ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「七曲署捜査一係'77~'78」

2020-03-22 12:00:12 | 刑事ドラマ'70年代








 

6年目に突入した『太陽にほえろ!』は#256から2年間、レギュラー刑事の入れ替えが無い安定期が続きます。その犠牲となって (?) アッコが卒業する#322までの藤堂チーム=七曲署捜査第一係のメンバーは、以下の通り。

☆☆☆☆☆


ボ ス=藤堂俊介(石原裕次郎)


ボ ン=田口 良(宮内 淳)

ロッキー=岩城 創(木之元 亮)


ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)

殿 下=島 公之(小野寺 昭)

長さん=野崎太郎(下川辰平)

アッコ=矢島明子(木村理恵)


山さん=山村精一(露口 茂)


☆☆☆☆☆

新登場のロッキーには「ヒゲ」という見た目の特徴があるものの、キャラクター的にはワイルド系、つまり「第2のジーパン刑事」になることを期待されてたように思います。

全身ジーンズの衣裳もさることながら、初出勤時に押し引きを間違えてドアを破壊しちゃう怪力と天然ぶりは如何にもジーパンっぽいし、何より拳銃を忌み嫌うキャラクターがよく似てます。

ただしロッキーの場合は(かつて撃たれて)拳銃が怖いから嫌いだというw、安易なのかヒネり過ぎたのかよく判んない設定で、いずれにせよ初っぱなから「ヘタレ」で「見かけ倒し」なイメージを我々視聴者に植え付け、『太陽~』の新人刑事で初の「人気が出ない人」になっちゃいました。

そもそも温厚なお人柄の木之元亮さんにワイルド系は無理があっただろうし、敵の人質にされて仲間の足を引っ張るような役回りばかり演じさせた、スタッフ側にも責任はあるでしょう。

それでも視聴率が落ちなかったのは番組のブランド力と、先輩刑事たちがコツコツと集めて来た固定ファン、そして私みたいに『太陽~』無しじゃ生きていけないカラダにされてしまった中毒患者(そういう人は例え番組がつまらなくなっても観続けてしまう)が無数にいたから。そこが長寿番組の強みで、現在『相棒』や『ドクターX』がマンネリを極めながら高視聴率をキープしてるのも、たぶん同じ理由かと思います。

それと、贔屓目が過ぎるのを承知で言わせてもらうと、ムードメーカー・ボン=宮内淳さんによる功績もホントに大きかった。

こうして振り返ると、ロッキーの先輩になって以降のボンは、マカロニのやんちゃさ、ジーパンのワイルドさ、テキサスの従順さ、スコッチのクールさ、それら全てを兼ね備えてたような気がします。

つまりその時その時の状況や立場によって、キャラクターを微妙に変化させられる、器用さと柔軟さがボンにはあった。だからスコッチが抜けてもロッキーがジーパンになり損ねても、ボンがいることでバランスを保つことが出来た。

融通の利かないロッキーや後任のスニーカー(山下真司)には到底できないことで、だからボンがいなくなって救世主のドック(神田正輝)が登場するまでの間、『太陽~』は危うく沈みかけたワケです。贔屓目であろうが無かろうが関係なく、これは的を得てるんじゃないでしょうか?

つくづく、岡田プロデューサーや小川英さんは、ボンを過小評価しすぎてたと思います。マカロニとジーパンが凄いことはもうみんな知ってますから、たまにはボンのことも語って頂きたいもんです。

なお、七曲署交通課婦警の早瀬令子(長谷直美)がセミレギュラーキャストに加わるのもこの年(#275)から。後にロッキーの妻となり、マミー刑事として藤堂チーム入りする重要な女性キャラです。
 

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「七曲署捜査一係'76~'77」

2020-03-22 00:00:06 | 刑事ドラマ'70年代










 
1976年秋、老若男女に愛されたテキサス(勝野 洋)が壮絶な殉職を遂げ、その後釜として配属された刑事は彼とまったく正反対の男でした。『太陽にほえろ!』5年目のシーズン(#217~#255)における藤堂チーム=七曲署捜査第一係のメンバーは、以下の通り。

