ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『PS羅生門/警視庁東都署』2006

2024-10-13 16:16:05 | 刑事ドラマ2000年~

2006年夏シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全11話が放映された、テレ朝&東映の制作による刑事ドラマ。(タイトルの“PS”は追伸じゃなくて“Police Station”の略)

この放映枠で『相棒』シリーズの合間に創られた、シリーズ物じゃない“夏の単独作品”としては『刑事部屋/六本木おかしな捜査班』(’05) に続く第2弾。矢島正雄原作&中山昌亮作画による人気コミックの映像化で、同枠の刑事ドラマとしては初の原作付き作品だそうです。



マンガ原作ならではの奇抜なビジュアル(内装はアメリカ映画に出てくる刑務所さながら)で描かれる、たぶん新宿あたりを管轄する通称「羅生門」こと警視庁・東都警察署。


その刑事課に配属されたシングルマザーの新任刑事=紅谷留美に、木村佳乃。


元“チーマー”の荒くれ刑事=安全豊に、ココリコの遠藤章造。


気弱だけど足は速い若手刑事=通称“パンサー”こと野原常久に、池田努。


国内で彼を超えるプロファイラーはいないと云われる頭脳派のベテラン刑事=弓坂文雄に、森本レオ。


現場検証ではピカイチの洞察力を誇りながら金銭感覚ゼロの浪費家=“借金”こと土橋順一郎に、佐野史郎。


鑑識課のアイドル=江守サチに、松本莉緒。


なぜか署の表でおでん屋を営む刑事課課長=吉見武士に、伊東四朗。

そしてガサツな不良中年ながら抜群の洞察力で事件を解決に導くもう一人の主人公=黒田勘太には……


出た! 舘ひろし!!

またアンタかい!?って言いたいところだけど、このテレ朝水曜夜9時枠では唯一の出演作。

常連の柴田恭兵さんは同じ刑事役でも番組ごとにキャラを変えてるけど、舘さんはいつも通りの舘ひろしw 『あぶない刑事』はそんな対照的なアクター2人が組んだからこそ面白いんでしょう。


木村佳乃さん扮する“留美ちゃん”とはバディというより、新任刑事とその成長を見守るボス的な関係。なにせ実際のボスが副業で忙しくてほとんど刑事部屋にいない!


ゆえに捜査会議はもっぱら屋台でおでんを突きながらという、ここもマンガならではの突飛さと新鮮さがあって面白い。

もちろん根本的にはこの枠らしい人情系のシリアスドラマで、第1話ではクセがありすぎる各刑事のキャラを紹介しつつ、自身が刑事を志すキッカケとなった数年前の事件(事故?)にケリをつける主人公=留美ちゃんの奮闘も同時に描いてます。



留美ちゃんが刑事になった理由は、『太陽にほえろ!』のマミー刑事(長谷直美)とよく似てます。つまり、殉職刑事である夫の遺志を継ぐため。

ただし留美ちゃんの夫は凶悪犯に射殺されたワケじゃなく、海で入水自殺を図った少年を救助した結果の事故死。

なのにその少年は感謝するどころか「アイツのせいでオレの人生は今でも最悪だ!」と逆恨みし、夫の忘れ形見である留美の大事な一人息子を拉致し、道連れにして再び同じ場所で自殺を図るのでした。


「許さない!」


「許さない! 死ぬことなんて絶対許さない! 死なれてたまるか! 死なれてたまるかバカヤローッ!!」

息子への愛はもちろん、亡き夫への愛もダイレクトに伝わってくる留美ちゃん=木村佳乃さんの涙にもらい泣き。さすがです!


刑事部屋でスタイリッシュに西日を浴びながら、「旦那があんな下らん男のために……」と同情するダンディー黒田に、留美ちゃんは異を唱えます。


「違います。夫は、あの少年の人生ではなく、命を救ったんです。刑事としての誇りです。人を救う仕事をしている誇りです。だから私も刑事になった」


「……そうだな。あいつがどんな人生を生きようが、お前の旦那は尊いし、一点の曇りも生じようがない。許してくれ」


「…………」

いや〜、いいですね! 役者が揃ってるお陰もあろうけど、リアルとファンタジー、シリアスとコミカルのバランスも絶妙だと私は感じました。

佐野史郎さんの現場検証と森本レオさんのプロファイリングにより、あっという間に真犯人が特定されちゃうスピード感も素晴らしい!(そのぶん森本レオさんがたっぷり間をためてセリフを言うギャップがまた可笑しい)

だけど斬新さで勝負する番組は本作あたりが最後で、以降の刑事ドラマは(この放映枠に限らず)作風の違いこそあれ“謎解きゲーム最重視”の内容にほぼ統一されていきます。

今期(2024年秋シーズン)も刑事物の新作がいくつか始まってますが、「やれやれ……」っていう感想しか浮かびません。まさか、更に20年経っても「あの頃はまだ良かった」って思うほど無個性化が進むんでしょうか?

その時まで自分が生きてるかどうか怪しいけど、もし空飛ぶクルマでチェイスしながら光線銃を撃ち合うような、遠い遠い過去の空想が幻になってなければ、もしそんな刑事ドラマが観られるなら、なんとか頑張って見届けたいと思います。



セクシーショットはレギュラーの松本莉緒さんと、主役の木村佳乃さん。

今回の第1話は先行放送(東映チャンネル初)で、本格的なスタートはもうちょい先。第2話にはデビューしたての吉高由里子さんが女子高生役で登場するらしく、録画を忘れさえしなければレビューするつもりです。

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