過日山道で見つけたルリタテハの卵を観察していたら,ついに孵化の瞬間を迎えました。そのときの様子をご紹介します。
じつに時間がゆっくりと経過する感じがしました。急いで出るというふうではまるでありません。
ぐうーっと身を乗り出して出始めました。
これだけのからだがカプセルに納まっていたのです。
着地! おめでとう! この幼虫がどれだけの期間で成虫になるか,見守ってみようかなと思っています。
過日山道で見つけたルリタテハの卵を観察していたら,ついに孵化の瞬間を迎えました。そのときの様子をご紹介します。
じつに時間がゆっくりと経過する感じがしました。急いで出るというふうではまるでありません。
ぐうーっと身を乗り出して出始めました。
これだけのからだがカプセルに納まっていたのです。
着地! おめでとう! この幼虫がどれだけの期間で成虫になるか,見守ってみようかなと思っています。
4月27日(火)。晴れ。
今頃になると,山沿いの道ではサルトリイバラが若葉を付けます。そこに越冬から目覚めて活動中のルリタテハが産卵。その卵を探すのがおもしろくて,サルトリイバラの葉を見ると,確かめたくなります。
ヒキガエルのオタマジャクシの成長を追っているので,調べに行く途中,山道でこの卵を発見しました。今季第一号です。
山道脇からわずかにはみ出すように茎が伸び,その葉の一枚に産み付けられていました。ルリタテハの眼からすれば,そこが自分の飛翔コースに位置するためか,産み付けやすかったのでしょう。
接写してみました。 直径0.95mm,高さ0.9mm。
久しぶりに孵化を撮影したくなって,持ち帰りました。さて,いつになるやら。
果樹園のカキの木をネットで覆っています。実がカラスの害に遭うからです。この日,実の収穫に行くと,中にルリタテハがいました。
これはルリタテハがカキの果汁を求めてやって来たからでしょう。タテハチョウのなかまがカキの汁を吸うのはよく知られた話。ここでもよく目撃します。
翅を閉じたときの色が,マアなんと樹皮によく似たこと。これは擬態の典型です。
翅を開きかけると,瑠璃色の表側が見えてきました。
すっかり開き終えると,みごとな色が輝いて見えました。
思いがけない出合いでした。この成虫はこの姿のまま冬を越します。
ルリタテハの姿を見ているのに,卵が確認できないままでいました。卵を気に掛けていたので,幼虫の食草サルトリイバラの葉をときどき観察して来たところです。
そんな今日5月12日(日)。山裾のサルトリイバラを数株見ていくうちに,卵を一個発見! たった一個です。探せばほかにもあるはず。成虫が近くを飛んでいたので,きっとあるでしょう。今日のところはこの発見で上々です。
近寄って撮りました。なんと懐かしい! 産付後,どうやら日が経っている模様です。
上から撮りました。直径は1mmといったところ。
変化を追ってみましょう。
3月26日(火)。仕事場のあるN公園にて。ポカポカ陽気の一日でした。こういう日はルリタテハに出合えるのではないかと期待。予感どおり,午後,再会。この日が初見日です。
舞い上がったチョウは,すぐに近くの歩道に着地。翅が相当に傷んでいます。厳しい冬を乗り越えてここまで来たようです。この後,もつれ合うようにして舞うルリタテハ二頭を目撃。浮かれているみたいでした。
3月27日(水)。午後。気温が上がりました。ルリタテハに出合えるはずと思い,訪れてみると……。案の定,歩道の上を舞っていました。やがて,溝のコンクリートに着地。体温を上げようと,翅を大きく広げました。
しばらくしてチョウが舞い上がった途端,どこからか別の二個体現れました。そして三頭がもつれ合うようにして遠くに去って行きました。二日続きの出合い。ルリタテハの季節を迎えたのです。
10月5日(金)。今春以降,ほんとうに久しぶりにルリタテハの幼虫と卵を見ました。所は我が家の隣りの更地。そこの我が家にもっとも近い箇所にサルトリイバラが一株生えているのです。我が家との間に市道が走っていて,そのすれすれの部分です。