☆☆☆☆☆


ボ ス=藤堂俊介(石原裕次郎)


スコッチ=滝 隆一(沖 雅也)

ボ ン=田口 良(宮内 淳)


ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)

殿 下=島 公之(小野寺 昭)

長さん=野崎太郎(下川辰平)

アッコ=矢島明子(木村理恵)


山さん=山村精一(露口 茂)


☆☆☆☆☆

視聴率レースのトップを走る「国民的」人気番組となった『太陽~』は、社会的影響を考慮して内容をより健全化せざるを得ず、それを象徴するのがテキサスという爽やか一直線の優等生キャラでした。

また4年間も苦楽を共にして来たレギュラー俳優陣のチームワークも鉄壁で、七曲署捜査第一係室はもはや職場というよりお茶の間の様相を呈してました。

それは観てて心地好いもんだけど、ドラマとしては刺激が足らず面白くない。いずれ視聴者に飽きられてしまうだろうと危惧した制作陣は、ここで一匹狼のスコッチという爆弾を投入するワケです。

藤堂チームが推奨する「愛と信頼」を真っ向から否定し、テキサスが死んだのは「あんた達のせいだ」とまで言ってのけたスコッチは、みごとに波乱を巻き起こして番組を活性化させ、マンネリから救ってくれました。

その役になり切った沖雅也さんの演技もパーフェクトで、なおかつ誰よりも美しい容姿とシャープなアクションで番組のクオリティーそのものを数段アップさせ、これまで「子供だましの刑事ドラマ」とバカにしてたインテリ層をも唸らせてくれました。

まさに『太陽にほえろ!』絶頂期の到来。やんちゃ坊主のマカロニ、ワイルド系のジーパン、模範生のテキサス、現代っ子のボン、そして一匹狼のスコッチと、実に見事な新陳代謝の軌跡。

ちょっと冷めた言い方をすれば、これで使える手は全て使い切っちゃった。後から出てくる新人刑事たちは、前述の5人いずれかのバリエーションに過ぎず、スコッチ登場時のインパクトを超えることは最後までありませんでした。違う意味でマイコン(石原良純)だけは衝撃的だけどw

すでに売れっ子だった沖さんは最初から半年限定の出演契約で、スコッチが過去のトラウマを克服して本来の優しさを取り戻していく再生のドラマを演じきり、#244をもって転勤という形で降板。

それから後任のロッキー(木之元 亮)が登場する#256まで約3ヶ月のブランクがあり、ボンが1人で新人刑事枠を担う唯一のクールとなりました。
 

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「七曲署捜査一係'75~'76」

2020-03-21 00:00:10 | 刑事ドラマ'70年代









 
若者たちのカリスマだったマカロニやジーパンとはまた違う、お茶の間からの支持で絶大な人気を集めたテキサスは殉職がひとまず回避され、もう1年活躍することになりました。

『太陽にほえろ!』4年目のシーズン(#168~#216)における藤堂チーム=七曲署捜査第一係のメンバーは、以下の通り。

☆☆☆☆☆


ボ ス=藤堂俊介(石原裕次郎)


テキサス=三上 順(勝野 洋)

ボ ン=田口 良(宮内 淳)


ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)

殿 下=島 公之(小野寺 昭)

長さん=野崎太郎(下川辰平)

アッコ=矢島明子(木村理恵)


山さん=山村精一(露口 茂)


☆☆☆☆☆

まずは「剛」のテキサスとの組み合わせから生まれた「柔」のキャラクター、ボンが城南署より転入。1年目は頼りなさばかりが強調され、あくまで「テキサスの引き立て役」でしかなかったボンも、4年という長い任期の中で成長を遂げ、番組の絶頂期を支える存在にまでなっていきます。

