自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツマグロヒョウモン,羽化!

2014-07-31 | ツマグロヒョウモン

7月24日の記事で取り上げたツマグロヒョウモンの蛹,その後についてです。

1週間後の今日(7月31日),羽化しました。朝見ると,翅の紋様が殻をとおしてはっきり見えました。メスであることがよくわかります。間もなく羽化するだろうと直感。せっかくなので見逃したくないと思い,その場を離れず観察することに。

午前8時20分。いつ羽化してもいい状態に見えました。


午前8時40分。蛹に目をやると,偶然殻が裂け始めました。大急ぎで撮影の準備をしました。 


午前8時41分。はっきり幼虫の姿が見えてきました。 


同じ午前8時41分。殻をグッと押し広げて,出てきました。 ここまではじつにゆっくりとした動きでした。


午前8時42分。出てしまってからは,なんと動きの速いこと。出終わるとすぐ反転。縮まっている翅をできるだけ早く広げる必要があるのでしょう。

 
午前8時42分。安定した脚場を得るために,サルトリイバラの葉に移動。


午前8時47分。 同じ位置で静かにして,翅が広がるのを待っていました。その間,しきりに口吻のウォーミングアップを繰り返しました。


待ち望んでいた場面をドンピシャリ当てて,楽に観察できました。こうした幸運に恵まれるのは稀です。お蔭で充実したひとときが過ごせました。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その322)

2014-07-30 | ジャコウアゲハ

前回に続いて幼虫の天敵について書きます。

7月30日,つまり今日の早朝の話です。たまたまアゲハの庭園に行って,ウマノスズクサの実の成長を確かめているときのこと。幼虫がなにかの外敵に襲われ,無惨な姿に成り果てているのが目に飛び込んできました。

よく見ると,胴体のほとんどがなくなって,一皮でウマノスズクサに引っ掛かっている状態でした。表皮の乾き具合からは,個体が被害に遭ってから日が経っているように見えました。


わたしがこれまで,ジャコウアゲハが天敵に襲われて食されている現場や,確実に食されていると思われる場面に出くわした回数はごくわずか。なかでもクモの巣に成虫,幼虫が絡めとられている例,カマキリが幼虫を食べるのを一部始終目撃した例が印象に残っています。

今朝の例は外敵こそ不明なのですが,これほどに痛めつけられて,途中で放置された例は少ないはず。いったい何者の仕業なのでしょうか。こうした食べ方はクモとも思われません。カマキリなのでしょうか。たぶん,大きめの外敵だと思われます。

そうだとすれば,体内に蓄積されたアリストロキア酸の影響を被ることはなかったのでしょうか。稀な被害例を見て,ほんとうに驚きました。

 


火打ち式発火法にチャレンジ!(3)

2014-07-29 | 日記

チャレンジ教室は,今日29日(火)で4回を数えます。前回の第3回は27日(日)実施の『科学の祭典』。そこで,子どもたちは初めて“店員さん” の体験をしました。そのときの冒頭で,わたしは「今日は50%の出来でいい。3日は80%以上を」と伝えていました。“50%”でも,子どもなりに懸命に努力したでしょう。その際の反省を踏まえ,本番にどうつなぐかが活動のポイントでした。

まず,出てきた課題について話し合うことから始めました。子どもたちからは「もっとはっきりした声でいう」「火口(ほくち)をもっと作っておく」「火打石は大きめのものを用意しておいて,丸くなってきたら,割って尖らす」といった提案が出されました。よく考えているので,納得です。

わたしからのアドバイスは,一言でいえば「お客さんに何を伝えるか」という意識をしっかり持とうという内容。道具を手にして単に発火法を伝えるだけでは,意味ある技術として伝達できません。やはり,火打ち式発火法の本質について,子どもなりに伝えていく努力が必要になるでしょう。

たとえば,火打石と火打ち金との硬度差,鉄の種類,火打石の入手法,摩擦式と火打ち式との時代差,そんな点について簡潔に解説できる力を付けておく必要があります。それらの点について,改めて伝え方を伝授しました。

