自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(14)

2017-06-30 | ジャガイモ

6月30日(金)。ホッカイコガネの収穫一日目。6株を掘り起こしました。どの株にも実がなっていました。下写真の矢印は実を示しています。

 

こんなふうに実が付いています。

 

この株にも。 

 

実はカメムシの大好物です。吸汁したあとの穴が点になって残っています。わたしは以前試食しましたが,とんでもない味でした。ミニトマトとちがい,口にするものではありません。似て非なる実です。 

 

実がなっても,地中には大きなイモがたっぷり。実にいく栄養分を心配する方がありますが,そんな心配,吹っ飛んでしまうほどの収穫です。花が咲いても律義に摘み取るほどのことはなく,放っておけばよいのです。

 

6株分の収穫量です。それにこれだけの実が得られました。上々です。

 

38株中6株の結果です。この分だと,十分満足できそう。一時の心配は完全に吹っ飛んでしまいました。品種はホッカイコガネそのものです。

 


超接写がたのしい夏(6) ~ヤマトシジミ~

2017-06-29 | 生物

早朝のこと。庭で草引きをしていると,ヤマトシジミが一頭カタバミにいました。時間帯からいえば産卵行動でもなさそう。どうしたのか飛ぶ気配もなさそう。

さっそく写真に収めました。 

 

できるだけ近づいて。

 

ヤマトシジミはすこしずつ動きました。動きがとまったときに,両眼を入れて撮りました。 

 

からだをぐるっと回したので,後方斜めから撮りました。

 

その場でゆっくり向きを変え,時にはぴったり静止もするのですから,恰好のモデルです。それがまたふしぎ,「これでおしまいかな」と思った瞬間,パッと舞い上がったのです。

お蔭で気持ちのよい草引きになりました。 

 


超接写がたのしい夏(5) ~シオヤアブ(続)~

2017-06-28 | 生物

公園にて。

「今度は獲物を捕らえたアブを撮りたい」と書いていましたが,そのチャンスが訪れました。朝の公園でそれを見かけたのです。

しかし,近づかせてはくれませんでした。もしできていれば,相当に迫力ある場面をものにできたはず。次の機会を待つほかありません。

 

ところが,その撮影のチャンスを窺っていたとき,まさにわたしの脇に降りたの交尾中のカップル。「これはしめた!」とばかりに,前よりも接近して撮りました。なにしろ,地面なので撮りやすい,撮りやすい。しばらくその場にいたので,複数枚とることができました。

いつものヒゲじいの姿。

 

舞い上がったあとも追いかけて撮りました。この姿はかなりなもの。これに襲われる被害虫は,いったん捕まったら到底逃げられそうもありません。 

 

また舞い上がりました。降りたのでそっと近づいて撮りました。脚が入ると一層引き立ちます。

 

真正面から撮りました。動かなかったのは幸い。ふしぎなほどのモデルぶりでした。

 

トリミングして個眼をみると……。「お見事!」。そう叫びたくなる配列ぶりです。 

 

どんな光景が待っているか,どんないのちとの出合いがあるか,それを思いわくわくしています。 

 


やーっ,オトシブミ! (続々)

2017-06-27 | 昆虫

6月20日(火)。揺りかごにいる幼虫のうち,1個体だけがどうやら無事に育っているようです。他の個体は目視する範囲では姿が見当たりません。

写真の個体は幼虫なのか,前蛹あたりなのか,不明です。 

 

からだに生えた毛がはっきり確認できます。からだの向きは定かではありません。 

 

6月27日(火)。輪切りにしたゆりかご一つに,幼虫が無事にいることを確認。からだが黄色っぽく見えます。 

 

 

トリミングしてみました。 解像度がかなり落ちますが,確かに幼虫だとわかります。さて,どう成長していくか,とにかくたのしみです。

 

 


超接写がたのしい夏(4) ~ナガメ~

2017-06-26 | 生物

ナガメは文字通り菜の汁を吸って生きているカメムシです。赤と黒のコントラストがひと際目立つ体色をしているので,一度見たら忘れられません。

このナガメがキャベツで大発生しています。キャベツを栽培している立場からいえば,害虫です。収穫せずに放置したキャベツにアオムシとともに発生していたので,そのままにして観察を続けた結果です。

 

幼虫なので翅がまだ小さいままで,体長4mm。

 

脱皮した後かなりの時間もがいていたのか,脚に皮を付けて盛んにそれを落とそうとしていました。

 

ナガメの成虫がいました。体長7mm。りっぱな翅をもっています。

 

幼虫が葉から汁を吸い上げている最中です。 

 

口吻を突き刺しています。キャベツのような薄い葉にもこんなふうにして吻を突き立てるのです。 

 

トリミングすると,一層リアルに見えてきます。個眼もはっきり確認できます。 

 

触覚をしきりに動かすので,触覚の振れが画像に残っています。力を入れて吸汁に勤しんでいるようです。 

 

一つの動作を丹念に見ていると,なんだか物語が展開しているみたいな気になってきます。 

 


