自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

おかげ様で,気持ちよく年越し

2018-12-31 | 随想

わたしがかかわっているミュージアム「市民ギャラリー」で,1月に「公園の四季」と題する写真展があります。出展者は市実術連盟の重鎮で,90歳近いMさんです。何度もお会いして写真作法あれこれ,作品に込める作者の情熱,そんなことで数々の話を伺っている方です。「一年後に写真展をなさいませんか」というわたしのお誘いに乗っかって,四季をとおして公園の風景を撮ってくださったのです。納得のゆく12点を厳選していただきました。構図も,表現も,じつに深みがあってわたしは圧倒されました。

年末の作品搬入日,展示した作品を前にMさんから出たのは,「こうした機会をいただけるのは,目標を持って生きようとする上で大きな刺激になります」という謙虚な一言。年齢を重ねてもなお「することがある」「やりたいことがあり続ける」というのは一日一日を充実して過ごすのに,とてもたいせつだとおっしゃるのです。「よい提案をいただき,ありがとう」とまでいっていただきました。

ミュージアムづくりに市民参加を掲げているわたしは,Mさんがお感じになっている生きがいにちょっとお役に立てているようで,素直にうれしく思いました。「今日することがある」「日々,やってみたいことがある」のは,こころ若く暮らすポイントだなあとつくづく感じます。

 

これをわたしの一年に当てはめると,人との交流,自然との対話という面で,中身の濃い出会い・出合いでいっぱい。「することがある」日々をきっちり重ねられた結果,こころの錆び具合を先送りできたかなと感じています。人のお陰,仕事のお陰,昆虫を中心とした自然のお陰,レンズのお陰,そんなお陰で詰まっているように思えます。

さらには,このブログを通して人とのつながりを築けるがゆえに,表現するたのしさをさらに掘り起こすことができました。アクセスいただいている皆様に深くお礼を申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。

本年最後の夕食で,おかげ様の詰まったソバを味わいました。気持ちよく年が越せます。 

 


ヒメアカタテハの幼虫,その後(8)

2018-12-30 | 昆虫

12月23日(日)。夜見ると,蓋にしているネットに脱皮後の皮が付いていました。ここで脱皮したのに,実際場面が目撃できなかったのがなんとも残念。

 

 

12月25日(火),夜。一匹が,ネットの内側で前蛹直前の行動をしています。絹糸を吐き出し,尾端を固定するための作業です。

 

糸の様子がわかるようにフラッシュ撮影をしてみると……。絹糸がこんなにどっさり。

 

拡大して写しました。糸の多さがわかります。これだけ口元をあちらにこちらにと動かしているのです。驚異!

 

前蛹に刻一刻近づいています。この例は変化のまとめ撮りとしては貴重な画像になるはず。

 


どうやら,この卵はヤマトシジミ(6)

2018-12-30 | 昆虫

12月29日(土)。氷点下の気温に何度か遭って,ヨウシュチョウセンアサガオはぐったり。もう萎れています。実ももうダメでしょう。もちろん,ヤマトシジミのものと思われる卵はまったく孵化の気配なし。穴が開いた卵が増えているのは寄生バチが出た名残りなのでしょうか。

ということで,今日撮った卵をいくつかご紹介して本シリーズに一先ず区切りを付けます。記事として取り上げなくても観察は続けます。

棘に付いた卵。

 

変化がまったく感じられ感じられません。時間が止まってしまったかのよう。

 

キイロタマゴバチがいた卵は……。かたちがやや歪になっています。もしかすると,ハチが誕生するかもしれません。

 

来春,この草で何かが起こるかも。すこし期待しておきます。

 


ヨモギの根毛

2018-12-29 | 植物

ヨモギを紙コップに挿して,ヒメアカタテハを飼育中です。コップの水がなくなったので株を抜くと,根毛がくっきり! 根毛はいたって微細なので,ふつうは観察できません。見たければ雑草が生えているところで,大きな石があれば取り除く,またコンクリートとの境目で探すと観察できることがあります。水分がたっぷりでもないし,土が被さっているわけでもなし,という場所を探せばよいでしょう。

たまたまコップでは水がなくなりかけていて根が乾き気味だったので,根毛の生長にはもってこいの環境,加えて観察には最適だったというわけです。それを写真でご紹介しましょう。

