古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『独ソ戦』を読んでいます。

2022年01月18日 22時22分53秒 | 古希からの田舎暮らし
 大木毅・著『独ソ戦』(絶滅戦争の惨禍)=岩波新書という本を読みはじめました。(図書館で借りて)この本は2019年7月19日に第1刷が出て、一か月後の8月29日には第5刷になっています。一カ月の間に5刷にもなってる。地味な本なのに。
 独ソ戦は1941~1945年の、80年もむかしの戦争です。しかも、遠い、よその国の戦争です。それなのに、いまの日本で、なぜこんなに読まれるのか。
 まだ読みはじめたところですが、日本との比較で、思うことがあります。
 
 ソ連とドイツは「不可侵条約」をむすんでいました。「この条約があれば安心」と思うような、のん気な外交官はいないでしょう。ヒットラーは「共産主義は許せない。ソ連を攻め滅ぼす」と考えていました。さて、ドイツが敗けて戦争が終わり、ドイツの戦争責任が問われたとき、ドイツの高級将校たちは「ヒットラーの命令で、仕方なくやったんだ」と口をそろえて弁解しました。
 実は、ドイツの高級将校たちは、ヒットラーが言い出す前からソ連戦を考え、作戦を練っていました。負けたとき「ヒットラーの命令で、やむをえず …… 」言い出したのです。
 日本でも同じようなことはなかったか。高級将校たちは、配属将校たちは、えらそうにした在郷軍人たちは、特高警察は、どう弁解したのか。ほんとに「上官の命令で仕方なく …… 」だったのか。自分は心の中で抵抗/反対していたのか。

 アルベルト・シュペーアというナチス・ドイツの軍需大臣がいました。彼はヒットラーお気に入りの建築士でした。戦後の裁判で、「ナチスの犯罪にかかわりは少ない」ということで、死刑でなく、刑期20年になりました。
 刑期を終えて出てくると、暴露本を書きました。ぼくは、シュペーアの『狂気の内幕』という本を入手して読みました。「ああ、シュペーアはあのナチスの犯罪的ユダヤ人虐殺にかかわっていなかったんだ」と思いました。彼は欧米で人気が出て、講演したり本を書いたりして、世間から賞賛されて、生涯を終えました。いまシュペーアはナチスの犯罪者の一人と見なされています。巧妙に自己弁護していたのです。同じように、口をぬぐって生涯を終えた日本の将官もいます。

 戦争の当事者の体験談には、そんな弁解、自己弁護が入る。歴史家の眼でそれを見抜いて、評価する時代になりました。
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