hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Tideline

2013年02月19日 | 洋書
 

いやはや、これは全くもって、変な気分になる本でした。

40代半ばの女性が知り合いの15歳の少年に強く惹かれ監禁する話。

そもそもこれだけで恐ろしい話に聞こえるでしょうが、想像以上でした。
出だしから、彼女の彼に対するねっとりとした視線と感情が思いっきり描写されているんですよ。かなり creepy なのが、そうかと思えば静かに壊れていて冷静すぎたり、なぜかあまり性的な欲求でもなく、、、、、
とにかく主人公に一切共感できないし、被害者の方にも全然リアルな人間味が感じられないし、とことん気分が悪くなる展開なのに、続きが気になって気になって、あっという間に読み終えました。
人間の執着心、嫉妬心、渇望、解放されることのない過去からの後悔の念、などがダイレクトに溢れ出している作品。

英語は比較的簡単。それなりにわからない単語も出てきますが、どれも big word ではなく、調べたら次から使い易そうな感じ。

寝る前に読んだので夢の中で、ある夜は監禁されたり、ある夜は監禁する側だったりと、自分でも呆れるくらい素直に影響されまくりました(笑)

7.5 out of 10

 登場人物のほとんどがいまいち現実味に欠けるところが気になるし、よい作品とは言えないけど、変な引きつけ力がある作品。
 似たような軽い読み物では、Before I go to bed が記憶に新しいけれど、私は Tideline の方が面白かったですね。主人公の静かな壊れぶりが似たようなキャラと比べてももっと面白いし、使用する言葉の選定もこっちの方がいい。
 女姉妹の間に色々感じるものがあった、もしくは潜在的には現在進行形だったりする読者は一層楽しめるかもしれないですし、カッコいい息子または可愛い娘がいる方も、ゾワゾワしながら楽しめるか、とことん嫌悪感を感じるか、のどちらにしろ、それなりに興味深いかもしれません。
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