ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「嘘みたいなホントの話。」

2025-02-23 10:23:39 | 日記

ここ数年、我が地域じゃ見られなかった銀世界を眺めながら、私はついに人生の第2ステージの入口に立った緊張感を味わってます。

もちろん喪失感もあるし開放感もあるけど、それ以上に「いよいよ本当に独りだ」「自分の人生を歩むんだ」っていう、重み。

実は離れた場所に5つ上の兄がいるけど、将来世話をする気も無ければされる気も無いと、父の通夜のときに宣言しました。

両親の介護は私が一手に引き受けてきたけど、遺産相続はきっちり二等分するとも約束してあります。遺産が目当てで実家に戻ったと思われたくないし、二等分することで後腐れなく別個の人生を歩めるから。

なので母の葬儀にも兄は(本人了承の上で)呼んでません。今まで私がずっと1人で頑張って来たのに、最後の最後だけ横で家族面されちゃたまらない。

だから通夜も告別式も基本は私1人でやるけど、それじゃ寂しすぎるし私の負担が大きいから、長野の親友Hくんと大阪のGUN友Nくんが付き添いに駆けつけてくれる予定。

そんな葬式は前代未聞かも知れず、葬儀屋の人たちは驚いてた(内心は呆れてたでしょう)けど、喪主は私だから私のやりたいようにやらせてもらいます。



ところで母が亡くなる日の前夜、こんな出来事がありました。

会っても鬱陶しがられるのは承知の上で、でもあと何回会えるか分からない状況ゆえ、いつものように私は業務を終えてから隣部署を訪ねました。

そしたら、ちょうど入口のところで中堅の男性職員と鉢合わせになり、私は「すいません、またちょっと(母の居室を)覗いて行きますね」と、穏やかな調子で言いました。

ところがその職員……もう「アイツ」と呼ばせてもらうけど、よっぽど忙しかったのか直前に腹に据えかねる事でもあったのか、アイツは物凄く迷惑そうなオーラを発しながら、無言で、首を半分だけ横に振る(つまり“勝手に行け”という)仕草をして見せたから驚いた!

もちろん「ええっ!?」って一瞬思ったけど、そのあと全体会議があって急がなきゃいけないし、あまりに想定外な対応にどうリアクションすればいいか分からず、私はすぐその場を離れて母の居室へ行きました。

母の様子は前日とそんなに変わっておらず、「もう近い」ってホンマかいな?と思うほどでした。



で、そのあと参加した月1回の全体会議。基本は各部署の収支報告と施設長による訓示だけど、いつもより長いその訓示が「(職員どうしも含めて)人との接し方が正しく出来ているか、あらためて省みて欲しい」みたいな内容だったもんで、私の奥底にあるマグマがメラメラと燃え始めました。

さっきの「アイツ」の「人に対する接し方」は一体どうなんだ? 私がターミナル・ケアを受けてる利用者の家族であること、それ以前に同じ施設で働く仲間であること、アイツよりかなり歳上であることを差し引いても、どう考えたって圧倒的に正しくない。

しかも、私が「気持ちだけでも」と持ち込んだ栄養ゼリーを女性職員が突き返した件で、隣部署のみんなに謝罪されたあの日から、まだ1週間も経ってない!

その「みんな」の中でもひときわギラギラした笑顔で「僕はあんな人(ゼリーを突き返した職員)とは違いますから」って断言したのが誰あろう、「アイツ」ですよ! これ、本当にホントの話です。

あんな女やこんな男を雇い、野放しにしといて「人との接し方を見直そう」もクソもあったもんか!!💢



施設長の訓示が長すぎて、司会役の人が「今回は質疑応答を省略します」と言って会議を終わらそうとするのを遮り、私が「すいません、どうしても言いたいことがあります!」と手を挙げたもんだから、そこにいる30人前後の職員たちが全員、仰天しながら私に顔を向けました。

