自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

新緑のハイク ~紀三井寺から和歌浦へ~

2014-04-30 | 旅行

今年のハイクは『紀三井寺から万葉の和歌浦の海辺を歩く』 と銘打って,昨日(4月29日)に実施されました。あいにくの天気で,家を出るときは「どうなるかな」と少々心配しましたが,結果は,一時小雨が降ったものの上々のハイクとなりました。終われば万歩計の歩数は17万を数えていて,心地よい気分に浸れた次第です。

出発は西国三十三所第2番札所である紀三井寺から。ここは40年前にある取材活動で訪れた地で,石段を登った記憶がくっきり残っていました。「あー,あのときの石段と同じだ」と感慨が湧いてきました。


新緑の境内から臨む市街地です。中央遥か向こうに,これから向かう和歌浦方面が遠望できます。 


この辺り一帯は,我が国最大の断層系である中央構造線に位置します。それを表す片麻岩層があちこちの路頭にむき出しになっています。 

 

途中で休憩した片男波公では,ユズリハが葉の世代交代をしていました。花をいっぱい付け,水を含んで生気にみなぎっていました。植物名を解説したプレートには,「万葉名 ゆづるは」とありました。


雑賀崎灯台からは,太平洋から紀伊水道が見渡せました。雨が上がり,雲が低く垂れて,静かな景色がどこまでも続いていました。 


雑賀崎の集落は急斜面の土地を最大に生かしてつくられてきています。家並みの間にはわずかな幅の露地が設けられ,すこしばかりの土地に野菜が作られています。新聞や郵便物の配達は徒歩でしかできないのだとか。 この風景,日本的な漁村の典型なのかもしれません。


終着点の雑賀崎漁港には,漁を終え,次の漁を待つ漁船が係留されていました。のどかな風景です。


歩程は約12km。世話人さんたちに案内していただく旅は気楽です。世話人さんはそうもいきません。お世話になって,快適なハイクができたことに感謝。 

 


ヒラタアブの成長(23)

2014-04-30 | ヒラタアブ

部屋の天井にクロヒラタアブが一匹。これは,それまでいたホトケノザから離れて,室内のどこかで囲蛹になり,それが羽化したものでしょう。

 


これなら,割り箸の先に付いた囲蛹も羽化近しだなと予感して,とりあえず,写真に収めておきました。蛹の先の方に,「ここが開くのだろうな」と思う円形の線が見られました。きっとハッチのようにパカッと開いて,中から成虫が出てくるのでしょう。


知らぬ間に出てしまっていてはおもしろくありません。それで,それを仕事場に持って行って,机の上において見守ることにしました。

ところが,ところが,です。出勤して,自動車からそれを出そうとしたとき,すでに羽化しており,殻のすぐ傍にちょこんと付いていたのです。もう,びっくり!

 
思ったとおり,カプセルそっくりなしくみで中から成虫が誕生したのです。蓋が開いて,本体としっかりつながっていました。誕生後間もないとみえて,成虫は動かないままじっとからだが熟するのを待っている様子。腹部の縞模様はいくぶん薄く見えました。

ただ,これは出てきたばかりの姿ではないはず。もっと色が淡く,もっとからだが小さく,もっと翅が縮れていたでしょう。ほんとうなら,生まれたてのもっと初々しい姿を見たかったのです。

この個体では誕生風景を直接目撃することは叶いませんでした。しかし,状況証拠として,たいへん役立つ情報が得られました。羽化を控えたときの蛹の様子が確認できたのは,大きな収穫です。まだ他のも囲蛹があるので,それを見守っておきましょう。 

  


オドリコソウとヒゲナガハナバチ

2014-04-29 | 昆虫と花

オドリコソウの群落に入ると,ほんとうに所狭しとばかりに生え,花が咲き揃っています。花の白さは葉に遮られてさほど目立つわけではありませんが,上品で端整な美しさを感じさせます。

花が多くても,訪れる昆虫の種類は多くはありません。しばらくそこにいると,「あー,やって来た!」と嬉しくなる程度の訪花ぶりなのです。

羽音が聞こえました。そちらに目をやると,ヒゲナガハナバチの一種と思われるハチがやって来ました。花に降り立つ前から口吻を伸ばして,蜜を吸う準備をしているのがよくわかります。食欲の旺盛さを物語っているようです。 

 
花に頭を潜り込ませると,ご覧のとおり,すっぽりからだを差し入れた姿勢になります。口吻が精一杯に伸ばされていることでしょう。この姿勢のお蔭で,受粉が滞りなく行われるというわけです。


