自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

探検活動“ソーラーバルーンをあげよう”リクエスト版

2016-03-31 | 随想

前回の探検活動が終わったあと,1人のお母さんから「行けなかったので,なんとかもう一度やっていただけないか」との連絡が入りました。前回はたったの3人が参加しただけなので,わたしも心残りでした。それで,「やりましょう」と一言返事。

そして,せっかくなので他の子どもたちにも伝えるほうがもっとよいだろうと判断。連絡網で趣旨を伝えた結果,集まったのが16人。その日は今日(3月31日),時刻は午前9時30分。朝,隣りの学校に連絡して庭を使わせていただくことに。

探検隊としての活動は今日が完全に最後。子どもたちの積極的な動きを期待し,わたしは助言に徹することに。はじめに小型のバルーンで試しました。なんとかあがりかけました。たぶん日差しが弱いので,バルーン中の空気がゆっくりとしか暖まらないためでしょう。


ひとまず,これでなんとかいける感触を得たあと,いよいよ大きなバルーンで挑戦です。

バルーンの口を風上に向けて,ゆっくり走るようにして空気を詰めていきます。1回では十分には入らないので,さらに入れます。2回でも入らないので,再び。そんなふうにして容積の8割程度まで空気を入れました。そのうえで,口をくくって,あがり方を見守ります。

数分して,あがりかけました。拍手が起こります。「あがった,あがった!」と声が挙がります。


ほんとうに高くあがっていきました。急にあがって,3階建て校舎の屋上にまで達して,姿が消えかけました。想定外! テープを持っている子に,大急ぎで移動を指示。しかしそのとき一瞬にしてテープが切れ,バルーンは完全に視界から消えていきました。たぶん,テープが屋上の縁でこすれて切れたと思われます。

みんな大慌て。バルーンの消えた方向に走っていくと,空高く舞い上がるバルーンが目に飛び込んできたのです。


「これはたいへんだ!」。そう思っても,どうすることもできません。どんどんあがって,小さくなっていきます。小さくなっても,テトラポット型のきれいな姿がよく見えます。見えても,ただただじっと見守るしかありません。


とんだハプニングが起こりました。わたしたちにはこれ以上どうすることもできません。どこかで,きっと迷惑をおかけすることをお詫びするしかありません。この大失敗からいえるのは,大きなバルーンを上げる際は「軽くて,丈夫な紐を使え」という教訓です。こんなわけで,締めくくりの活動としてはけっして忘れることのできない出来事になりました。

以下は,このあと書いてもらった感想から。

  • ビックリだ さいごのさいごに ハプニング
  • さいごまで おどろきがある ハプニング
  • バルーンを あまくみては いけないよ
  • バルーンが そらたかくあがった おりてこい
  • 黒バルーン 探検隊の 夢をのせ
  • 作ったバルーン 空飛んだ!! こんなドキドキ ひさしぶり!!

さらに,これまでのまとめ。「この探検隊ついて,だれかに一言で紹介するとすれば……」。

  • たんけんたいは,たのしくしぜんがまなべるかつどうだよ。
  • 1時間で,学校では学べないこと(特に自然のこと)が学べるところだよ。
  • がけのぼりとか,ターザンごっこをしたりして,めっちゃ楽しいで~。
  • たんけんたいでは,食べものまで作ったりできるんだよ。
  • 学校とはちがう学びとあそびの場!!
  • 自然を科学する体験時間。 

 


クロヒラタアブ,3月の卵(1)

2016-03-31 | ヒラタアブ

3月30日(水)。晴れ。我が家の屋外紙漉き場において。

コンクリートの隙間から伸びたホトケノザに。クロヒラタアブが1匹しきりに関心をもったように接近。見ていると,どうも産卵行動の様子。アブラムシの気配を感じたのでしょう。すぐにその場を去ったので行動を見届けることはできなかったので,しばらくしてから卵の有無を確認しました。 


