ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「私を変えた鬼教官の話」

2022-11-03 19:19:05 | 日記

今日は文化のホリデーってことで、午前中に葬儀屋さんと今後の契約を交わしたのと、休日でも電話で済ませる手配をいくつかしただけで、後はのんびり過ごしてます。ちょうど良い中休みになりました。

いや〜しかし、親の葬儀って、家族の想い出と、これまでの歩みと、自分自身の未来=終末に至るまで、ふだん考えないことを考えさせられる稀有な機会ですよね。

兄のことを「なにも出来ない人」って、さんざん書きましたけど、職業はコンピュータのプログラマーですから、けっこうな秀才なんです。社会人としてのステイタスは、私なんかよりずっと上でしょう。

だったら、社会常識だのコミュニケーション能力だの、別にそんなの無くたって生きて行けるし、ちゃんと人の役に立ってるワケです。

私とて、かつてクリエイターの端くれだった頃は、社会常識なんかクソ食らえ!って思ってたんですよね。そんなのに囚われてるヤツに面白い発想が出来んのかい?って。

そういう私を、1年間だけ一緒に暮らした女性が、スパルタ方式で変えようとしたんです。今回、私が兄に対して発した苦言って、まんま彼女から言われた言葉と同じなんですよね。

彼女から見た私は、私から見た兄とそっくりだったに違いありません。私はさすがに布団ぐらいは普通に敷けたけど、極端な完璧主義の彼女からすれば出来ないも同然だった事でしょう。とにかく毎日毎日、苦言を通り越した罵詈雑言を(酔った勢いで)浴びせられ、その1年間は我が人生最悪の想い出となりました。



で、その同居生活を解消したのとほぼ同時に、私はクリエイターの仕事にも見切りをつけました。もう既に創作意欲が枯渇し、父に「帰って来い」と言われたからだけど、あの修行みたいな1年間が無ければ、もうちょいズルズルしがみついてたかも知れません。

あの時が人生のターニングポイントでした。私は非常識な世界から、常識の世界へと大きく舵を切ったワケです。

同居した彼女は、単純に私を「頼れる男」に変えたかっただけと思うけど、結果的に私が常識の世界で生きて行く為の、言わば鬼教官の役目を果たしてくれました。今となっては感謝してます。



兄にはそういう出逢いが無かったみたいだし、必要無かったんでしょう。

私がクリエイター業から足を洗い、実家に戻ってすぐの頃は、まだ兄と共感し合えるものがあったんです。非常識な世界の名残を引きずってたから。

ところが「宅配業」という一般的な職に就き、今となっては幻みたいな「結婚」そして「離婚」も経て、いよいよ「親の介護」という究極にリアルな社会生活まで経験し、私はすっかり常識の中で生きる人になっちゃった。

だから、ずっと非常識の世界にいる兄の全てに違和感を覚えちゃう。もう私は元に戻れないし、兄もムリして自分を変える理由が無い。生活を共にするのは、かなり難しい。

どっちが良いか悪いかじゃなく、上か下かでもない。歩んでる道が、とにかく違う。交わりようが無い。

父が建てた家だから、いずれ兄が帰って来るのを拒否する権利は、私にはありません。もし同居するなら、徹底的に棲み分けして、お互い干渉しない「契約」を交わすしか無いと思うけど、厳しいだろうなあ……


 

コメント
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