬』#16 (再)

2022-03-08 22:22:05 | 刑事ドラマ'80年代

『誇りの報酬』は1985年10月から翌年9月まで、日本テレビ系列の日曜夜9時枠で全49話が放映されたフィルム撮りの刑事ドラマ。

制作は『太陽にほえろ!』と同じ日テレ&東宝で、かつて松田優作&中村雅俊のコンビで制作された『俺たちの勲章』(’75) の続編として企画され、優作さんが出演を辞退されたことで中村雅俊&根津甚八という新たなコンビ、新たな設定を得てスタートした作品。その後番組がセントラル・アーツ制作の大ヒット作『あぶない刑事』となります。

’86年になって『誇りの報酬』も1クールを経過し、オープニングのテーマ曲がバラード調からアップテンポ・バージョンに替わり、タイトルバックの映像も一部差し替えられ、よりアクティブさが強調されるようになりました。

確かに、バラード調の曲はメリハリが無くフワッとしてて、あの時代の空気、番組のカラーにも合ってない気がしてました。新バージョンの方が断然グッドです。

これらの変更によって『俺たちの勲章』の続編というイメージから離れ、'80年代ならではのPOPなバディ・アクション刑事ドラマ、すなわち『あぶない刑事』前身としての『誇りの報酬』独自の世界観が確立されたように思います。

ちなみに音楽担当はタケカワユキヒデ&浅野孝己、音楽プロデューサーはジョニー野村という布陣。エンディング主題歌『日付変更線』を唄うのはもちろん、主演の中村雅俊さん。



主役は警視庁捜査一課に所属するハミダシ刑事=芹沢春樹(中村雅俊)と萩原秋夫(根津甚八)。地方へ出張しての捜査が多いのは『〜勲章』を踏襲しつつも、厄介払いで飛ばされてるような悲壮感は払拭され、’80年代らしく呑気で明るいコンビとして描かれてます。



『〜勲章』では資料室の管理人だった柳生博さんが、本作では主役コンビの上司=田沼課長役に昇格。温厚だった性格が権力を得て荒っぽくなってますw



課長秘書=真山幸子を演じる篠ひろ子さんも、’70年代は陰影ある役ばかりだったのに明朗快活なキャラに変貌。「真山」という名字は『あぶない刑事』の浅野温子さんに継承される事になります。



ほか、芹沢・萩原いきつけの喫茶店「バルビゾン」のマスターに鈴木ヒロミツ、そこの常連客で芹沢刑事の情報屋を請け負うチンピラ・コンビに石橋正次&宮田恭男。



そして芹沢刑事と同居する妹=歩に、朝ドラ『澪つくし』のヒロイン役を終えたばかりの沢口靖子、といったレギュラーキャストの布陣。

この第16話のゲストは、前回レビューした『太陽にほえろ!PART2』#02 に続いて、’80年代アイドルの甲斐智枝美さん。以下、レビューは以前アップした記事のリバイバル版となります。



☆第16話『三河湾に哀歌をきいた』

(1986.1.26.OA/脚本=長野 洋/監督=木下 亮)

新橋のサラ金に二人組の強盗が侵入、金庫の現金を強奪しようとするも途中で発見され、警備員の一人に重傷を負わせて逃走します。

その犯人たちはすぐに捕まるんだけど、金庫にあった現金500万円が行方不明。犯人は二人とも、奪う前に警備員らに見つかったから「俺たちは盗ってない」と主張。

で、同じ現場にいながら負傷しなかった若い警備員=野口(安藤一夫)がネコババしたと睨んだ芹沢&萩原コンビは、彼をマークするんだけど取り逃がし、潜伏先と見られる愛知県の蒲郡(野口の生まれ故郷)へと飛びます。

野口は同じ蒲郡出身の婚約者=恵子(甲斐智枝美)に「蒲郡で会いたい」と連絡を入れており、彼を自首させたい恵子は芹沢たちと同行するのでした。



あとはもう、三河湾の観光名所を巡る逃走&追跡劇が繰り広げられ、野口の口を封じたい黒幕(立川貴司)も絡んで吸った揉んだした挙げ句、もちろん最終的には野口も黒幕も逮捕され一件落着。地方ロケ編ってのは得てしてこんなもん、それ以上でも以下でもない、ってな内容でした。

ただ、最後に芹沢刑事が野口を説得するときの台詞は良かったです。

「これ以上逃げ回ってどうするんだ? 刑務所に入るのがそんなに怖いのか? お前はまだいい。世間と隔離されて生きていけるんだからな。だが彼女は違うぞ! 彼女はこれから先、世間の冷たい眼を浴びながら生きていかなくちゃいけないんだ! 彼女こそこれから先どうやって生きていったらいいんだっ!?」



それと、地元の新米刑事役で登場した若い俳優さん。無名にしちゃヤケに演技が上手いと思ってたら、今やチョー売れっ子バイプレーヤーの光石 研さんなんですね。クレジットを見るまで全然判りませんでした。



ストーリーとしては凡作だけど、光石さんの好演と甲斐智枝美さんの熱演に救われました。キャスティングの勝利かと思います。

セクシーショットはもちろん甲斐智枝美さん、当時22歳。『スター誕生!』が生んだアイドル歌手で、本作と同じ'86年に『太陽にほえろ!PART2』第2話にもゲスト出演されてます。

本作でのしっとりとしたOL役とは対照的に『太陽~』ではキャピキャピした女子大生の役。どちらも違和感なく魅力的に演じておられて、女優さんとしての才能を感じます。が、'90年の結婚を機に引退され、2006年に自ら命を絶たれてしまいました。合掌。


 
 

コメント (2)
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