なにしろ、私はそんな大勢の前で、しかも皆が早く帰りたがってる空気の中で、いきなり物申すようなタイプじゃないんです。けど、この時ばかりはまったく躊躇ナシでした。

「よその施設で見放された母を受け入れてくれたこの施設には本当に恩義を感じてます」と前置きした上でアイツとのいきさつを話し、「なんやねん、あの態度はっ!?」と、なぜか全員に対して怒鳴る私。もう止まりません。

アドレナリンが出まくって声も足も震えてたけど、私はアイツに限らず職場全体の空気に対して以前から感じてる不満もぶちまけました。

「朝、出勤した瞬間に帰りたくなることがしょっちゅうあります! 必要以上にピリピリして、挨拶しても無視される。ここは野戦病院かよ!?って。新しく入った職員が次々辞めていくのも当然です!」



手を挙げる直前までは「人手不足で余裕が無いのは本当によく解るけど」ってフォローも入れるつもりだったし、「そういう空気が利用者様のストレスになってないですか?」って結論づけるつもりだったのに、興奮しすぎて言い忘れちゃいました。

が、普段おとなしいヤツが大声を上げ、ちゃんと筋の通ったことを言ったときの効果は凄い。まさに「水を打ったように」皆が静まり返り、施設長はうなだれ、中には涙を流してる職員も。

そう言えば数ヶ月前、施設長との個人面談(年に2回ほど定期的にある)で私が「職員どうしの挨拶がちゃんと出来てないのが何より不満です」って訴えたとき、施設長に「私が言うよりハリソン君みたいな人が言った方が絶対に刺さるから、ぜひ皆に言って欲しい」と頼まれたことを、後になって思い出しました。

そのときは内心「ヒンシュク買って損するだけやん」と思ったし、「自分には荷が重いです」って正直に言ったけど、気がつけば結果的に実行してた。施設長とは違う「何者か」に言わされた感じです。



思いをぶちまけた結果はこないだ(栄養ゼリーのとき)と同じで、隣部署のトップはおろか施設長にまで謝罪される事態に。

「利用者様の家族」っていう立場を振りかざすのは絶対ダメだけど、その立場じゃないと言えないこと、言わなきゃならないことを、奇しくも母が亡くなる前夜に(つまりその立場でいるギリギリ最後のタイミングで)、主に役職者が集う会議でぶちまけた。

施設長が予言した通り、トップからの長い訓示よりも確実に刺さったと思います。もちろん、だからって私が大声だせば皆がひれ伏すなんて、アホアホな勘違いは断じて致しません。もういい歳ですから。

ちなみに「アイツ」こと信じられない横柄な態度をとった男性職員も、そして栄養ゼリーを突き返した女性職員も、おおっぴらには言えない裏事情を抱えてることを隣部署の主査が「言い訳にならないけど」と前置きした上で教えてくれました。

「ここだけの話にして下さい」とも言われたので言明は控えますが、私自身にも通底するものがある(親を介護してるって意味じゃなく)と書けば察して頂けるかと思います。

だからって野放しにしちゃ絶対ダメだし、けれど深刻すぎる人手不足という切羽詰まった背景もあるしで、上の立場にいる人たちが一番苦しんでる現実もよく分かりました。

こう言っちゃ何だけど、母がウチの施設(の隣部署)にいるより病院にいる期間の方がずっと長かったのは、今思えばラッキーでした。あの2人以外の職員さんたちに落ち度は無いけど、身内を預ける立場からすると……



挨拶の件にしろ、殺伐としがちな現場の空気にしろ、これまでスルーされてきた(小さいようで大きな)問題を会議の場で浮き彫りに出来たのは、本当に良かったと思ってます。

その翌日に母が亡くなり、私は慶弔休暇に入ってますから、施設に少しでも変化が生まれたかどうか現時点じゃ判りません。

が、大勢が集う会議の場で言うべきことをハッキリ言えた、自身の変化こそが私にとって何より重要。なんだか卒業試験に合格したような気分。

無理くりなポジティブ・シンキングじゃなくて、これまでの長い試練がようやく結実し、それを見届けるようなタイミングで母が逝った。これまた嘘みたいなホントの話です。

ちなみに私の付添人の都合により、母の通夜と葬儀は1日遅れで執り行われます。だからこの記事が書けました。

コメント (2)
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