しかし『ゾンビアス』最大の圧巻シーンは、護あさなさんがトイレでウンデッドに襲われる場面でしょう。
そこはトイレというより便所と呼んだ方がしっくり来る、古式ゆかしき汲み取り仕様の和式トイレで、私の幼少期はまだ一般家庭もそれがスタンダードでした。
便器の真ん中に大きく深い穴があり、その暗闇の中からバケモノが這い上がって来るシチュエーションを想像して、背筋に悪寒を走らせるのが日本の伝統みたいなもんでした。
たぶん排泄物ゾンビの映画を創ろうという発想は、そこから生まれたんじゃないかと思います。だとすれば、まさにこのシーンこそがメインイベントと言えましょう。
グラビアアイドル出身の護あさなさんは、演技初体験となる本作で、「脱ぎ」の予定は無かったにも関わらず「トイレで用を足すのに下着を下ろさないのは不自然だから」と、お尻ご開帳を自ら買って出られたんだそうです。素晴らしい!
後に『過激派オペラ』でも大胆ヌード&振りきった演技を披露される主役の中村有沙さんも、この『ゾンビアス』が初脱ぎ作品。NHK教育『天才てれびくん』シリーズでレギュラーを務められた子役出身の方で、自分の殻を破りたいとの思いからヌードもアクションも放屁も全身全霊で演じてくれてます。
そんな中村さんの覚悟がきっと、護さんはじめ共演者たちにも伝染したんでしょう。この映画は女優さんたちの演技から伝わって来る熱量がハンパなくて、究極にバカげた内容なのに不思議と感動しちゃうんですよね。
逆に護さんや菅野麻由さんの熱演、あるいは奥村優希さんの堂々たる悪役ぶり等が中村さんに刺激を与える相乗効果もあっただろうし、そういうキャストを集めた時点でこの映画は成功を約束されたようなもんだと思います。
とはいえ、なにしろ内容が徹底的に下品ですからw、その熱量に見合った評価はなかなか得られないかも知れません。そこがもどかしいし、ちょっと切ないですね。彼女たちの頑張りがもっと報われて欲しい!
グロが苦手にも関わらず、私は本作のDVDを買ってしまいそうです。それだけの価値が、彼女たちの演技には絶対あると思うから。
いたのが残念でした。
お尻の穴まで隠してたはずです。