やっぱり! 真っ白な卵が一粒,ポツン。さらにすぐその隣りに幼虫が1匹。驚きの場面です。アリが3匹,盛んに甘み成分を物色する姿がありました。 


さらにアップ気味に撮りました。確かにクロヒラタアブの卵です。幼虫もクロヒラタアブです。 


ここでも,じつにタイミングのよい出合いができました。運がついている感じ! 孵化を見たいなあと思いますが,さて,今回はこの夢が叶うでしょうか。  

 


探検活動“ソーラーバルーンをあげよう”

2016-03-30 | 随想

3月26日(土)。晴れ! この日が探検活動の最終日。前回の終了時,「ソーラーバルーンがうまくあがるように,テルテル坊主をつくってね」といっておいたら,ばっちりこの天気。ところが,参加者が体調不良やら都合がつかなくなったとやらで,たったの3人。3人はもちろん,テルテル坊主をつくっていました。これまでの活動が盛り上がったゆえに,この人数は寂しい限り。とてもとても残念なかたちの最終回になりましたが,マアしかたありません。

風がすこしあったので気になったものの,とにかくやることに。

まず,小さなバルーンで試しました。


しばらくするとあがりました。それでも,「スゴイ!」という感じではありません。風の影響を受けているからでしょうか。と思っていると,なんだかバルーンがすぼんでいくような。そのうちに子どもたちが穴を見つけました。ほんとうに穴が10cmほどの穴があいていたのです。それでセロテープでふさぎました。

今度は,それを隣接地にある学校の庭であげることに。風があたらない空間なので,好条件のところです。しばらくすると,バルーンがぱんぱんに膨らみ,空気が膨張したことがはっきりわかりました。もちろんばっちりあがりました。


さあ,次はいよいよ大型の手製バルーンで挑戦。昨夏,この活動でみんながつくったバルーンなのです。

扇風機で空気を入れかけると,風でバルーンがあおられる感じになりました。力で引っ張られそうといったらいいか。


おまけに,これにも穴が開いていることが判明。大きなものでは20cmくらいの裂け目。小さなものでは4,5cm。それらがいくつかありました。それで急きょ,あげる場所を変更。隣接している学校の庭をお借りすることにしました。

ここは校舎と体育館とで囲まれた,ほぼ風が当たらない好条件のところ。「さああげよう」と思ったら,またも,制作時にセロテープでとめていた箇所が長さ50cm以上にわたって裂けているのが判明。がっかり。これを補修するのに手間取りました。

それが済むと,空気を入れます。今度は扇風機を使えないので,弱い風を利用して空気を入れていきました。空気口を2人で広げて持ち,すこし走る気持ちで膨らませるのです。こうしてうまくバルーンが膨らんでいきました。おしまいは入口をふさぎ,平ビニルテープで縛って放つだけ。

「さあ,どうなるかな」「あがって!」。期待感をもって見つめます。1分ほど待ちました。浮かびかけました。ふわっと,静かに,というふうです。「やったー! 浮かんだぞ!」。声を上げ,拍手。ほんとうに浮かんだのです。


しばらくすると,どんどんあがっていきました。


さらに,わたしが気づかないうちに,体育館の屋根にまであがって姿が見えなくなったのです。それは危ないので,すぐに引き戻し,ヤレヤレ,ほっ。子どもたちは「校舎の屋根まで届くかな。あげたいな」といいました。そうすると,そのとおりに。そこは体育館の屋根と同じ高さです。こどもたちはさらにいいました。「先生に見せてあげたいな」と。

この日の活動は太陽の力,空気というものを,体感的に知る大科学実験といった趣がありました。この探検には理屈は不要。とにかくからだでチャレンジ,です。

3人の子どもの感想は……。

  • バルーンあげ いっぱいとんで たのしいな
  • バルーンあげ きょだいすぎて こまったよ
  • バルーンあげ 根気とかくご 知りました

「友だちにこの探検活動を誘うとしたら,どんなふうにいうかな。うんと短いことばで一言!」。一年の締めくくりとして,書いてもらうと……。

  • 探検隊は学校で学べないことが学べるよ!
  • たんけんたいはターザンごっこがいいよ!
  • 探検隊は古いこと,むずかしいこと,学校では知れないことも,小さな子から大きな子まで楽しみながら学べるからいいよ! 

