くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

骨太単独行 哀愁の奥多摩その3

2004-10-13 01:28:50 | 連載もの 骨太単独行
 明け方に目を覚ましたときにも激しい雨音が聞こえていた。本日の登山は中止と判断、そのまま惰眠をむさぼった。ネコのように短い眠りを紡いでようやく起きたのはもう11時だった。水の補給をしなければならぬ。ここには水場がないのだ。
 水筒をぶらさげ傘を差して山を下りていく。奥多摩の町は雨と霧に包まれていた。
okutama250
まさに奥多摩といった風景 典型的な山間の風景でもある

 正午前に駅前の定食屋に入った。蕎麦、うどん、ラーメンからカレー、ハンバーグ、寿司まで出すグローバルな店だ。汚れた格好で恐縮しながらカツ丼を注文。ちょうど昼時だったが客は少ない。
 トイレを終えてついでに水を補給。席に戻ると従業員一同が客席に座ってNHKを観ていた。カツ丼はもう出されている。ここでは昼には従業員もきちんと休憩時間なのである。実に正しい労働体制ではないか。
 思いのほかボリュームも味も良かったカツ丼を食い終え、外に出た。満たされた水筒が重い。荷物を減らすためにデイパックまで割愛したのだ。久しぶりのことでいろいろと失敗があるようだ。
 小一時間山登りをしてキャンプに戻り、テントの向きを90度変えた。夕べは横に傾斜があって寝にくかった。頭が傾斜の上方にくるようにする。
 雨は止む気配がないが、ともかく準備だけはしておかねばならない。プラスティックの瓶にミックスナッツを詰めて行動食を作る。中身はかぼちゃの種、カシューナッツ、アーモンドだ。ビーフジャーキーは直接ポケットに入れたらいいだろう。
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 夜、友人より電話あり。あの巨大な雨雲はいまだに関東上空に停滞しており、さらに九州からは新たな前線が接近中とのこと(10/4時点)。なんてこったい。しかしケータイの通じる登山とはいったい何だろうか。
 コーヒーを飲みながら原稿を書き、あとはひたすら読書。時折得体の知れない鳴き声がする。雨のキャンプも実にいい気分である。
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 今回は完全にドライ・トレール。即ちアルコールなしだ。酒を断って精神修行といえばカッコいいのだが、これも重量をいくらかでも減らすためだ。なんとなれば夜はあまりにもヒマである。文作と読書が進む進む。持ってきた文庫本は全て読み終わってしまった。さて、明日はどうなる?

つづく
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