新しい根にはこんなに根毛が! 少しでも水と栄養分を吸い上げようと頑張っているのです。

 

もっと近寄ってみると,根毛がもつれ合っている様子がわかります。とにかく植物は生きることに必死なのです。 

 

さらに近寄りました。基本的には横向きに生えているのがわかります。

 

環境次第で,こんなにもつれ合うことも。 

 

一本の根の先近くを見てみましょう。生長点近くには根毛はありません。すこし上辺りから生え始めています。

 

生え始め辺りを見てみましょう。とにかく,そこでさえスゴイの一言に尽きます。

 

ライムギ一株の根を一直線につなぐとどれだけの長さになるか,この問題は一人の科学者が算出してよく知られるようになった話題です。では,このヨモギ一株の根をつなぐとどれだけの距離になるのでしょうか。それを地球一周の長さと比べるとどうなのでしょう。とにかく,ライムギと比較するだけの価値がありそうな様相なのです。

ふつうは見えない世界に,こんなふしぎな光景が広がっています。じつにおもしろくって,愉快です。 

 


雪の朝,葉の水玉氷

2018-12-29 | 自然一般

12月29日(土)。地面は薄っすらと雪化粧。予報どおり,そんな朝を迎えました。スイセンの葉の縁に付いた水玉が凍っていました。雪が融けて凍ったのです。 

 

それを写しました。空気が閉じ込められて,泡になっています。雪結晶がいったん融けて(融けかけて)凍るときに,空気が複雑に閉じ込められたのでしょう。

 

葉を指で持って撮りました。丸い気泡,長丸の気泡,大きめの気泡,ごく小さな気泡,それらが散らばっています。氷がレンズになって,指がわずかに入り込んでいます。

 

こんなふうにでこぼこした水玉もあります。複雑なかたちをした気泡があります。

 

じつにごつごつして,無数の気泡が入って。 

 

ふしぎな造形美です。 

 

自然界で固体になった水に,こんな表情が見られるのです。おもしろいものです。気持ちの引き締まる朝,ゆかいな出合いをしました。

 


タンポポの花と,ガガンボのなかま

2018-12-28 | 昆虫と花

小さなガガンボのなかまがタンポポで吸蜜中でした。細身なので,パッと見てもそこにいるのかどうかわからない程の姿。

細長いからだ。長い脚。長い口吻。いかにも蜜に狙いを定めている様子。

 

口吻を花の奥深くに差し入れて蜜を吸います。花を丸ごとつかんだような姿がお見事です。

 

タンポポの他の花でも同じガガンボを見かけました。低温にもかなり耐えられそうです。

 


タンポポの花とツマグロキンバエ

2018-12-27 | 昆虫と花

ツマグロキンバエは季節を問わずどこにでも出没。それだけ環境の変化に適応する力があるのでしょう。タンポポは秋遅くにも冬にも咲く,数少ない花です。ほかに花がある時期ならこのキンバエはあちこちに行きます。でも,他にはほとんど目立つ花がない今,タンポポは貴重な摂食場所なのです。

クリスマスが過ぎたこの日も見ました。こんなに寒いのに! びっくり。

 

 

近寄って撮りました。からだに付着した花粉が確認できます。口吻が伸びます。 

 

 

季節に関係なく,”花があれば昆虫あり”と一先ず思って花を見てみることが観察ポイントです。

 


タンポポの花とカタグロチビドロバチ

2018-12-26 | 昆虫と花

12月。タンポポの花にカタグロチビドロバチを発見。体長は10mmもありません。暖かめの日だったものの,さすがに冬で,ドロバチの動きは緩慢です。

花で蜜か花粉を漁っている様子。しかし,季節に頓着しないなら,幼虫の餌を探してるとも解釈できます。幼虫はハマキガの幼虫を餌にするらしいのです。でも,今は幼虫の季節なのかわかりません。

 

そこから歩いて花の裏側,総苞片の方に移動。口には肉団子は見当たりません。ふつうならさっと舞い上がって別の花に移動するでしょう。やはり低温が災いしていると思われます。

 

そこから歩いて,また花の方に移動。からだには花粉がびっしり。

 

真正面から撮るチャンスがやって来ました。さすがにハチのなかまらしく,勇ましい風貌です。