小道具について一言。前回,種火をつくるのに,火打石の上に直接火口を置くのは子どもにはむずかしいという話になりました。それで,火口に直接火花を落として種火を得ることにしました。そうなれば,火口がたくさん必要になってきます。それで,今日の活動で作ることにしました。


併せて,残された道具である付け木も,板を削るところからやりました。


これで,一連の小道具作りはすべて体験したことになります。活動を通して,火のスゴサ・怖さがよくわかってきたはず。あれこれを経て,チャレンジ心は高まっていきます。

よろしければ,8月3日(日)の本番にぜひお越しください。「子どもがここまでするか!」という,積極的な動きに出会っていただけるように思います。

 


“字書き虫”ミカンハモグリガ

2014-07-29 | 昆虫

レモンの葉に付いているアゲハの卵を観察しているときのこと。字書き虫本体と,それが通ったあとにできた条痕が目に飛び込んできました。条痕は一筆書きの黒っぽい色をしています。正体は字書き虫が排泄した糞。それがきれいな線を描いているものですから,驚きました。


幼虫が表皮の内側を移動している様子がはっきりわかりました。表皮が薄く浮き上がっているので,葉が膜に包まれているように見えるのです。つまり,そこにトンネルができているといえばいいでしょう。

これまでに見た字書き虫とはちがって,葉肉を丹念に物色するといったふうに動いているのが印象的でした。

別の葉にもいました。アゲハの卵が犠牲にならないか心配しましたが,大丈夫。


幼虫の名を調べると,ミカンハモグリガのそれでした。柑橘類の葉にだけ寄生するガで,このガは木を相当に痛めつけるようです。とりわけ苗木や幼木,若葉の被害が著しいとか。まさしく,果樹栽培する人にとっては害虫です。我が家のレモンも被害を受けているってわけです。防除対策を考える必要がありそうです。

よくよく観察してみると,動きはゆっくりとしていますが,口やからだの動きが確認できました。ネットで検索すると,一世代は30℃の環境で20日程度,年間の世代数は10あるいは11世代という情報が得られました。世には,ふしぎな虫が生きているものです。身近な自然にも,まだ未知な世界が広がっています。

で,このまま置いておくと成虫を見ることができるかもしれません。しかし,そこまでの“根掘り葉掘りごころ”は湧いてこないので,一応これにて一件落着としておきます。

 


アゲハ一世代の成長(4)

2014-07-28 | アゲハ(ナミアゲハ)

7月27日(日)。個体Aが天敵に食されました。その天敵とはクモです。たまたまその場面を目撃しました。幼虫がいないので「おかしいな」と思いながら探すと,観察容器の蓋に天敵にくわえられた幼虫がいたのです。がっくり。


「この分だと,成虫に成長するまで見届けるのは並大抵でないなあ」と感じました。残ったのは個体B一つ。

7月28日(月)。これでは心もとないと思っていると,同じレモンの木でなんと数個の卵がほんの近くで見つかりました。若葉の先に。ちょうど朝の光がここを照らした瞬間に撮りました。


そして,硬めの葉の表側にも。これは幸い。それらを観察対象に加えようかなと思っているところです。

 


火打ち式発火法にチャレンジ!(2)

2014-07-27 | 日記

7月27日(日)。『青少年のための科学の祭典』が近隣地区で開催され,子らとわたしはブースを出展。子どもメンバーは3年生1人,5年生1人,6年生2人の計4人。5年生のKさんは,昨年のこの大会ですっかり火打ち式発火法に魅了されてボランティア店員を買って出てくれた子。遠くの市に住んでいるのですが,今年もやりたいということでメンバーに加わってくれました。

