アブラゼミの交尾を撮ったのは初めてです。セミを撮るのはそう多くはないだけに,早々とこんな幸運に恵まれたことがふしぎなほどです。
昼過ぎのことでした。二匹のセミが左右に重なるようにしているので,交尾と直感。このままでは雌雄の判別はわたしにはできません。
これを虫の目で覗いてみました。近くの長椅子を持って来て,その上に乗って撮りました。椅子があったことに感謝。
池のすぐ傍。
ビックリさせないように最大限にレンズを近づけました。このあと,自然な流れで二匹は左右に離れて行きました。
偶然とはいえ,観察の宝となりました。
日頃から自然の事実を記載にするのに気負いは無縁だと感じています。身近な自然,我が家の庭,そんなところに宝がいっぱい。それらをこころを澄まして観察し記録するのみ。寺田寅彦が残している次のことばがきらっと光ります。「吾々は心を空虚にして,その自然の物語に耳を傾け,忠実なる記録を作ればよい」(「手首の問題」より)。事実に触れることをたのしむ,そんな好奇心がわたしの変わらぬエネルギーです。