
どや顔の金目鯛です。
美味しいけど、近づけない顔立ちです。
今日のタイトルの得体も知れない食べ物「ぶす」と較べて、
引けを取らぬほど美味しい金目鯛です。
ぶすという食べ物を知っていますか。
狂言に出てくるぶすです。
太郎冠者と次郎冠者が、面白おかしく演じていたように思います。
2017年3月6日投稿記事「ぶす」を参照してください。
(ハイライトをクリックすると投稿記事が現れます)
誰にも教えたくない、秘密の食べ物「ぶす」です。
ばれちゃった。
面白がって、地域の空き家をきれいにしていました。
草刈りをし、剪定をし、あげくの果てには借り上げてカフェにしました。
草木に埋もれていた蔵がその姿を現してきました。
蔵がきれいでも、周りが荒れていては誰も近づかない。
面白い、面白いとくたびれ果てていました。
蔵の中の片づけだけでも一仕事でした。
面白いことがなくなるまで一人でやろうと思っていました。
その面白いことが、「ぶす」でした。
面白いすなわち「美味しい」ものだとばれちゃった。
俺にも手伝わせろと、地域の方が助けの手を伸ばしてくれた。
戦線拡大で途方に暮れていた頃(今年の3月)のことでした。
4月に開店にこぎつけ、今はひっそりと「カフェ」が毎日開店されています。
空き家ばかりが目立つ地域の、さらにまた裏通り。
車で入るのさえためらう道を入ってきたところにカフェはあります。
どうせ美味くはないだろうと、注文するコーヒーとお好み焼き。
あれ?と誰もが正直です。
案外いけるじゃない。
開店から半年が過ぎました。
売れ残ったものを、近所に配り歩く日々が続きます。
面白いはずの「ぶす」は、甘かったのか。
炎上とは行かないまでも、カラメル程度の火の車です。
相変わらず、訪ねる誰もがああしろ、こうしろとアドバイスをくれます。
今度は、その人たちが、「ぶす」に取りつかれたのです。
「ぶす」は隠すからますます美味しさを増していくのです。
それは狂言の世界のこと。
現実、「ぶす」は、毒々しく毎日私達を苦しめています。
地域再生という「ぶす」のことです。
この「ぶす」に、はまってしまいました。
保健所が出してくれた営業許可証も、5年半の期限です。
太郎冠者のように、美味しい「ぶす」に誰も近づけない演出ができるでしょうか。
こんなに美味しい「ぶす」をばれないように伝えることが出来るでしょうか。
教えようが、伝えようがないこの頃の気持ちです。
色あせない演技を続けるしかありません。
それには、心底「ぶす」を隠すしかありません。
「俺にも手伝わせろ」と、「ぶす」の真の甘さを知ってくれる人が増えることです。
頑張るしかないでしょう。
それが、私の仕事だから。
誰か、そこのあなた、ちょっとなめてみますか。
これが「ぶす」です。
遠巻きに 幸と不幸の 火事場かな
2017年9月1日