9時に準備を始めて,その後開会式。そして10時に店開き。

わたしは,はじめに心得を話しておき,あとはほとんど見守りながら,必要に応じて対応するだけ。とくに安全面で注意を払っていました。そして来客があれば,「お客さんが来られたよ」と子に伝えるといった感じです。そんなに任せても大丈夫かと思われるかもしれませんが,そういう突き放しは自立心を育てるうえでとてもたいせつになってくると思います。とにかく,店員として慣れるのが主なねらいなのです。ただ,本番とはちがって全開というわけにはいきませんから,「50%の気持ちでいいよ」と伝えて,臨んだのでした。


客には子どももおとなもありました。子どもは小さな子から高校生まで。おとなは子連れのお父さん・お母さん・おばあさんたち。火花が出ただけでも“OK“”とし,拍手を送りました。

なかには,とことん凝る子がいて,なんと2年生で炎にまでいけた例もあります。粘りの結果です。「昨年度も来たけど,今年も来ました。前より楽にできて,すっきりしました」なんて感想を言ってくれた6年生もありました。

熱心なお母さんの例ですが,わたしに「どこでそんな火打石が採れるんですか。この辺にもあるんですか。鉄はどんなものですか」と,きらきらしながら聞かれた方がありました。その方のお子さんの熱中度は大したものでした。

子ども店員は終始懸命に対応していました。はじめは緊張気味でしたが,そのうちに慣れてきました。あっ,そうそう,じつは子どもたちのお母さんも応援でずっといてくださったのです。わたしもリラックスできました。感謝,感謝。


結果,たくさんの子が火種を炎にして,ろうそくに火を灯すことに成功。その度に拍手が起こりました。すてきな風景の連続でした。

こうやって午後4時に終了。最後に一言ずつ感想を伝え合いました。短いことばのなかに,キラリと光るこころが詰まっていました。やはり体験が生きているなあという感じです。本格的な店員ボランティア活動は8月3日(日)に行われる祭典。今回の経験を生かして,さらに内容を充実させていきたいと思っています。 

 


アゲハ一世代の成長(3)

2014-07-26 | アゲハ(ナミアゲハ)

7月26日(土)。午前7時。個体Bを見ると,卵内に体節が見え始め。

 
午後6時,仕事から帰宅。個体Bはすでに孵化後でした。幼虫は別の葉に移っていました。仮に午後4時の孵化したとすると,卵期は3日4時間になります。 


仕事帰りに,個体Aの付いた葉を採集して持ち帰りました。間もなく孵化しそうな雰囲気でした。午後9時,孵化。その後卵の殻を食べました。個体Aの卵期は3日9時間になります。 

 
2匹ともなんとか順調に育ってほしいと願っています。 

 


火打ち式発火法にチャレンジ!(1)

2014-07-26 | 日記

仕事の話です。夏休み前,町内の子ども全員に「夏休みに火打石発火法にチャレンジしよう!」(全6回のシリーズ)と呼びかけていたら,3人が応募。小学校3年生が1人,6年生が2人です。この教室は,火打石採集から始まって,小道具作りを子ども自身がするという,冒険心をくすぐる試みです。指導するわたしは,子どもの動きを見守りながら,案内人に徹します。要するに,主役は子ども自身なのです。

今日(26日)は,この2回目。活動内容は,火起こしの手順の習得及び消し炭作りでした。

はじめから,子どもたちはいろいろ呟いていました。わたしはそのときどきに少しずつ応じながら,子どもの興味を増幅するにはどうすればいいか考える役なのです。

今日特筆すべき点は,みんなが火花を消し炭に落として,火種にできたことです。1人ができると,拍手が起こりました。次々に成功したので,拍手は3回です。子らのこころは充足感に満ちたことでしょう。ついでながら,保護者も1人いらっしゃいましたが,同じように成功! これによって,親子共通の話題が広がっていきそうです。


じつは明日,『青少年のための科学の祭典』の地区大会でこのブースを出します。来場者への手解きは,主にこの子どもたちが努めます。ボランティアとしてふれ合いをたのしむのです。すてきな会話が飛び交うようにと願っています。

 


ベニシジミの羽化,ついに激写!

