面白い! 回を追う毎に面白さを増し、観れば観るほどヒロイン=森若さん(多部未華子)を好きになっちゃいます。これはタベリストであろうがなかろうが関係無いと思います。
山田くん(重岡大毅)の熱烈アプローチに根負けした森若さんは、金曜の夜に2人で食事することに同意しますが、その日にどんな服を着ていくかなんて、いっさい気にしません。
そんな事よりも、几帳面な森若さんは一週間の食事メニューをきっちり決めて作り置きしており、金曜の夜に食べる予定だった「手羽先の唐揚げときんぴら」が翌日にズレ込んでしまう、その番狂わせをやたら気にしてるw
そして当日、フランス料理店に行こうと言う山田くんの提案を「1時間で帰る予定だから」ときっぱり断った森若さんはw、注文した料理がサクッと出てきてサクッと食べられる馴染みの居酒屋に山田くんを連れて行き、そこで何も知らずに「手羽先の唐揚げときんぴら」を注文する彼に、なんとも言えない顔をするんですよねw
この「なんとも言えない顔」の面白さも多部ちゃんの真骨頂の1つだけど、几帳面な森若さんと無邪気な山田くんのキャラクターを、単なる笑いのネタで終わらせずストーリー展開に活かしていく脚本の妙!
そして更に、馴染みの居酒屋ゆえ他の同僚たちも来店してしまい、二人の仲を疑われるも森若さんが即座に全面否定。それで山田くんが凹んじゃうコメディー展開の中で同僚たちがこぼし始めた愚痴が、今回の本筋に繋がっていくという手際の良さ!
そもそも山田くんが森若さんに惹かれていく過程も全てこれまでのストーリーと密接にリンクしており、恋話が決して蛇足にならないし、観てる我々も彼の気持ちがよく解るから応援したくもなって来る。だからこそ、全く噛み合わない2人のデートが笑えるんですよねw
それって必要?って思うような描写や登場人物は一切なく、恋話も経理の話も職場の人間関係も、全てに意味があって全てが巧みに絡み合い、各回のストーリーをテンポ良く進めていく。
原作と脚本のクオリティーが神レベルで、加えてキャスティングも演出も音楽も全てが一級品。本作は今季ナンバーワンどころか、確実に今年ナンバーワン連ドラにノミネートされるだろうし、賞も必ず獲ることになると予言しておきます。本当に面白い!
さて、飲み屋での愚痴から始まる今回のストーリーは、やたら自分や家族の「交通事故」を口実に仕事を休む、営業部のスチャラカ社員=馬垣さん(岡崎体育)が、自分のミスを誤魔化すべく1枚の請求書を隠蔽したが為に採算が合わなくなり、森若さんたち経理部が大変な修羅場に見舞われるという、これもまた「会社あるある」の1つなんだろうと思います。
馬垣さんみたいなヤツ、どこの会社にも1人はいるんじゃないでしょうか? 何年か前に、修学旅行のバスを間違えた日程で予約した担当教諭が、そのミスに気づきながら当日まで言い出せなかったせいで大変な騒ぎになった、みたいなニュースが報道されたのを思い出しました。
責められたり叱られたりする事から逃げてばかりいると、それが体質として染み付いてしまい、大人になって責任ある立場に就いても、こういうとんでもない事をやらかしちゃう。大なり小なり、身近にそんな困ったちゃんがいる、あるいは自分がやらかしちゃった方も多いんじゃないでしょうか?
仕事は出来なくもないのに、そんな逃げ癖のせいでトラブルを大きくしちゃう馬垣さん。一方、よくミスはするんだけど、それを正直にすぐ報告することで被害を最小限に抑えてる、経理部の佐々木さん(伊藤沙莉)。今回の騒ぎで両者の違いが浮き彫りになり、社会人として我々はどう振る舞うべきか、さりげなくこのドラマは教えてくれてます。
そして本エピソードのサブタイトルになってる「逃げる男」。当然それは問題児=馬垣さんのことを指すワケだけど、それだけじゃ済まさないところがこの作品の凄さです。
刑事コロンボ並みの洞察力と推理力を持つ森若さんは、馬垣さんを指導する立場にある営業部のエース=山崎さん(桐山 漣)が、馬垣さんの「やらかし」に気づいていながら放置していたことを見抜きます。
本来は商品開発がやりたかったのに、弁の立つキャラが災いして営業部に回された山崎さんは、トップの成績を上げながらも「やらされてる」感が根本にあり、自分の部署で起きてる問題をどこか他人事みたいに傍観してる。
今回の件でも、あえて放置したことで馬垣さんの逃げ癖が皆に知れ渡り、それなりの処分が下ったんだから結果オーライだと山崎さんは思ってる。
だけど森若さんは、問題を起こした馬垣さん本人よりむしろ、山崎さんを糾弾するんですよね。なぜなら、今回の騒動による社員たちの残業手当てなど合わせて約3万円の経費は、彼がすぐに馬垣さんを止めていれば生じなかった、会社の「損害」だからw
森若さんはいつものように、淡々と彼に言います。
「山崎さんは以前わたしに、馬垣さんのことを『逃げる男』だと言いました。でも、山崎さんも『逃げる男』です。馬垣さんより逃げるのがちょっと上手なだけの」
爽やかイケメンで仕事がデキて、当然女子にモテるし後輩には「神」扱いされ、上司にもチヤホヤされてる山崎さんに、こんなことを何の躊躇もなく言ってのけるのは、世界広しと言えど森若さんだけでしょうw
「営業部では、少しくらい損失を出してもまた挽回できるチャンスがあるのだと思います。でも、私たち経理部は、たった1円の間違いも許されない。誤魔化したり、逃げたり出来ません」
根は真面目な山崎さんが、この日を境に心を入れ替えたのは言うまでもありません。
そしてさらに! いつも経理部を目の敵にし、今回の騒動でも最初は「ざまぁ見ろ」とばかりに高みの見物をしてた営業部長(角田晃広)が、自分の部下の「やらかし」が発端だったことを知るや否や、すぐに「申し訳ない!」って、経理部の面々に深く頭を下げて見せた、その潔い姿勢にも私は感動しました。性格にはいろいろ問題がある人だけど、彼は「逃げない」からこそ部長なんですよね。
会社員として、そして大人として、本来あるべき姿勢、生き方。それを上から目線で説教するんじゃなく、笑わせながら、同時にハラハラもさせつつ教えてくれる、こんなに楽しい人生の教科書が他にあるでしょうか?
これから社会人になる若い世代よりも、むしろ彼らを指導する立場にある大人たちが刮目して観るべき作品だと、私は思います。大袈裟に言ってるんじゃなく、マジメな話です。
さて、次週は森若さんをも凌駕しそうな「鉄の女」キャラで、私の好きな女優さんの1人である平岩紙さんがご登場! こんなに次回が待ち遠しくて、毎回レビューしたくなる連ドラとは、なかなか出逢えるもんじゃありません。
セクシーショットは、今回一番の被害者だった営業部の中島さんを演じてる、松井愛莉さん。この人の台詞回しも一風変わってて、好きですw
「森若さんはどうして今のお仕事を?」「配属されたからです」「……俺もです」
おっしゃる通り、このやり取りも面白かったですね。でも、天職なんでしょうね。
話は変わりますが、マニアな足フェチサイトで多部ちゃんの足の裏がばっちり見えたという掲示板の書き込みがありました。もちろん私もしっかり録画して見ました(笑)