これにて探検隊活動,完!

 


意外なところにクロアゲハの蛹が

2016-03-30 | クロアゲハ

春を迎え,温室内の除草・整理をしておこうと思い,作業中のときのこと。鉢に植えたクンシランの葉先が霜害で枯れているので,その部分を取り除いていました。

そのうちの1つの鉢で,葉裏にクロアゲハの蛹が1つあるのを発見。その個所には吐糸が葉の表面にどっさり付いていて,帯糸が葉から外れないように頑丈に作業をした様子が窺えます。 

 
ふしぎでもあり,驚いたのは,この場所に幼虫がやって来て蛹化したという事実です。ここは室内です。つまり,周りはガラス張りで,出入り口だけが日によっては開閉されているというところです。その出入り口の外側およそ5m離れたところにレモンとキンカンの小木があります。この木にいた幼虫が遥かここまで歩いてきたとしか考えられません。谷を越え,山を越え,という長旅だったと想像できます。

植木鉢は地面から50cmの高さに置いたコンクリート台に並べています。台の支えはコンクリートブロックで,橋げたのようにして置いているのです。そこを登って,ここにたどり着いたのでしょう。

それに,スゴイことがあります。同じ鉢で別の蛹をもう1つ見つけたのです。指が触れて落下してしまいましたが,同じように葉裏に付いていました。その蛹は外敵に襲われていたようで,中で宿ったいのちが出ていったと思われる穴がぽっかり開いていました。


長旅をして,偶然同じ場所で蛹化していたという事実は,わたしには,小さくてもでっかい驚異です。 

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(9)

2016-03-29 | ジャガイモ

3月28日(月)。子葉が林立状態。過密気味です。それで,適当に間引いていきました。


そのうちに発見したのが子葉が3枚の芽生えです。


ジャガイモは双子葉植物なので,子葉は双葉,つまり2枚が当たり前。ところがこれは3枚。したがって,「双葉が出て来た」とはいいにく感じがします。「子葉が出て来た」という方がよりふさわしいかもしれません。

子葉3枚の例は,これを入れて3本見つかりました。


これまでに双子葉植物で3枚葉の子葉を見たことがあるのは草本ではハクサイやダイコン,アサガオ,木本ではモミジです。注意していれば,確率としては意外とありそうです。

それでふと思うのは,これらの例で本葉は何枚出てくるか,です。双子葉植物は子葉・本葉とも2が基本数です。では,子葉3枚の場合は本葉3枚?

ふつうで考えれば3枚が正解のように思います。これまでの観察事実からもそう予想できます。もしそうなら,これらの例では体内の遺伝子情報が3を基本数として組み立てられていることになります。この芽生えをさかのぼればホッカイコガネから採れた種子に行き着きますが,種子に詰め込まれた遺伝子情報はホッカイコガネの“元祖”遺伝子のそれとはわずかに異なっているという真相が見えてきます。

本葉の枚数が確かめられる日をたのしみに待つことにします。

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(8)

2016-03-28 | ジャガイモ

3月27日(日)。 もう本葉がちらっと見えかけました。よくよく目を凝らせば,双葉の間にぽつんと膨らみが! 


たとえば,そのうちの1つをようく観察してみると……。幼いいのちの発生が,そこにはあります。


別の芽生えを横から見ると,もうすこし伸びているものがあります。 


もっと伸びているものだって。目に付かないところで,すくすく育っていたのです。


昨秋結実した実から取り出した種子を蒔いていました。その種子がいくつか発芽。秋にできた種子が越冬してすぐ芽を出したのです。まるで休む暇もないほどの生長サイクルぶりです。大きな生物的事実が確認できました。 


観察の世界には日々変化があります。変化はいつも刺激的です。 

 


ギフチョウの季節

2016-03-27 | 昆虫

春のほんのひととき成虫で現れ,他の期間は卵・幼虫・蛹で過ごすチョウにギフチョウがいます。その現れ方があまりにも印象的であり,刺激的でもあるため“春の使者”“春の女神”などと呼ぶ人もあります。なかには,“春の妖精”なんていう呼び方もあるほどです。そのギフチョウに久しぶりに合ってきました。ただし,自然界でなく人工飼育舎での出合いです。もし,自然林でカタクリの花でも吸蜜している場面だったら,これはもうスゴイ話なのですが。

