これでもか!と言わんばかりに偶然が重なりまくる「ご都合主義」の極致みたいなドラマだけど、ゲストがいつも華やかだし、宇津井健さんは折り目正しいしで、このブログにとってはネタの宝庫かも知れません。
それと今回は、主役のリーゼント刑事と美人刑事にいわゆる「恋愛フラグ」とやらが立つターニングポイント的なお話だったりもします。そこは心底どーでもいいんだけどw
☆第6話『特急ひたち・送られてきた婚約指輪』(1989.11.15.OA/脚本=篠崎 好/監督=天野利彦)
鉄道警察隊の美人刑事=西園寺(高木美保)宛てに差出人不明の郵便が届き、封を開けたら驚いた!
入ってたのは手紙ではなく、福島県の湯本温泉行き特急「スーパーひたち号」の乗車券と、エンゲージリングと思わしき指輪だった!
しかし今の西園寺にそんな相手(つまり毎晩チョメチョメするパートナー)はおらず、かと言ってイタズラにしては手が込んでるって事で、よく調べてみたら指輪からルミノール反応(血痕)が検出された!
事件の匂いがプンプンしてきたもんで無視するワケにいかず、同封された切符を使って西園寺がスーパーひたち3号に乗り込み、護衛役としてリーゼント(三浦洋一)とシブがき隊(布川敏和)も同乗するのでした。
その道中、西園寺は相席となった年配夫婦(高原駿雄、小畠絹子)とすっかり仲良しに。
一方、シブがき隊は旅行中の女子大生たち=圭子(黛まどか)、みどり(森山祐子)、妙子(湯浅けい子)を見つけるやジャニーズ特権を振りかざし、速攻でナンパします。不愉快という感想しかありません。
しかしこの番組、毎回のように女子大生が出て来ますね!(で、だいたい湯浅けい子さんが混じってるw)
もちろん何の意味もなく出てきたワケじゃなく、そこから事件が生まれるシステムになってる。途中の日立駅で弁当を買いに出た圭子が、なぜか発車時間になっても戻って来ない!
仕方なく残りの2人とシブがき隊が途中下車し、先行するリーゼントたちとは湯本で落ち合うことに。
で、先に湯本に着いた西園寺は、相席した年配夫婦からの「よければ温泉も一緒に」っていう誘いを丁重にお断りしたお陰で、リーゼントと二人きりになっちゃう。
「あんなふうに夫婦一緒に歳を取れるなんて、ステキよね」
「う、うん……💦」
唐突に異性を意識し始めるリーゼントの反応が、いかにも取って付けた「作劇上の都合」を感じさせますw どうせ「やっぱ視聴率を稼ぐにはロマンスが必要だよね」って、制作会議で急きょ決まったんでしょう。
で、次の便で湯本に着いた女子大生=みどり&妙子は、駅前トイレの裏から飛び出して来た圭子と再会することに。そこにはなんと、彼女らが通ってる大学のイケメン助教授=早見の他殺死体が転がっていた!
当然、地元の刑事たちは圭子をハナから疑ってかかります。作劇上の都合です。
けど、サスペンスドラマの法則(いかにも怪しく見える容疑者は100%シロ)を熟知するリーゼントは、まず殺された早見助教授の身辺を徹底的に捜査し、東京で折り目正しく待ち構える高杉警部(宇津井 健)に報告します。
圭子は確かに、早見助教授とちょくちょくチョメチョメするチュクチュクな関係で、痴情のもつれがあったんだけど、それは彼女に限ったことではなく、早見は教え子に片っ端から手を出すシブがき隊も真っ青なスケコマシで、それを苦にして自殺した生徒までいる!
おまけに、実はみどりと妙子も早見にコマされ、同じように捨てられた被害者だった! いくら何でも「んなヤツはおらんやろう」けど、この番組の世界にはおるんやから仕方がない! 大霊界はあるんだから仕方がない!
つまり、シブがき隊の引っ掛けた女子大生3人が、共謀して早見を殺した可能性も浮上したワケで、リーゼントと西園寺があたらめて尋問するんだけど……
どうしても彼女らに人が殺せるとは思えない。どころか、女子大生と接してるうちに西園寺も、大学時代にイケメン助教授に憧れた自身の過去を想いだし、急に乙女な感じになっちゃいます。作劇上の都合です。
で、その憧れの助教授が人妻と不倫し、心中したという凄まじい過去も唐突に思い出しちゃう。そんな強烈な出来事をふだん忘れてるのが何より凄いけど、これも作劇上の都合だから仕方ない。
そこでリーゼントが気づくワケです。そう言えば早見助教授に捨てられた生徒の中に、自殺した子がいる!
調べてみると、その子の兄が湯本温泉で働いてた!w そう、あの日、懲りずに駅前で圭子と痴話喧嘩してるスケコマ助教授を「偶然」見かけた彼が、死んだ妹の無念を晴らすために殺したのでした。
こういう時、犯人が必ず「画になる名所」に逃げ込むのもサスペンスドラマの鉄則で、作劇上の都合。
というワケで一件落着。女子大生たちの容疑が晴れて、高杉警部も笑ってます。何がそんなに可笑しいっ!?
だけど、そうなると、西園寺刑事に送られて来た、あの婚約指輪はいったい何だったのか?
実は、その送り主は、スーパーひたち号で彼女と仲良くなった、あの年配夫婦だった! それまでに会った記憶は無いのに、なぜ?
実は、夫婦は数ヶ月前に西園寺と同じ「さやか」という名前の一人娘を事故で亡くしており、結婚間近だったその娘は婚約指輪を握りしめて息絶えた。だから血液反応が出たワケです。
で、たまたま東京駅でシブがき隊に「さやかさん」と呼ばれる西園寺を見かけ、そのときの会話で彼女の休日を知り、ダメ元で切符と指輪を送ってみた。つかの間でも親子気分を味わいたくて……
こうして書くとホントめちゃくちゃな話だけどw、それを雰囲気だけでイイ話っぽく見せちゃうのが人情系ドラマの方程式。視聴者がどんどん馬鹿になってく所以ですw
メインゲスト(圭子役)の黛まどかさんは、現代俳句の世界じゃ名の知れた女流俳人で、ウィキペディア情報だと女優のお仕事は大河ドラマ『武田信玄』と本作のみ。たいへん貴重なんだけど残念ながらセクシーショットは残されてません。
だから今回は二番手ゲストの森山祐子さんをクローズアップ。本格的なドラマ出演は今回が初で、2年後にSFアクション物のVシネマ『ゼイラム』シリーズで主役を張り、注目されることになります。
2004年に発表された写真集がどうやら芸能界における最後のお仕事だったらしく、その素晴らしいセクシーショットを無断で掲載させて頂きます。
それはお笑いマンガ道場の最期をみとった女
(敬称略)