自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

さよなら,2017年

2017-12-31 | 随想

除夜の鐘が鳴ります。透き通る静かさの中,2017年が過ぎてゆきます。

思えば,いろいろな出来事がありました。身の回りにもじつにいろいろありました。あれこれのうち,心地よいことをしっかりこころに刻んで今年とさよならしたいと思います。

いろんな人との出会いがありました。ミュージアムに勤めていると,新しい出会いが積み重なります。挑戦的に手を伸ばし広げていると,刺激的な出会いが次々生まれます。

 

礼を失するいい方になりますが,今の学校は例外を除いて「開かれた学校」といわれるほどにはオープンでもなく,コミュニティづくりに貢献できているとも思えません。同じ“開かれた”を付け「開かれたミュージアム」といい表したとして,名に恥じないほどコミュニティづくりに関われたらサイコーです。そんなミュージアムを志向したいですね。そうでないと田舎にあるミュージアムとしてはいずれ生き残れないでしょう。末永く続く(はずの)学校とはまるでちがっています。

開かれたミュージアムは,文化度を備えた応接間風リビングとしてコミュニティに役立っていかなくてはなりません。市民の文化交流のひろばになっていけるかどうか,その点が問われています。

そういう意味では,昨年半歩前進,今年も半歩前進したかなと思うのです。客観的な評価は自分ではできません。第三者,外の目がそのあり様を評価します。ときどきに耳にする評価言が一つの目安です。今年度から実施している来館者向けアンケートの結果もものさしになります。その点からは一歩前進ということばを使っても許されるかな,という気持ちがしています。

ミュージアムの挑戦を応援してくださった皆様には,こころより感謝申し上げます。来年も一層のご支援をよろしくお願いいたします。

 

人との別れというものはつらいものです。わたしが現職時代に先輩教師として支えていただいたH先生がお亡くなりになりました。それを知ったのは,奥様からいただいた喪中はがきによります。

H先生は東海地方に在住で,国語教育の実践家として実績を重ねられ著書を多く出版されています。わたしが勤務した学校にはるばる招かれて来県。学校づくりに大きく寄与されたのでした。何年もご一緒に仕事をさせていただく中で,ある年,6学年担任同士として全面的にバックアップしていただきました。そのときの実践あれこれはあまりにも鮮烈で,その印象はわたしの内に濃く残り続けます。とりわけ,校内でもっとも大きな課題を抱えていた学年だった事情で,とんでもない事案が続出。それをなんとか乗り切って来られたのはまさにH先生との出会いがあったからなのです。

その一年で,わたしは教師道のあり方を深く問い直すチャンスが持てた思いがしています。H先生,ありがとうございました。ご冥福をこころよりお祈り申し上げます。合掌。

とにかくたくさんのことがあり,本ブログにも折々にふれトピックをアップしました。アクセスいただいた皆様,ありがとうございました。懲りることなくお付き合いいただいている皆様には,ほんとうにお礼の申し上げようがありません。「いずこのおじさんかな」という思いがあるかもしれませんが,わたしとしては“いずこ”からのひとりごとに耳を傾けていただけるだけでほんとうに幸せです。引き続きご愛読をお願い申し上げます。

新しい年,皆々様にとってハッピーな年になりますように……。

(付記)写真は本文とは関係ありません。それぞれ,本日,昨日撮影したものです。 

 


冬,虫の目写真(10) ~トゲナナフシ~

2017-12-30 | 昆虫

先日,ミュージアム傍の道端でスタッフがトゲナナフシを見かけました。その場所を教えてもらうと,なんとなく産卵中だったのかなあと思われるところでした。

部屋に置いて観察していると,案の定産卵しました。しかし席を外していたので,その瞬間を目撃できませんでした。

 

その後も何度か尾端をぐーっと上げて弓なりにし,産卵ポーズに入りました。相当力がいるみたいです。惜しいことに産卵には至りませんでした。

 

見つかった場所に近くにナナフシを置いて虫の目写真を撮りました。寒さのためにずいぶん弱っているようで,ほとんど動きませんでした。 

 

それでもときどき尾端を上げるのは,産卵のためなのでしょう。

 

 

まもなくいのちは卵に託されます。生きとし生けるものにとって冬は厳しい環境です。ここまで精一杯生きてきたナナフシに拍手,ですね。

 


ヒメアカタテハ,成長の記録(3)