脚場に脚をがっちりつなぎとめています。長いヒゲ(触覚)が花から突き出しています。 花のかたち適応してからだを発達させてきた,この種のハチの生命史を感じます。 おみごとです。

 


ジャコウアゲハ観察記(その294)

2014-04-29 | ジャコウアゲハ

羽化の瞬間を何度見ていても,まさにそのときという時刻を当てるのはわたしにはできません。それに,時季の問題もあって,羽化の準備を終えたと思っているのに,なかなか殻から出てこない場合もあります。

「準備完了だ」と推測してから30分で出てくることも,逆になんと6時間も経たなくては出てこないこともあるのです。それで,そのタイミングを逃してしまい,ガッカリしてしまうことがなんと多いか!

下写真など,がっかりした例の一枚です。じっと待つこと6時間余り。


目を離した5分の間に羽化済み! もう,がっくりですね。  

 
下写真は出てくるときを撮ることはできましたが,殻が裂けた瞬間は見逃しました。羽化時の連続写真を撮ることはほんとうにむずかしいものです。夜だと,睡魔との闘いにもなります。自然の成り行きに自分を合わせるのですから,なんともたいへんです。

 
生まれたばかりの成虫は,ストロー口をウォーミングアップします。このとき,先が二股になっていることが確認できます。やがてこれが一つになります。眼に水分が玉になって付着しています。赤子を連想させます。


自然の有り様に自分を合わせるのは,こういう場合はたいへんですが,大きな発見と感動がいつも待ち受けていることを思うと,それはそれでまた苦労が激減するというものです。 

 


オドリコソウとコマルハナバチ

2014-04-28 | 昆虫と花

オドリコソウの花は白,あるいはすこし赤みかかった白をしています。それで,黒いからだのハチが訪れると,後を追いかけるのは容易です。姿と羽音を合わせて追っていけばよいのですから。

コマルハナバチもまた,オドリコソウが歓迎する昆虫の一つ。花の中に頭をぐっと入れて蜜を吸うものですから,吸蜜の瞬間を観察することはできません。そのときの姿勢から想像するとか,わずかな隙間から見るといった手しかありません。 

 


“わずかな隙間” から覗く頭部,からだのラインは,この昆虫の食欲の大きさを教えてくれているようです。脚の爪や棘が,からだを固定するのに威力を発揮しています。りっぱな構造を備えていることに驚嘆します。

 

 
夢中になって吸蜜行動を繰り返すのですが,撮影者・観察者が不用意に近づくともうダメです。気づいて,パッと飛び去ります。性質は意外と臆病なのかもしれません。気づかれない限り,群落の中を適当に動き回ります。慎重に付き合えば,すてきな被写体になってくれます。 

 


小さな小さなカメムシの恋

2014-04-28 | 昆虫と花

花壇では今,ノースポールの白い花が満開です。高さはせいぜい30cm。花は直径が3~4cm。夜になると花弁が閉じます。

小さな花なのですが,そこに昆虫がたくさん訪れます。その中に,カメムシがたくさんいます。体長は3mm。ここに棲み付いているような感じで,昼も夜もいます。

それで当然恋が芽生えます。上がオスです。メスに比べると,やや小さい感じがします。


交尾が始まりました。 

 
ときには,恋の邪魔者が現れます。

 
交尾の最中も,吸汁行動をするのが印象的です。よくよく見ると,からだには花粉が付いています。送受粉の手伝いをしているのです。


虫媒花には虫を招くしくみが備わっています。野外で花を見るとき,そこを訪れる虫を思い描きながら見ると,観察の妙が増します。 

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その6)

2014-04-27 | ジャガイモ

4月25日(金)。本葉が二枚はっきりと見えてきました。 順調に育っています。 


ここにも,あそこにも,といったふうです。 


4月26日(土)。 播種日から数えて23日が経過。発芽率を確認しておきました(カッコ内は実播種数)。

 


 ① A ポット群(大)  ………… 17( 20) 

 ② B ポット群(小) ………… 84(120)

 ③ C ポット群(小) ………… 45( 57)

 ④ D ポット群(大) ………… 40( 55)

 ⑤ E 播種用苗床   ………… 57( 63)

合計は243(315)。発芽率は77.1%になります。一週間前より13ポイント上がっています。80%近くになったのは予想どおりです。ただ,80の大台には乗らないかもしれません。

 


