’80年代アイドル特集第8弾は、桂木文さん! '78年のドラマ『ムー一族』で女優デビュー、'80年の『翔んだカップル』連ドラ版のヒロイン役で注目され、翌'81年にいきなりヌード写真集を発表して世間を驚かせ、我々を悦ばせてくれました。
'90年代末まで数々の作品に出演され、刑事ドラマは本作のほか『刑事貴族』『刑事貴族3』『さすらい刑事 旅情編』『風の刑事・東京発!』等にゲスト出演。ヌードグラビアは20歳の頃に撮られたもので、ファースト写真集は私も買いました。その節は大変お世話になりましたw
なお、2クール放映を予定してた『誇りの報酬』は好評につき4クールまで延長。第24話で退職した真山秘書(篠ひろ子)に代わり、第25話から結城 緑(伊藤 蘭)が捜査一課に着任し、最終回まで活躍することになります。
課長室からほとんど出なかった真山さんとは対照的に、バリバリ現場に出て男勝り(死語?)の活躍を見せる結城刑事の名字は、恐らく『大追跡』(’78) の結城佳代子(長谷直美)から受け継いだものと思われます。
☆第37話『天草灘に落日を追え』
(1986.6.22.OA/脚本=長野 洋/監督=大洲 齊)
萩原刑事(根津甚八)が休暇を取り、別れた妻との息子である修一を連れて熊本一周旅行へと出掛けます。
もちろん、どこへ行こうと事件が追いかけて来るのが、昭和ドラマにおける刑事さんの宿命。今回もまた、萩原に恨みを持つ犯罪者が絶妙なタイミングで刑期を終え、出所しちゃいました。
誰が演じてるかと言えば、やっぱりこの男ですw ↓
これだけ各番組から頻繁に呼ばれるってことは、きっと素顔はイイ人なんでしょうw
5年前に強盗傷害事件を起こした片桐竜次は、萩原&芹沢(中村雅俊)コンビに追われて車で逃走、飛び出して来た通行人をはねそうになり、萩原がとっさにマグナムでタイヤを吹き飛ばし、強引に彼の車を止めた。その弾みで車は横転し、同乗してた妻子が死んでしまった。
やむ無き処置だったとは言え、片桐竜次にとって萩原は愛する妻子の命を奪った仇。その萩原が息子を連れて九州旅行へ出掛けたと知って(どうやって知った!?)、竜次が放っておく筈がありません。
で、彼が萩原を追って九州へ向かったことを、これまた恐るべき捜査力で察知した芹沢も、九州へ飛びます。
かくして熊本・天草を舞台に、萩原刑事VS片桐竜次の追いかけ合いと決死の対決が描かれます。
もちろん片桐竜次ですから、義妹の真弓(桂木 文)を使って修一を人質に取るなど卑劣な手段に出ますが……
後から駆けつけた結城刑事に真弓を説得され、最終的には萩原からフルボッコの刑を食らい、あえなく撃沈。
こういう地方ロケ編にありがちな事ですが、ストーリーがシンプルなのは良いにしてもドラマが希薄で、どうにもレビューには向かない内容です。
前述のように事件が刑事の旅行先まで追いかけて来たり、犯人が観光名所をまんべんなく回って逃げたり等の強引さも地方ロケ編の風物詩ではあるんだけど、それにしても『誇りの報酬』にはこういうフワっとしてると言うか、捉えどころの無いエピソードが目立ちます。
いや、それは'80年代中盤から'90年代にかけて創られたアクションドラマ全般に言える事かも知れません。要するに、中身が軽くなっちゃった。話が薄いってことですね。
それは脚本力が落ちたからと言うより、やっぱり時代の流れなんだと思います。視聴者が湿っぽいドラマを好まなくなったせいもあるし、世の中が豊かになって犯罪そのものの質も軽い(貧困や怨恨に起因しない)ものになって来た影響もあった事でしょう。
後番組『あぶない刑事』はそんな時代の変化に対応し、ゲーム感覚で犯罪を楽しむ愉快犯が敵になることが多くなりました。それが遊び感覚で捜査したり銃撃戦したりする刑事のキャラと見事にマッチしたんですよね。
『誇りの報酬』の芹沢&萩原コンビもかなりノリが軽くなってはいるけど、事件の内容がまだ中途半端に浪花節だったりして、うまくマッチしてない気がします。刑事ドラマの在り方が変わるちょうど過渡期で、新時代への橋渡し役を務めたのが『誇りの報酬』だった。そんな気がします。