そして#173から登場する、3代目マスコットガールのアッコ。岡田晋吉プロデューサーの回顧によると、大竹しのぶさんか木村理恵さんかの二者択一で、悩んだ末に木村さんを選んだとのこと。理由は、大竹さんより美人だからw

当時はまだ大竹さんも無名の新人でしたから、もし選ばれたら喜んで引き受けたでしょうけど、アッコみたいに長く(3年間)勤めることは無かっただろうと思います。なにせ天才女優ですからマスコットガールに収まる器じゃない。

そう書くと木村理恵さんに対して失礼になっちゃうけど、これは女優としての力量よりも向き不向きの問題。木村さん以外にあのポジションを完璧にこなせる女優さんは、なかなかいなかった筈です。

かくして、ムードメーカーのボンと可憐なアッコが加わったお陰で、藤堂チームはぐっと明るく華やかになりました。本当に良かった!

いくらドラマとして良く出来てても、やっぱり華が無いと私は観る気になれません。まだ子供だった当時は別のところ(単純にカッコ良さやアクションの迫力)に惹かれてたように思うけど、今となってはオッサン6人だけの捜査一係は、ちょっとキツイですw
 

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「七曲署捜査一係'74~'75」

2020-03-20 00:00:24 | 刑事ドラマ'70年代










 
ジーパン(松田優作)が殉職し、シンコ(関根恵子)が退職して3代目新人刑事を迎えることになった藤堂チーム=七曲署捜査第一係3年目(#112~#167)のメンバーは、以下の通り。

☆☆☆☆☆


ボス=藤堂俊介(石原裕次郎)


テキサス=三上 順(勝野 洋)


ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)

殿 下=島 公之(小野寺 昭)

長さん=野崎太郎(下川辰平)

チャコ=長山久子(浅野ゆう子)


山さん=山村精一(露口 茂)


☆☆☆☆☆

正確には、チャコ=浅野ゆう子さんは#118~#130、僅か1クールのみのご出演。#115あたりまでは前任のクミ=青木英美さんが残っておられました。

青木さんはモデルの仕事に本腰を入れるべく、テキサスの登場を見届けてフランスへと旅立たれました。制作側は引き留めたかったのに、裕次郎さんが「行っちゃえ」ってけしかけたんだそうですw

で、ピンチヒッター的に急遽キャスティングされ、あっという間に姿を消すことになるのが、当時アイドル歌手としてデビューされたばかりの浅野ゆう子さん。

まだ14歳という若さで「そんな子供が警察署で働くのはおかしい」とのクレームにより……っていう降板理由はもちろん建前で、実際は女性視聴者たちから凄まじいバッシングを食らい、その攻撃から彼女を守る為やむなく降りて頂いた、っていうのが真相らしいです。

長身で衣裳も基本ミニスカートで、華やかすぎるチャコは確かに目立ってました。刑事たちの後方で机を拭いてるだけでも眼を引いちゃう。それに加え、あの若さでベテラン刑事相手にタメグチですからw、反感を買うのも無理なかったかも知れません。

そんなワケで#131以降、ボン(宮内 淳)そしてアッコ(木村理恵)が加入する'75年秋までの3クール、七曲署捜査一係はオッサンばかり6人という、何ともむさ苦しい職場になっちゃいました。

しかも新登場したテキサス刑事=勝野洋さんは、前任の優作さんやショーケンさんと比べてお世話にもカリスマ性があるとは言えず、これは番組史上最も地味なメンバー構成と言わざるを得ません。

だから視聴率は下がっていくのかと思いきや、これが意外にも逆でした。ジーパン期に先輩刑事たちをフィーチャーしておいたお陰でそれぞれにファンが付き、最初は華も実力も無かった勝野さんがみるみる成長していく姿もまた共感を呼び、数字は下がるどころか右肩上がりに上昇。いよいよ『太陽にほえろ!』というタイトルがブランド化し、TVドラマ界を牽引する「国民的人気番組」あるいは「お化け番組」とも呼ばれるようになりました。

そしてボスはますます超人化し、山さんには刑事コロンボが憑依し、ゴリさん、長さん、殿下のキャラクターも掘り下げられ、脚本家チームの充実もあって名作が次々と生まれて行きます。

柔道の段を持つテキサスの豪快アクションも大きな見所で、マカロニやジーパンとは異なる従順なキャラクターと相まって、番組に体育会系の匂いがプンプンするようにもなりましたw これぞまさに「ワンチーム」!

