ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『仮面ライダー THE FIRST』

2020-05-03 22:10:06 | 特撮ヒーロー










 
2005年の秋に公開された、長石多可男 監督、井上敏樹 脚本による東映の劇場映画です。

初代『仮面ライダー』のストーリーを現代の技術と解釈で描き直した所謂リブートで、石森章太郎さんによる原作漫画のテイストを、出来うる限り忠実に実写化することを目指した作品と思われます。

私は原作をちゃんと読んだことが無いので、その再現度がどれ程のレベルか判断出来ないけど、この映画に登場する仮面ライダー1号&2号のビジュアルは、平成以降に登場したどの仮面ライダーよりも格好良いです。そこは文句なく素晴らしい!

ライダーだけじゃなく、バット(蝙蝠男)、スパイダー(蜘蛛男)、スネーク(蛇女)といった怪人たちもスタイリッシュにアレンジされており、それらの出来映えだけでも一見の価値は充分にあり、と私は思います。

だけどすこぶる残念なことに、お話が超つまんないですw

とことんシリアスで暗いのは原作の持ち味でしょうから良いとしても、ライダー1号=本郷猛(黄川田将也)とライダー2号=一文字隼人(高野八誠)がヒロイン=緑川あすか(小嶺麗奈)を巡って争ったり、彼女を救うためだけに命を懸けたりと、あくまで恋愛をモチベーションにしてることに激しく違和感を覚えました。

原作ってそうなんですか? そんなミクロなお話だったんですか? ビジュアルは過去最高にカッコいいのに、内面は最悪にダサいです。人間だから普通に恋はするとしても、人類を護るためにそこは犠牲にしちゃうのがヒーローじゃないんスか? まじ、ダサいです。こんなダサいヒーローは今まで見たことがない。

ショッカーも何が目的で改造人間を作ってんのかよく解らんし、本郷猛を改造する時は手術台に全裸で磔にしたくせに、ヒロインの時は服を着せたままって一体どういう了見やねんっ!?(ハイパージェネリック激怒)

結局、女性客を呼び込むことしか頭に無い「商魂」が丸見えなんですよね。俺たちが最高にカッコいいと思える最高のライダー映画を創ろうぜ!っていう心意気が、造形とアクション以外の要素からまるで感じられない。ダサいです。

本筋と全く関係なさそうに見える、難病カップル(ウエンツ瑛士&小林涼子)のセカチュー的メロドラマが、実は怪人コブラとスネークの過去であることが判った時だけは「あれ? 面白いやん」って思ったけど、ライダーに倒された2人に実はこんな背景があるんだよっていう「設定」が紹介されただけの事で、本筋を盛り上げるだけのドラマにはなってない。

いまいち魅力的じゃないヒロイン=あすか(なぜルリ子にしなかった?)を巡り、辛気くさい顔して争ってるダブルライダーより、むしろショッカーから新たな生命を貰った怪人カップルの方が活き活きしてて、ショッカーを応援したい気持ちにまでなっちゃう。それで結局ライダーが勝つんだから、ヒーロー物に何より求める「カタルシス」が微塵も得られない。つまんないし、超ダサいです。

その怪人カップルの話は原作にあるらしいけど、それを今回「取って付けた」のも女性客を呼び込む為かと思うとゲンナリします。「大人向けの仮面ライダー」って謳われてますけど、違います。これは「女性向けの仮面ライダー」です。

もちろん、女性が特撮ヒーロー物を観ること自体を否定してるんじゃありません。ただ、それはあくまで結果であるべきで、創り手が目的にするのは間違ってる。イケメンを揃えてメロドラマを演じさせりゃ女性は喜ぶだろうっていう、その短絡思考こそが女性蔑視だと私は思うワケです。

バットに津田寛治、スパイダーに板尾創路、立花藤兵衛(おやっさん)に宮内洋、ショッカー幹部に佐田真由美、DA PUMPのISSA、そしてデジタル出演の天本英世、さらにチョイ役で風間トオル、本田博太郎、石橋蓮司etc…と、多彩かつ豪華なキャストを揃えながら、このダサい内容はホント残念としか言いようありません。

セクシーショットはウエンツ瑛士と「セカチュー」して蛇女となる第2ヒロイン=美代子を演じられた、小林涼子さん。当時15歳!

映画初出演は同年公開の多部未華子 主演作『HINOKIO』で、翌年1月に放映されたテレ朝のスペシャルドラマ『ブレスト/女子高生、10億円の賭け!』では女子高生ブレーンの1人として多部ちゃんと再共演。'08年にはTBSの連ドラ『魔王』でヒロインを演じ、現在に至るまで実に多くの作品に出演されてる若きベテラン女優です。
 


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2 コメント

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Unknown (キアヌ)
2020-05-04 19:01:09
これはすごかったですね、
仮面ライダーの魅力を何にもわっかっていない、
冒頭の採石場でのジャンプシーンが本当に必要で
カッコいいと思ったのか??
 
残念でなりません。
 
仮面ライダーの爽快感をここまで無視した作品も
珍しいですよね。
  
  
あと、ラストバトルで、
バイクを海底移動させる意味が本当にあったのか、
普通にどこかを疾走させればよかったのではないのか?


デザインは好きですが1回劇場で見たのみです。

とても悲しかったのを覚えています。 
 
 
先ほどYOUTUBEにあげられている
旧1号対サラセニアンのバトルシーンを見ましたが、
すべてにおいて数億倍カッコいい!!
 
 
リブートとはいえ、人気の秘訣部分は
絶対に外してはいけないと思いました。
 
 
NEXTはだいぶマシで結構好きですが、予算の関係なのか
ホラー色が強すぎて、当時ホラー部分を全部カットした
「俺のNEXT」を編集した思い出がありますww
 
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Unknown (harrison2018)
2020-05-04 19:17:39
いったい誰の為のリブートなのか?ですよね。創り手は誰を喜ばせる為に創るべきだったのか?

もちろん女性客の為でもなければ、マニアの為でもない。創る人自身を喜ばせる為に創るのが、一番正しい姿勢なんだと思います。

独善的でもいい、自己満足でもいい、作者の誰よりも仮面ライダーを愛する気持ちさえ伝われば、我々は無条件に拍手を贈ったし、旧作を知らない女性客だって楽しめたはず。

たぶん製作委員会やらスポンサーのサラリーマンたちにぐちゃぐちゃにされたんだろうけど、自分の夢のために闘って欲しかったし、それだけの愛を持たないならオファーを断って欲しかった。

根本から間違った姿勢で作られた(好きでもない相手とセックスしてデキちゃった子供みたいに)不幸な作品です。
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