2017-12-29 | 昆虫

12月18日(月)。体表の凹凸の様子が複雑になって来た感じがします。動いたようには見えません。このまま越冬するのでしょうか。

 

12月25日(月)。胸脚及び腹脚が縮まって,見えなくなりました。体長もぎゅっと引き締まって短くなった感じがします。

 

観察を続けますが,大きな変化があった場合のみ記事にすることにします。

 


マンサク,今(2)

2017-12-29 | マンサク

12月27日(水)。朝,雪が舞っていました。寒い,寒い。

マンサクは,春に先駆けて他のどの花より先に咲くといった語源らしくって,雪国では季節を告げる象徴的な木と聞きます。その花が,我が家の庭でぽつんと膨らみ加減。残った枯れ葉の隣りでひっそり日の光を浴びていました。どうやらマンサクは,冬至を過ぎた今の日照時間を感知したようです。

 

植木鉢に植えている別種のマンサクは葉をとっくに落とし,蕾だらけ。その一つが確かにふわっとほころんでいます。

 

中を覗くと,花弁がゼンマイ仕掛けになって収納されているのがわかります。この渦巻きは近く緩むはず。寒いこの時期に開花を控えたこの花,もちろん昆虫を待っているのです。

 

今冬はどんな昆虫たちが訪れるでしょうか。 

 


冬,虫の目写真(9) ~セセリチョウ~

2017-12-28 | 昆虫

12月,野で虫の目写真を撮っているとき,突然現れたのがセセリ。オオチャバネセセリでしょうか。目の前に咲くホトケノザの花で吸蜜。「寒いのに,よくも現れたことよ」とびっくりしていると,飛び飛びに咲くホトケノザの花を選んで渡っていくように,蜜を吸い続けました。

あまりに急なことだったので,わたしは接写撮影する準備ができないまま,大慌て。結局,虫の目写真だけしか撮れませんでした。ずいぶんピンぼけした写真が,かろうじて2枚状況証拠として残っただけです。

 

口吻が伸びているのがなんとかわかります。

 

気温は10℃ぐらい。当日の最高気温は10.1℃でしたから,そんな気温でも活動していたというのはスゴイ事実です。セセリチョウの越冬態はふつう幼虫ですから,この成虫は間もなく死を迎えるのです。

寒さは変温動物には厳しいのですが,それでもぎりぎりのところを生きている点がこころを打ちます。この日は,他の昆虫はまったく見かけませんでした。

話はホトケノザの花に変わります。この花は閉鎖花があるのでよく知られています。閉鎖花は花弁が閉じられていて,花の中で受粉が行われる,いわゆる自家受粉が可能な花です。花弁が開いたものは開放花と呼ばれ,他家受粉がなされることを基本としています。上写真では右端の花が閉鎖花,他は開放花です。したがって,セセリチョウは開放花を探し求めていたことになります。

そう思って冬のホトケノザをよく観察してみると,閉鎖花が目立ちます。こうした点を確めるのも観察のたのしみです。

 


ヒメアカタテハ,成長の記録(2)

2017-12-28 | 昆虫

12月8日(金)。幼虫Aは体長2mm。まだ1齢です。同じ葉でじっとしています。寒いのでしょうか,脱皮前なのでしょうか。食痕が見えます。食欲はあるようです。でも,糞の形跡は見当たりません。

 

これだけ毛が長いのは,生きるのに相当意味があるはず。それに,毛の反り方がなんだかおもしろそう。

 

12月11日(月)。3日前と同じ位置に,同じ格好でいます。時が止まったかのよう。

 

糞をしたようには思えません。やはり脱皮に備えているのかも。 

 

 

幼虫Cはどこに行ったのか,不明のまま。  

12月15日(金)。早朝。ほとんど動いていないように見えます。このまま越冬するのでしょうか。

 


冬,虫の目写真(8) ~ツクバネの実~

2017-12-27 | 植物

一年振りにツクバネの里に向かいました。これまでは接写はしたものの,虫の目レンズで撮ったことはありません。林間に青空が広がる風景を思い描いて,晴れた日,訪れることに。

もうかなりの実が落下していました。残った実を,雰囲気を壊したくないなという気持ちで撮りました。下写真はコンデジで接写。提灯のように枝先にぶら下がった実がなんとも優雅。

 

以下は虫の目写真です。残った実をできるだけ写し込むようにして撮りました。

 

 

羽根をパァーッと広げた実が,小さくても迫力があります。勢いというか……。なんだか落ちて来そうな。

 

見上げて撮ると,おもしろい構図になりました。なんだか実の気持ちになれそう。

 

 

羽根の反りがなんともいい!