2014-07-25 | ベニシジミ

これ程に瞬間というものを待ちわびたことは,そうそう多くはない気がしています。羽化の瞬間をなんとか画像に残したいと思い,何時間も(あるときは6時間も!)待ち続けて,そうしてたった数分目を離したために見逃してばかり。ほんとうに情けない程でした。

そして,とうとう羽化の瞬間をとらえるときがやってきたのです。

植木鉢で蛹になった個体が複数,どうやら翌朝あたりに羽化しそうな色を呈していました。翌日は勤務が休みなので,「これはなんとかしなくちゃ」と固い決意。

翌朝起きると,一匹が羽化済み。間もなく羽化しそうな個体が四つ。そのうちの一つにカメラをセットして待ちました。ところが,それより先に,二匹が羽化。「これはまずいな」と思いながら,とりあえずそれらの様子をカメラに収めました。

一つは植木鉢の縁を歩きながら体液を排出したので,その瞬間を撮りました。


もう一つは,スルスル歩いて,やっぱり鉢の縁に移動。


さて,わたしが狙いを定めた蛹はどうなったか,です。観察を始めて3時間半が経過。その場を動かずにじっと待ちました。「さあ,出るぞ!」という意志表明に当たる兆候がはっきり見えれば,わたしも準備万端で待つことができるのですが,それがさっぱりわからないのです。

ところが,です。ほんのわずかに腹部の節間が,「ぴくっ! ぴくっ!」と弛緩を繰り返す瞬間がありました(写真中の矢印①②)。「これは大変化の前兆にちがいない」と感じて,シャッターを切る準備をしました。


思ったとおり,間もなく頭部が二つに裂け始めました(上写真中の矢印③)。いよいよ羽化なのです。


成虫はスルスルッと出てきました。その速いこと! ゆっくり写真を撮っているゆとりなどありません。結局,一枚しか撮れませんでした(上写真)。それでも,決定的瞬間としては宝物になります。待ち続けた場面を激写できて,まことにハッピーな気分です。女神が微笑んでいるというか。

殻から出ると,少し移動しました。翅がなんとも弱々しくって,軟らかくって。腹部と翅の大きさを比べても,いかにも生まれたばかりといった雰囲気が伝わってきます。


このあと成虫はスイバの葉柄に登り,数分で翅を完全に広げ終わりました。そうして,1時間後にはもう舞い上がったのでした。 

 


ツマグロヒョウモンとサルトリイバラ

2014-07-24 | ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンの幼虫が脱皮するのを見た公園での話です。目撃日から数日後,たまたま撮影場所のすぐ近くを通りかかりました。そこは左が山の斜面,右が芝生,になっています。

この公園にはルリタテハが棲息しているので,斜面に生えたサルトリイバラをときどき気にかけています。サルトリイバラは幼虫の食餌植物ですから,そこで幼虫に出会えたらハッピーです。

斜面の下の方に生えたサルトリイバラを見たとき,黒っぽいものが目に入りました。葉の裏側になにかの幼虫がいるようです。「もしかしたらルリタテハかも」。そう思いながら,まずは確かめてみました。どきどきです。

正体はルリタテハにあらず,ツマグロヒョウモンでした。残念! 幼虫がすぐ脇の芝生広場からここまで歩いてやってきたのです。途中に縁石,溝があるのに,それを越えてきたのですから,りっぱなもの。様子を見ると,胸脚が葉から離れてじっとしていたので,前蛹ではないかと思いました。尾端を確かめると,葉にくっ付いていました。これはまちがいなく前蛹期に入った幼虫です。


これを持ち帰って,成長を追うことにしました。


前蛹化した時間帯がわからないので,蛹化の時間は予想できませんでした。翌朝,すでに蛹になっていたことから考えると,わたしが見つける数時間前はすでに前蛹状態だったのでしょう。


深みのある褐色の殻に包まれて,静かに下垂していました。