もともと前栽があったところで,いつの間にか生えてきたといった感じです。これまで観察してきた範囲では幼虫を見かけませんでした。サルトリイバラが独立して生えた状態になり,小株ながらルリタテハには目に付きやすくなったようです。
そこに終齢前の幼虫がいたのです。一匹が見つかったので,よく見ていくと次々に。合計四匹もいました。
卵はまさかないだろうなと思いつつ,調べていくと二個もありました。しかし,様子から見ると異変が起こっているようで,孵化は無理な感じです。
その一つには穴がぽっかり。たぶん寄生バチが飛び出していったのでしょう。
もう一つは真っ黒。寄生バチが出て来るかもしれません。もし孵化するとすれば,中に幼虫が見えかけるのですから。
10月8日(月)。早朝。サルトリイバラは日陰になっています。幼虫はもう終齢期を迎えています。
食欲旺盛です。
これらの幼虫は今秋中に成虫になります。そしてそのまま越冬するのです。できれば羽化するまでを追ってみようかなと思います。
5月18日(金)。孵化するのをこれまでずっと待ち続けましたが,ダメでした。
こういうふうに透き通って中が見えるようになったときは,幼虫の動きがはっきり確認できるのがふつう。なのに,この卵は動きなし。ここまで来ていたのに,惜しい惜しい。
何が起こったのでしょう。どの段階で成長が止まってしまったのでしょう。 今年初めて観察していたルリタテハの卵だけに,残念な結果になりました。
5月16日(水)。N公園の昆虫生態調査をしているときでした。サルトリイバラの葉で,表面がわずかにでっぱってわずかに黒く見える部分が目にとまりました。その個所は縁からかなり離れたところにありました。2cmはあるでしょう。
それを裏返すと,なんとルリタテハの卵が! 葉の裏で,しかも奥の方に産付された例を見たのは初めてです。もしかすると,これまでわたしが葉裏を点検していなかったためなのかもしれませんが。成虫は裏側に回り込んで産卵したのです。用心深さが光ります。
ありがたいことに,間もなく孵化するところまで成長が進んでいました。それで急いで画像に記録。
持ち帰って改めて記録しました。
反対側から撮影。
さて,孵化はいつでしょうか。
5月17日(木)。早朝。まだ孵化していませんでした。ホッ! 今日中に孵化するはず。
庭のホトトギスで育ったルリタテハの幼虫が前蛹になって,葉からぶら下がっていました。それを見つけたのが前日の夕刻。
翌朝見ると,まだそのまま。「これなら蛹になるシーンを撮影できるかも」と思いながら,度々様子を観察していました。
昼前。からだが長細く垂れ下がったようになりかけました。これは蛹化が始まる兆候です。見守りました。
体側に長い筋が現れました。皮が尾端に向け送られていきます。
頭部から皮が脱がれていきます。翅部分が見えます。
からだをわずかに動かしますが,激しくはありません。
ほぼ脱ぎ終えました。一直線にぶら下がった状態です。
これまでと打って変わったように,からだをくねくねと動かし始めました。その動きは休むことなく続きます。皮を落としたいのです。
からだを回旋します。突起は丈夫なので,それがからだに触れていたらとてもよくわかるのでしょう。落としたいという気持ちがありあり,そんな感じ。
皮が落下して15分経過。静かにぶら下がっています。大きな営みが無事に終わったひとときです。
ルリタテハの越冬態は成虫です。冬が訪れる前に羽化します。10日もすればそのときがやって来ます。その瞬間を撮影できたら申し分ないのですが……。
サルトリイバラの葉に産付されたルリタテハの卵を見ていたときのこと。ふしぎな例を発見しました。かたちは完全なのに,中身がほとんどなし。というか,からだの名残りがちょっとだけあって,他はすっぽりなくなっているのです。どんな状況でそうなったのか,謎です。
上部に穴はありません。
しっかり閉じています。なにも出て行った気配がありません。なのに,空っぽ状態なのです。
よく似た例を,サルトリイバラでも一つ見ました。
事情はまったくわかりません。真相は不明です。
この例からいえるのは,卵の段階でもいのちが絶える個体がいくつもあるという点です。自然の厳しさを感じます。