そう、テキサス時代は『太陽~』の歴史上、最も熱くて、最も暑苦しかったシーズンw だからこそ大衆のハートを掴んだワケだけど、私はちょっと苦手かも知れませんw
 

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「七曲署捜査一係'73~'74」

2020-03-19 00:00:19 | 刑事ドラマ'70年代










 
マカロニ(萩原健一)の衝撃的な「殉職」を経てスタートした『太陽にほえろ!』2年目のシーズン(#053~#111)における藤堂チーム=七曲署捜査第一係のメンバーは、以下の通り。

☆☆☆☆☆


ボス=藤堂俊介(石原裕次郎)


ジーパン=柴田 純(松田優作)


シンコ=内田伸子(関根恵子/高橋惠子)

ゴリさん=石塚 誠(竜 雷太)

殿 下=島 公之(小野寺 昭)

長さん=野崎太郎(下川辰平)

ク ミ=永井久美(青木英美)


山さん=山村精一(露口 茂)


☆☆☆☆☆

基本は「萩原健一ショー」だった1年目のスタイルを引き継ぎ、当時はまだ無名の新人だった松田優作さんを大々的にフィーチャーしつつ、その実力や人気の不足をカバーすべく先輩刑事たちの活躍も同等に描くようになり、集団刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のフォーマットがこのシーズンで確立されていきます。

だけど皆さんご存知のとおり、先輩たちがカバーするまでもなく優作さんはこのジーパン刑事役で大ブレイク、昭和のカリスマを代表するスターに化けていきます。

当初は日陰の存在だった殿下=小野寺昭さん等も女性人気を集めるようになったけど、世間の話題はもっぱら「ジーパン刑事」に集中、この2年目はやはり「松田優作ショー」のシーズンだったと言えましょう。ここで視聴率がいよいよ30%を超え、番組そのものも不動の人気を誇るようになりました。まさに飛躍の年。

そして番組後期まで度々登場されるセミレギュラーのお二人、ジーパンのお母さん=柴田たき(菅井きん)と七曲署2代目署長=西山警視(平田昭彦)の登場も大きなトピック。

事なかれ主義の鼻持ちならないエリート、っていうのが歴代署長の基本キャラなんだけど、署長室でふんぞり返ってたイメージしかない先代(南原宏治)と違って、西山警視は事あるごとに「これは一体どういう事だね藤堂くん!」ってw、一係室までマメに足を運んではガミガミ言う、ある意味熱心な署長でした。悪役顔だった先代よりもハンサムだしw、なにげにマダムたちの人気者だったかも知れません。

そして何より、ジーパン刑事と同時に登場したマスコットガール第1号=庶務係のクミちゃんこと永井久美(青木英美)の存在は大きかった。

映画出演で忙しく欠場が増えた関根恵子さんの穴埋め、っていうのが本来の役割だったと思うんだけど、生真面目なシンコとは対照的な天真爛漫キャラで刑事部屋のムードメーカーとなり、番組を明るくしてくれたクミちゃんの功績は大きいと思います。

シンコが出場する回は女性キャラが2人で、そりゃもう眩しいくらいに華やかでした。後年、マミー刑事(長谷直美)登場後はマスコットガールの枠が廃止されちゃうんだけど、個人的には女性2人体制を復活させて欲しかった。シンコとクミちゃんみたいにキャラが違えば、役割が被ることも無いんだから。

そういう意味でも2年目の『太陽にほえろ!』は特に輝いてます。まさに黄金期!
 

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