 

 

実があちこちに落ちていました。種子が重いだけに,強い風でも吹かない限り株から離れたところには落ちません。林間では無理でしょう。根元付近にたくさんありました。羽根があれば地面に落ちた際,ショック防止になるという見方があります。さてどうでしょうか。

ここに。落ち葉から,宿主の親木がヒノキだとわかります。 

 

そこにも。ヒノキの葉がたくさん。

 

 

羽根の取れた種子も。 

 

行ってよかったー! 撮影には大いに満足しました。ついでに種子をいくつか採集しました。

 


厳寒期に見た昆虫たち

2017-12-27 | 昆虫

公園にて。こんな寒い時期でも,比較的暖かな日中だと昆虫が現れます。ミバエのなかまがいました。複眼の金属光沢が異彩を放っています。

 

 

ヒメヒラタアブも。口吻を伸ばしています。

 

ツマグロキンバエはほんとうに適応力があります。どこにでも出現します。

 

からだに花粉を付けた小さなカメムシも。ケブカヒメヘリカメムシでしょうか。

 

撮影していると,イボバッタが目の前に現れました。卵越冬のバッタなのに,よくもマアがんばっていることよ。 

 

左の後脚が失われています。痛々しい感じがします。

 

イボバッタは間もなくいのちが絶えるでしょう。

季節の移り変わりは昆虫たちに否応なく変化を迫ります。 

 


冬,虫の目写真(7) ~ザクロの実一つ~

2017-12-26 | 植物

ウォーキング道の脇に畑があり,そこにザクロの木が植わっています。木にはまだ実が一つ忘れられたように生っています。実は弾け割れて,種子が飛び出さんばかり。

弾けてから日が経っていると見えて,外皮が萎れかかっています。色も褪せてきています。 

 

種は鳥にでも運んでほしいのでしょう,おいしそうな果肉を付けています。しかし,鳥にはほかにもっとごちそうがあるようで,なかなか食べてもらえそうにはありません。

実一つの風景がなんだか孤独にも,誇り高くも見えて強くこころに残ったので,虫の目写真のモデルになってもらうことに。

真っ青に晴れ渡った朝。急いで撮影に行きました。青空に生える実に陽光が輝きます。やはり光を味方にした撮影は魅力的です。

 

農道の向こうに家が数軒。山裾のむらです。さらに向こうに澄み切った青空が続きます。のどかな光景です。

 

自然はいいものです。こころに潤いを与えてくれます。匂いを嗅ぎながらゆっくり進んでゆきたいものです。

 

 


冬,虫の目写真(6) ~タンポポ,晴れ~

2017-12-25 | 植物

いのちを持った生きものが生きていると感じるとき,こころが躍ります。タンポポのような草もその一つです。寒さの厳しい冬でも綿毛をつくって,なかまを殖やそうと必死です。たくましいといえばそのとおりです。

白い綿毛は晴れた日を待ちます。青空には白色がお似合いです。朝の綿毛は湿っていてまだ飛べません。乾くのをじっと待ち続けます。まだじゅうぶんに熟していない種子は旅立ちをじっと待ちます。

 

晴れると色彩がくっきりするので,虫の目レンズには撮影条件がばっちり。それを味方に付けてポイントを回ります。といっても,ウォーキング道なので前回と同じ構図ですが。

逆光を味方に付けてセイヨウタンポポを撮りました。水路に飛び出した花です。

 

 

路傍の片隅に,縮まったようにして咲く花。そこにマイクロバスが通りかかりました。 

 

雲が出て来ました。地上すれすれに咲くタンポポ。光を奪い合う相手はなく,ゆっくり,のんびり冬を越します。

 

比較的暖かい地表に這いつくばる格好で,陽を浴びてひたむきに咲きます。

 

 

咲き終わると,青空に向かって花茎が伸びます。先の綿毛集団が飛行を待っています。ガードレールは国道。トラックがやって来ました。

 

 

もう飛んで行った綿毛も。この天気は種子の散布にもってこい。

 

 

こんな日,虫の目レンズは威力を発揮します。