レンタルDVDで『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』('19) と『ワンダーウーマン1984』('20) を観ました。
どちらも広く名の知れたアメコミのスーパーヒーローだけど、スパイダーマンはマーベル・コミック、ワンダーウーマンはD.C.コミックスと所属リーグが異なっており、それぞれMCUとDCEUの二大ユニバースを代表するキャラクターで……って書いても興味ない読者さんにはサッパリですよねw
↑これをいちいち説明するのが面倒だから、今回は映画レビューじゃなく「日記」として書くことにしたのに、気がつきゃ親切に説明しちゃってるボクちゃんはやはり真のハリソン・フォードです。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はMCUの大きな区切りとなった『アベンジャーズ/エンドゲーム』('19) に続く作品で、そっちを観てないとよく解んない設定も多く、もはや連載マンガか連ドラの世界。アメコミ映画は評判がどうあれ観る人は観るし、観ない人はいっさい観ないだろうから、それで良いのだと思います。
私は『~エンドゲーム』でアメコミ映画はもう卒業しようと思ってたけど、観たらやっぱり面白いんですよねえ。キャラクタードラマとしてよく出来てるんです。
スパイダーマン=ピーター・パーカー(トム・ホランド)はアベンジャーズの中で最年少(まだ高校生)であり、参入が遅かったせいもあって未だ「ひよっこ」扱い。それで功を焦って失敗したり、先輩たちのサポートでやる気を取り戻したりする様がまさに「青春アクションドラマ」で『太陽にほえろ!』の世界!
ピーターが真っ直ぐで純情な少年である点も好感が持てるし、ヒロイン=MJ(ゼンデイヤ)とのロマンスも初々しくて私のハートはチュクチュクしちゃう。
また、そのMJのキャラクターが過去のスパイダーマン映画と違い「変わり者」として描かれてる点が面白い。原作コミックもいろんな作家が描いてるから、多分こんなバージョンのMJも過去に存在したんでしょう。
で、純情少年と変わり者女子の恋だから、なかなかスンナリとは進まない。今回の映画は、スクールの研修旅行中にMJに「告白」しようとするピーターの奮闘がストーリーの縦軸になってて、ヒーローバトルに興味がない人でもラブコメとして楽しめる趣向。
ただしロマンス描写に偏りすぎると私みたいな五十路男子はシラケちゃうワケだけど、そのへんのバランス感覚がMCUは抜群に上手い。まあ昨今のアメコミ映画に共通する不満点として「尺が長すぎる」ってのが今回もあるんだけど、集中力が途切れるギリギリのラインで私が踏み留まれたのは、やっぱり青春ドラマとしてよく出来てるからだろうと思います。
一方の『ワンダーウーマン1984』を観てまず驚いたのは、前作にはまだ残ってたザック・スナイダー臭(やたらダークな作風)がすっかり払拭されてること。『ジャスティス・リーグ』の興行的失敗が影響してるんでしょう。
お陰でクリストファー・リーブの『スーパーマン』シリーズを彷彿させる明るい作風が甦って、暗いのが苦手な私としては大歓迎!……の筈なんだけど……
差別はしたくないけど、やっぱ女性監督の作品やなあって、しょせん男子(五十路)の生理には合わへんよなあって、思わずにいられませんでした。
前作で死んじまった恋人=スティーブ(クリス・パイン)を60年以上経っても忘れられないダイアナ(ガル・ガドット)が、なんでも願いを叶えてくれると云われる魔法の石に、半ば冗談でスティーブの復活を願ってみたら本当に生き返ったから驚いた!
で、その石が悪党の手に渡ってしまい、世界中の人々の身勝手な願いがどんどん叶えられ、世界は大混乱! それを食い止めるには、みんなが願いを取り消さなきゃいけない。
そうすればせっかく再会できたスティーブがまた消えちゃうワケで、ダイアナは生涯の恋か人類の救済かっていう究極の選択を迫られ、大いに葛藤するのでした。
ネタバレを気にするまでもなく、ヒーローなら後者を選ぶに決まってるし、二度目の別れの切なさがドラマを盛り上げるであろうことは容易に想像ついちゃう。
それはいいんだけど、別れをより切なくするには事前に二人のイチャイチャぶりをしっかり描かなきゃいけないワケで、それが我々男子(五十路)には拷問に近い苦痛w……とまでは言わないけど、退屈極まりない時間になっちゃう。
花火大会の上空をセスナ機で遊覧するロマンチックな場面も、別にあってもええけど長すぎるやろ!ってw、そんな時間があるなら1人でも多くの悪党をぶん殴れよ!って、そこで男女の生理の違いが顕著に表れちゃうワケです。
で、最後は悪党をやっつけるんじゃなく、願いを叶えた全世界の人々をダイアナが説得し、みんなが取り消すことで平和を取り戻すというヒューマニズム。悪党も幼い息子の訴えであっさり改心しちゃいます。
決して悪くはありません。ただし、これがヒーロー映画でなければ! 私にとってのヒーローは、やっぱ悪党をぶちのめしてナンボなんです。そのカタルシスが無くちゃヒーロー物を観る意味が無いんです。
同じパティ・ジェンキンス監督による前作『ワンダーウーマン』にはちゃんとカタルシスがあったのに、それが大ヒットしたお陰で監督の株がぐっと上がり、逆にプロデューサー=スナイダーさんの株が急落したのも追い風になって、今回はパティさん=女性監督の意向が全面的に優先されたんでしょう。
良い悪いは別にして、大抵の女性は暴力を好まないし、アクションよりもドラマで魅せたいと考えるでしょうから、こうなったのは必然だろうと思います。
アクションシーンが無いワケじゃ勿論ないけど、闘い方がえらくフェミニンになっちゃった。「彼らには罪がないから」とか言って、投げ技ばっかりで打撃技がほとんど見られない!
女性が屈強な男どもを片っ端からぶん殴り、蹴飛ばし蹴散らす場面にこそガールズアクションの醍醐味があるのに、これじゃ意味がない。女性観客がどう感じるか私には分からないけど、もしかしたら同じ声も聞こえて来るかも知れません。
泣かせることを前提にドラマや映画を創っちゃダメですよ!って、いつも口を酸っぱくして言ってるのにホント残念です。ヒューマニズムを否定はしないけど、そういうのはよそでやって頂戴、ピアノ売ってチョーダイ電話してチョーダイ!!って、私は声を大にして言いたいです。
よって、セクシー美女ワンダーウーマンVS童貞男子スパイダーマンの対決は、童貞くんの圧勝です。D.C.ユニバースは相変わらず迷走してますね。まだまだマーベルの時代が続いて行きそうです。
ワンダーウーマンは……ガルガドットさんは好きなんですけどね~(^^;
もうすぐジャスティスリーグのスナイダーカットが公開されるんでしたか。
それで流れが変わるといいんですが。
ワンダーウーマンは1作目がとても良かっただけに残念です。そういつも上手くはいかないところが映画作りの難しさで面白さ、なんでしょうね。
枯れてきたのかと思いました。
カタルシスをそこまで味わえなかったので、、
作品のファンなので
楽しめていない自分がショックでした
解説ありがとうございます。
納得です、スッキリしました!!
多方面で分析必要ですね!!