☆第393話『密偵』(1980.2.8.OA/脚本=長野 洋/監督=竹林 進)
今回は山さん(露口 茂)が初の本格アクションに挑戦!と大々的に宣伝されたもんで、私は当時ワクワクしながら放映を待ちました。
が、実際はちょっとだけ走ってちょっとだけ跳びながら1発だけ拳銃を撃つという、はっきり言ってショボいアクションでガッカリしました。
スコッチ(沖 雅也)ならそれだけの動きでもウットリするほど華麗にダイナミックに魅せてくれるんだけど、山さんはやっぱ謎解きに専念しといて下さいってw、つくづく思っちゃいましたm(__)m
そんなワケでこのエピソードには「ショボい」イメージしか残ってなかったんだけど、今あらためて観ると山さんのハードボイルドな活躍が久々に見られ、むしろアクション以外の部分に見所が詰まってることに気づかされます。
ただでさえ出番の少ないボス(石原裕次郎)が『西部警察』との掛け持ちで更に出番が減っており、当時ハードボイルドをやれる人が山さんしかいなかったんですよね。
アクションもハードボイルドもイケるスコッチがもうすぐ帰って来てくれるけど、まだこの時期はそういう要素が全然足りてなかった。だから、今にして思えばとても貴重な回でした。
ストーリーは番組末期の傑作『山村刑事の報酬なき戦い』(#678、2時間スペシャル) の原型みたいな感じで、本庁の岡島警視(稲葉義男)から極秘指令を受けた山さんが、単身でよその署へ乗り込み、広域窃盗犯を取り調べるフリをしながら、暴力団と内通する悪徳刑事の正体を探るというもの。
捜査課長が高原駿雄さん、係長が小野武彦さん、若手刑事が剛達人さん、そして本庁の中田係長が井上孝雄さんと、誰が内通者でもおかしくない曲者揃いのメンバーで、敵に不足なし。
山さんに対して一番敵意をむき出しにしてた小野武彦さんがシロで、中立で理解者っぽかった中田係長が真犯人ってのはパターン通りだけど、その妻である由起子(森田はるか)がかつて山さんの同僚婦警で、互いに好意を抱いてたことを示す描写があり、密偵というただでさえツラい任務に切なさが加味されたのは、ストーリーに深みが生まれてとても良かったと思います。
「結局、何人もの人間を不幸にしたワケですね……」
みごとに事件を解決させても虚しさしか残らない山さんに、ボスが煙草に火を点けてやりながら言いました。
「誰かがやらなくちゃならない仕事だったんだよ。そうだろ?山さん」
台詞そのものは凡庸だけど、ボスと山さんが演じると深い! 渋い! カッコいい!
それに引き換え、張り込み中にアクビをしてたスニーカー(山下真司)に、応援に来たロッキー(木之元 亮)が顔を毛むくじゃらにしながら言ったこの台詞。
「アクビもいいけどな。アゴ外すなよ、おい。へっへっへっへ!」
まず台詞の内容からして超絶つまんないけどw、それをロッキーがドヤ顔で言うとなおさら…… 近ごろ足りてなかったユーモアも入れていこうっていう姿勢は大歓迎だけど、それでちゃんと笑いが取れるメンバーもいないんですよね、この時期は。
脚本も演出もむろん大事だけど、それを的確に活かせる役者がいないと、やっぱりドラマは面白くなりません。
その点、露口さんのハードボイルドを復活させた今回はとても良かった。やれ社会貢献だの愛のドラマだのと気取ってないで、こういうのを『太陽~』はどんどんやるべきでした。教育番組なんかじゃない、これはエンターテイメントなんだから!
1 コメント
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- Unknown (ゲートウェイ高輪)
- 2020-10-08 06:45:02
- 小野武彦さん、大都会シリーズとは違いスリーピースでカッコいいですね(^.^)
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