キク科植物と小さな小さな昆虫

2014-04-27 | 昆虫と花

庭に植えているキク科の花ノースポールにハチやらカメムシやらがたくさん訪れています。

その中に,名のわからないおもしろい昆虫がいました。“おもしろい” とはおなしな表現なのですが,実際,わたしにはとても珍しいからだつきで,とてもユニークな格好をして餌を食べるのです。

体長は2mmもないでしょう。翅は褐色と灰色の斑模様。からだは花粉だらけ。前のめりになって,花粉と思われる大好物を一所懸命に口にしています。


ものの本によると,昆虫の種類は限りがないほどで,発見されて命名されるものが次々に出てきているといいます。たとえば,種類を推定すれば500万~3000万ほどもあるらしいのです。なかには,8000万種ぐらいはいるのではないかと推定している学者もいるとか。

こんなわけで,この昆虫の名を調べようとしても疲労困憊することは十分,いいえ十二分に考えられます。 こうなると急いで調べる気持ちが湧いてきません。


下のような格好で腹先をうんと浮かし,頭を花の中に突き立てて餌を貪り食うのです。まったくスゴイというほかありません。 


1mm,2mmの世界に,こんな立派な体型をした昆虫がいるふしぎをついつい思ってしまいます。 「ほほーっ!」の世界です。

 


ジャコウアゲハ観察記(その293)

2014-04-26 | ジャコウアゲハ

4月26日(土)。「みごとな!」といえる,暖かなポカポカ陽気になりました。午後は用があり,外出。それで,以下は午前中の話です。

陽気に誘われて,『アゲハの庭園』にジャコウアゲハが飛来。メスは二頭。そこへオスが一頭やって来て,求愛行動が見られました。

メスはあちこちの草に前脚をかけて,食草かどうか確認しながら,産卵をしていました。確認の程は必ずしも100%の確実さでなく,ウマノスズクサに触れているのにあっさり離れてしまうことも度々なのです。

しばらく産卵行動を目で追いながら,持っていたコンデジで撮影を試みました。しかし,手動でピントを合わせる機能が付いていないので,ピントはずいぶん甘くなってしまいました。


庭園の一角に植わった葉牡丹は,茎がずいぶん伸びています。そこに付いた花に,ハチやらチョウが飛んで来て蜜を吸っていました。アゲハを呼ぶ庭こそ,わたしが描いている理想の庭です。


庭に面して,ガレージの壁があります。そこに付いたジャコウアゲハの蛹がちょうど羽化したばかりで,翅が風にゆるやかに揺れていました。

夕方,用を終えてから帰宅。さっそく産卵した卵を確認していくと,あちこちで今日産み付けられていることがわかりました。産卵のシーンはこれからしばらく続いていきます。

 


アナバチの巣作り

2014-04-26 | 昆虫

以下は『アゲハの庭』 での出来事です。ウマノスズクサに,それぞれ根元に篠竹を垂直方向に立てています。それに茎が巻き付いて伸びていくようにしているのです。

何気なく見ていると,その一部でハチの妙な動きが続いているのに気づきました。先端の穴から出たり,また入ったり,を繰り返しているのです。横向きの竹の例なら何度も見ましたが,縦方向の穴の先というのは初めてです。

それで,カメラを三脚にセットして撮影を試みました。とにかく素早い動きなので,アッという間に穴に入ってしまい,アッと思う間に出てしまいます。撮るタイミングなど,とる余裕はほとんどありません。 


シャッター速度を2000分の1秒程度にして撮りました。なんとか数枚は写っていますが,それだってピンボケ気味です。 

 
着地したらすぐさま穴に入っていきました。何かをくわえて運び込んでいるようでもなさそう。 


見ているうちに,たしかに巣作りの最中らしいとわかってきました。 


出てくるときは,バックする姿勢です。からだ,とくに頭付近には粉がいっぱい付いていました。「そうか,穴を広げているんだ」と理解。卵を産む準備をしているのでしょう。 


出ると,パッと舞い上がります。 


繰り返される作業を見ているうちに ,竹の内部を削って空間を広げている様子が想像できてきました。とにかく,懸命なのです。

 
運び出した粉をどうするかといえば,そこら辺りに撒き散らすのです。どこかへ持っていって捨てるなんて,そんな律儀な行動はとりません。たまたま,口の辺りから粉が飛び散るのをとらえることができました。ただ,これもあまりにも動作が速いために,写りはさっぱりです。 

 
全身を視野に収め切れなかったのですが,飛散する粉を見届けることができた写真を一枚。

 
飽きることなく,当然のしごととして繰り返す作業はまことに印象に残るものでした。