1977年の4月から11月まで、フジテレビ系列の月曜夜8時枠で全32話が放映されました。制作はフジテレビ&東宝。
あの頃「草刈正雄」と言えば二枚目の代名詞で、よく松田優作さんあたりに映画やドラマで「草刈正雄のどこがいいんだ」なんて、ひがみのネタに使われる程の存在でした。
そんな人気絶頂の草刈さんが満を持しての主演って事で、当時やはり人気絶頂だった日テレの刑事ドラマ『太陽にほえろ!』に対抗する本命馬として注目されてたのをよく憶えてます。
更に、当時はまだ「青大将」のイメージが強かった田中邦衛さんが相棒刑事としてダブル主演。どちらも連続ドラマでの刑事役は初めてだったかと思います。
ロス帰りのスーパーコップ=高村一平が草刈さんで、鹿児島から来たハミダシ刑事=南郷五郎が邦衛さん。この2人が同時に東京・南口署の刑事課に赴任する所からドラマはスタートします。
草刈さんが主演でタイトルが『華麗なる刑事』だと、『あぶない刑事』を先取りしたようなオシャレでスタイリッシュな世界観を想像しちゃうんだけど、実際は全然違いましたねw
草刈さんはどちらかと言えばコメディ志向の俳優さんで、格好つけるのが苦手なタイプらしく、照れ隠しにヘンな事ばかりする傾向があり、回を追う毎に悪ふざけが目立つようになります。
拳銃の扱い方なんか見ても、決して見映えの良い構え方はしない。格好良さよりもリアリティにこだわった感じで、あくまで見映え優先の舘ひろしさんや柴田恭兵さんとは真逆のアプローチなんです。
使用するのが当時「世界一強力なハンドガン」と謳われた44マグナムって事で、草刈さんは地面に両膝をつき、両手でゆっくり慎重に狙って1発だけ撃つ。少しでも危険があれば撃たずに諦めちゃう。全然カッコ良くないw
余談ですがあの頃は44マグナムが大人気で、アクション系ドラマの主人公はみんな使ってたような印象があります。『俺たちの勲章』の優作さんや『大都会 PART III』の寺尾聰さん、『爆走!ドーベルマン刑事』の黒沢年男さん、『警視庁殺人課』の菅原文太さん等も44マグナムを使ってました。あれは熊を撃つのに使う狩猟用の銃なんですけどw
で、かえって相方の田中邦衛さんの方が「華麗さ」を意識されてる節があり、銃さばきにしろ立ち回りにしろ結構スタイリッシュで、意外に……って言うと失礼だけどw、格好良くて画になってたりします。
刑事ドラマとしては正直、凡庸な出来だった印象だけど、とにかく主役2人が半端じゃないアクの強さを持ってるんで、独特な世界観が味わえます。
草刈さんも邦衛さんも、台詞を普通には絶対に言わない人ですからねw 草刈節、邦衛節とも言える独自の言い回しで、両者ともヘンに間を溜めるもんだからテンポが悪い事この上ないw
でも、そこが最大の見所で面白い部分だと私は思います。刑事ドラマとしてのクオリティーではやっぱ『太陽にほえろ!』に勝てないし、アクションの派手さじゃ石原プロ作品に適わない。本作はあくまで、華麗なる怪優2人による、チョー個性的な演技合戦を楽しむドラマだと私は思います。
その他キャストは、南口署刑事課の課長に佐野浅夫、同僚刑事に新 克利、加納 竜、婦警に沢たまき、壇ふみ、署長に有島一郎、隣接する北口署の署長に岸田森といった布陣。
また3クール目から『女囚さそり』シリーズや『修羅雪姫』等でタランティーノ監督も憧れたクールビューティー・梶芽衣子さんが、3人目の華麗なる刑事として終盤を盛り上げてくれました。
なお、草刈さん演じる高村一平は後年、『太陽にほえろ!』のスニーカー(山下真司)や『噂の刑事トミーとマツ』のトミー(国広富之)と並んで、平成の深夜ドラマ『ケータイ刑事』シリーズで復活を遂げる事になります。
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