新聞記事「ジャガイモの茎にトマト…?」

2017-06-25 | 随想

わたしがジャガイモの実のことで殊の外関心を抱いてジャガイモ栽培を続けていると知って,地方紙(地域版)の記事をなんと発行当日の朝,コピーして届けてくださった知人があります。驚くとともに,感謝,感謝。記事はジャガイモの結実を報じたもの。

かなり大きな記事で,珍現象として取り上げられているのはいつものとおり。みだしは『ジャガイモの茎にトマト…?』。ふつうこの種の記事には,「ジャガイモにトマトの実がなった」「農家の人の話では,何十年も栽培をしているが初めて見たという」「近所で評判になっている」「農業改良普及センターの話では,天候が関係しているのだろうということだ」といった紋切り型の文が並びます。

今回もまったく同じです。じつは2年前にも,同じ支局がよく似た内容で報じています。みだしは「ジャガイモにトマトの実? 『生育良すぎて』珍現象」。とんでもないみだし! この記事の感想を当時書きました。

記事にする記者に,事の真相についてその道のプロにインタビューするだけの問題意識なり素養なりがないと,いい加減な情報が読者に伝播するばかり。結果,誤った知が残り続けます。この点,書き手である記者の腕が問われるでしょう。当然社会的責任があるわけで,その腕を磨き続ける努力が必要になってきます。

記者は,裏取り作業としてジャガイモ育苗について研究している専門家に問い合わせるという慎重さを持つべきでしょう。信頼できる情報源であることが重要です。この地方なら,すぐ近くに大学附属農場でジャガイモの品種改良の専門研究を行っているのに。まことにもったいないこと! わからなければ,北海道にある馬鈴薯の研究機関に問い合わせれば済むことです。

記事の問題を整理しておきましょう。

まず前提になる話からです。それを踏まえると,報道の問題点がよくわかります。ジャガイモの実がなるか,ならないかは,基本的には品種の問題です。極めてなりやすい品種があれば,ほとんどならない品種もあります。それは天候とか土壌とかの外因に影響されるものでなく,ジャガイモが本来的(遺伝形質的)に有している結実性がどの程度残されているかという内因によります。

 

これに沿って問題点を整理してみます。

  1. ジャガイモの品種が明記されていない。
  2. 農業改良普及センターの取材で得られた次のまとめに誤りが含まれる。「気象条件などで,花に受粉して実をつける場合があるといい,同センターは『放置しておくと実の栄養が取られる可能性も。食用ではありません』としている」

1について。

古いタイプで人気品種のダンシャクやメークインは品種改良を重ねて創出されたものであり,結果,結実するという性質はほとんど消えています。しかし,稀に実が付くこともありうるのです。それは先祖返りと呼ばれている現象です。起因は気象条件によるのかもしれませんが,ジャガイモに聞いてみなくてはわかりません。それよりも大事な見方は,なにかが刺激になってひょっくりと先祖返りを起こしたにちがいない,と考えてみることです。

したがって,品種の明記は欠かせないのです。

2について。

「気象条件などで」「実をつける場合がある」は曖昧模糊としています。気象条件なら,この方の畑のみならずあっちの畑でもこっちの畑でも,というふうになります。実際はどうだったのでしょうか。「実をつける性質をわずかながら残し続けている」という補足が抜け落ちていることも気になります。いい足らずか,書き足らずか,でしょう。

「放置しておくと実の栄養が取られる可能性も」は妙です。それなら,「取られない可能性」もあるということになります。これでは読み手は「ではどうすればいいというのか。イモに影響する恐れがあるのなら,いっそのこと,全部摘んでしまえ」となりそう。

わたしの場合は,どの品種も花は全部付けたままにしています。ホッカイコガネは100%の結実率ですが,イモの大きさは大したものです。普及センターの方に見ていただきたいですね。昔,人は花を摘んでイモをすこしでも太らせようとしていましたが,今ではそんな人はずいぶん減りました。研究者は,花を付けたままにしておいてもイモにほとんど影響がないといい切っています。それに北海道の農場で,花摘みが行われているという話は聞いたことがありません。

 

ついでながら,インタビュー相手側のセンター職員はご自分で収量比較した経験がおありなのでしょうか。たぶんないはずで,印象程度で語られているのでしょう。それでは科学的な裏付けがなくって,いい加減な話ということになります。

なお,チューリップの場合はこれとはちがってきます。球根を太らせるには花をたのしんだ後,すみやかに摘み取る必要があります。なにしろ,実は相当に膨らみますから,その分球根に栄養分が回りません。実が熟したときに球根を掘り上げると,なんとひ弱なこと!