場所は公園で,知人が個人的に人工飼育によって増殖させる努力を続けながら,この飼育舎に放って一般公開しているというものです。まことに地味な取組なのですが,頭が下がります。

舎内にはたくさんの蛹が置かれ,次々と羽化した成虫たちが乱舞していました。成虫は全部で100頭ぐらいはいると思われました。中に入ってそれを見るのですから,なんと身近な観察でしょうか。でも,やっぱり人工飼育の個体たちを観察するのですから,複雑な思いがします。こうなるに至った元をたどれば,当然,人手による自然の乱開発に行き着きます。今はその森林は荒れ放題です。人の身勝手さがなんともお見事なばかり。

それはともかく,たくさんの個体数がいるだけに,いろんな風景が見られます。吸蜜する個体。


求愛する個体。これは画像なし。

交尾する個体。地面や,地面近くでペアリングしているので,カメラは地面に置いて写真に収めるといった感じになります。


産卵場所になるカンアオイも植え付けてありましたが,まだ産卵はしていないようでした。よく見れば花が1つ。できれば,再び訪れて産卵の光景や産付卵を撮りたいと思っています。


弱々しく飛翔するか,金網につかまっているか,蜜を吸っているか,地面で休んでいるか,そんな行動ぶりです。観察しやすいのですが,足で踏まないように気を付けなくてはなりません。「こんな頼りない生活を細々としているのか」「他の昆虫がまだ出て来ていないときに,さっさと世代交代を果たして種を維持しているとはスゴイ!」と感じ入る風景でした。サクラの花もスゴイのですが,ギフチョウの姿も上品でスゴイ,スゴイ。 

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(7)

2016-03-27 | ジャガイモ

3月25日(金)。順調な生育ぶりです。日ごとに大きくなっているのがわかります。連結ポットの種子は,土を押しのけて一斉に地表へ。

 

定点撮影をしている芽生えたちも,こんなに大きくなってきました。

 


子葉を真上から写してみると,また趣きがちがって見えます。


子葉の付け根では,本葉の出る準備が進んでいることでしょう。 

 


ジャガイモの実生栽培,今年も(6)

2016-03-26 | ジャガイモ

3月23日(水)。どんどん発芽しています。発芽率は80%に達しているはず。この分だと密生するでしょう。


土に埋もれた種子は土を押しのけるように頭を覗かせます。すばやく葉緑体を準備して自立を急ぎます。


なかよく林立した芽は相変わらずなかよし。


子葉が開いている葉もたくさん。なかには種皮が名残り惜しそうに付いたままのものも。

 


間もなく本葉が見え始めるでしょう。 

これだけ芽生えると,もちろん世話などできません。ある程度成長したら希望者にお分けしようかなと思っています。郵送は無理でも手渡せる範囲なら簡単ですから。 

 


ウリキンウワバの蛹

2016-03-26 | 昆虫

一年前のこと。ホトケノザの葉の裏側で小さな卵を発見したのが事の始まりで,それが孵化して成虫になるまでを追跡観察しました。その蛹を,このほど空き地のホトケノザで見かけました。蛹を守っている繭が破れ,中から蛹が現れていました。そのかたち,ツヤからははっきりとウリキンウワバであることがわかりました。


昨春の羽化が3月20日過ぎだったので,それから考えると羽化間近とみていいでしょう。それで,できれば羽化までを見ておこうと思い立ちました。

3月20日(日)。蛹の様子を見ておこうと思い,行ってみるとそこにはありませんでした。「おかしいな」と思って地面を確認。しばらくして殻が見つかりました。殻は穴が開いて破け,中は空っぽ! 成虫が誕生して出て行ったと思われます。羽化を見届けることはできませんでしたが,無事に生まれたようです。めでたし,めでたし。それにしても3月20日という目安がずばり当たっていたので驚きました。