以上が問題点の整理です。

ここから結論です。この記者氏が記事をまとめる際,念頭に置くべきだったのは,わたしからみれば次のことです。

  • 実がなった品種。
  • ジャガイモとトマトは同じナス科に属する種子植物。本来は実がなって当たり前。よく似た花!
  • 品種によっては珍しい結実。いったいなにが起因しているのか(ジャガイモに聞いてみなくちゃわからないけど)。

大きくいえば,生命現象を解き明かすというスタンスに立って情報発信を心掛けなくてはなりません。必要な事実については触れなくてはならなし,事実でないことは書いてはならないのです。必要な事実とは,①ジャガイモに実がなった,②栽培農家はびっくりしている,③ジャガイモはもともと実がなる性質があり,たまたま実ができた,以上です。

いつも記者氏の眼力が問われています。じっくり取材し,手間をかけて材料をそしゃくするのがプロの心得です。それがあってはじめて記事に深みが出てくるでしょう。情報の正確さが売り物の職業であることを自覚していただきたいものです。

【付記】写真は先日,我が家の畑で撮影したもの。 

  


モンシロチョウの吸水

2017-06-24 | 昆虫

チョウの吸水行動は時折見かける光景です。それがモンシロチョウとなると,意外にめずらしいように思います。わたしが見かけた例は多くありません。意識して観察をしていれば見かけるのかもしれませんが,偶然なのでよけいに少ないのでしょう。

ネットで画像検索しても事例がいたってすくないことからみると,実際,人の目に焼き付くほど見かける機会はないのかもしれません。

つい先日,自宅近く農道を歩いていると,脇の畑でモンシロチョウが吸水しているのを見かけました。畝と畝の間の谷間に水がわずかに入り込んで,土が湿りかけているところに2頭のチョウがいて,なかよく吸水中でした。吸水している姿を画像で記録したことがないので,これは絶対に残しておこうと思い,準備。

運動靴を履いていたので,ぬかるんだ土に入ると,靴が泥に食い込みました。「これはたいへん!」と思いつつも,なんとか近寄らなくちゃと一心でそっとそっと接近。こういうときは,遠くから撮影しながら近寄り,近寄りながら撮影していきます。いつ舞い上がるかも知れず,そのときになって後悔しないよう画像を残していくのです。

 

「よし,よし。感づかれていないようだな」。ありがたいことにチョウは吸水に夢中のようで,写真に収めることができました。お蔭さまで貴重な画像になりました。

 

ほんとうはもっと近接撮影をしたかったのですが,それはできませんでした。最後の一歩の置き所がほんのすこしだけチョウに近かったら,たぶん接写が成功していたはず。口吻をアップした写真は見応えがあるでしょう。それを思うとちょっと悔しさを感じますが,それは贅沢というものでしょうか。

畑には堆肥がどっさり入れられて,畝づくりがなされています。例によって,オスが吸水にやって来ているのです。翅端部の色合いが黒っぽいので,たぶんオスだと思われます。オスと吸水行動の関連性はよく知られているので,この点でも合点できます。

ぬかるみに入って靴はドロドロ。もちろん帰って洗いました。しかしそれ以上の収穫があって,大満足。

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(13)

2017-06-23 | ジャガイモ

隣家でジャガイモの収穫が行われました。それで実をいただきました。品種はキタアカリ。比較的実がなりやすい品種の一つです。

 

実のトマトと並べて写しました。色やなり方のちがい,類似点がよくわかります。

 

我が家のホッカイコガネは,なんとか結実につながるようです。ありがたい,ありがたい。

 

 

一つの房に,いくつもの実が。

 

 

房には複数の花があるので,花から実への変化が確認できます。 

 

 

こんなわけで,わたしは小学校理科のジャガイモ教材としてこの品種栽培を推奨しています。 

 


超接写がたのしい夏(3) ~タンポポの綿毛とクモ~

2017-06-22 | 生物

セイヨウタンポポの綿毛を見かけました。真っ白! それに糸を張って巣をつくっているのはサラグモ,あるいはヒメグモのなかまのようです。体長3mm。通りかかる獲物を捕らえる魂胆です。

 

綿毛は草の間にあるので,他のクモたちも結構巣をつくっています。獲物が結構通りかかるのでしょう。

 

もっと近寄っても,逃げる気配はありません。からだは小さくても,りっぱな棘・毛の持ち主です。

 

天気のよい日だったので,大空を背景に見上げるようにして撮りました。 糸が切れて取り残されたクモは,ちっとも慌てません。ただ,警戒心を露わにしてじっとしている様子。

 

真っ白な被写体を撮るのはほんとうにむずかしい! いつも悩みます。

綿毛をすこし飛ばして撮りました。種子に突起があれば,遠くに運ばれた先でものに付着し移動しにくくなるのでしょう。巧みな仕掛けが見えます。

 

 


ムラサキツメクサとモンキチョウの卵

2017-06-22 | 生物

6月19日(月)。アカツメクサの生えた河川敷。そこでモンキチョウの卵が葉表にあるのを発見。探すと数個。白いのやら赤みがかかったものやら,変化にバラツキが見られました。それらを持ち帰ることに。

 

翌20日(火)に撮ったのが下写真です。産付後,日が経過していることがよくわかります。

 

 

6月21日(水)。孵化が近づいている卵を見ると,いつものとおり中が透き通って見えます。